空沼岳(そらぬまだけ)は、北海道石狩管内の札幌市にある標高約1,251mの山である。山頂付近は支笏洞爺国立公園の第1種特別地域に指定されている。
札幌市中心部から車で40分程とアクセスが良いため、夏場のハイキング・秋の紅葉・冬のスキー登山など、市民に親しまれている山のひとつである。
山頂の近く、すなわち高いところに大小の沼があるため「空沼」と呼ばれたという説があるが、確証はない[1]。
別の説では、アイヌ語が起源ではないかと考えられている[1]。漁川支流のラルマナイ川は空沼岳を源流としているが、古名をソラルマナイ(滝の潜る所)というため、関連づける見方がある[2]。
空沼岳は、第四紀更新世に活動したと考えられる火山のひとつである[3]。空沼岳溶岩の上に漁岳溶岩流があるため、漁岳よりは形成が古いということがわかっている[3]。
山頂から北西に延びる稜線に沿って、幅500メートル・長さ2キロメートルのグラーベン(地溝)があり、その東側には地すべり地形が万計沢に向かって広がっている[4]。グラーベンの北西端では二次・三次の地すべりが下流に向かって並び、南東端では山頂直下からまた別の地すべりが東に延びている[5]。
登山ルート湯の沢コースの出だしがなだらかなのは、この地すべり地形のためである[5]。また簾舞コースの「迷い平」と呼ばれる複雑な地形も、地すべり地形の一種である[5]。
地すべり運動でできた窪地に水が溜まったため、空沼岳の東麓には多くの沼が形成されている[2][5]。
夏季の土・日・祝日のみ、札幌市営地下鉄南北線真駒内駅から北海道中央バスの「空沼登山口」行きが運行される。それ以外の日程の場合、自家用車を使うか、同バス路線の通常終点「空沼二股」から30分かけて歩くしかない[10]。バス停は日鉄鉱業北海道支店常盤採石所のただ中にある。
真駒内川を渡り、その支流の万計沢に沿って登山道を進んでいくと、やや道から外れた地点に青沼がある[11]。沢の源である万計沼のほとりには2軒の山小屋が建っている[12]。
万計沼を過ぎると、やがてより広い真簾沼が見え[12]、その脇には龍神地蔵が建つ。ここから軽く下り[12]、さらに急な登りを越えると、札幌岳への縦走路との分岐点を過ぎ、安山岩の露出した山頂にたどり着く[13]。
なお、山頂からさらに進むと空沼(からぬま)を見ることができるが、相応の藪漕ぎを要する[13]。
また、札幌岳縦走路は荒廃しているが[14]、札幌市近隣で1000メートル級の山々を縦走できるのはこのルートしかない[15]。道中はヒョウタン沼を望むことができる[15]。
湯の沢コースにバスが乗り入れる以前は、定山渓鉄道線の東簾舞停留所から延びる簾舞コースが利用されていた[16]。
簾舞口より約6キロメートル進むと、広々とした真簾峠にたどり着く[17]。峠の西に簾舞川、東に真駒内川が流れているため、両河川の頭文字をとって名づけられたものである[17]。なお、峠の東にそびえる標高651.6メートル峰を「真簾山」と呼ぶ人もいる[18]。
真簾峠の南方約3キロメートルには、2つの丘の間をS字に抜ける鞍馬越(くらまごえ)がある[19]。鞍馬(くらうま)の背のような地形にちなんで名づけられた[20]。
さらに進んで尾根を出はずれると、迷い平と呼ばれる平坦な場所に出る[1]。読んで字のごとく、迷いやすい地点であったために名づけられた[1]。かつては登山道と交差して、湯の沢の源流である長沼に至る山道があったが、すでに消失している[1]。
迷い平の先、道は万計沼に続いている[1]。
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