白鳥大橋(はくちょうおおはし)は、北海道室蘭市にある国道37号(白鳥新道)の橋。通行無料の自動車専用道路になっている。橋の名称は、室蘭港の別名「白鳥湾」から名づけられた[注釈 1][2]。
室蘭市陣屋町と対岸の絵鞆半島にある祝津町を結ぶ室蘭港をまたぐ東日本最大の吊橋であり[2]、総事業費は1,153億円(単純積算合計743億円)、40年間の維持管理費の見積は51億円に及ぶ(平成15年度)[3]。2010年度(平成22年度)の24時間平均通行量は11,552台[4]。1998年度(平成10年度)の『土木学会田中賞』と『照明普及賞』優秀施設賞を受賞している[5][6]。夜間は風力発電によってライトアップされており、2008年(平成20年)に「日本夜景遺産・ライトアップ遺産」に選定されている[7]。
白鳥大橋の主塔は4ヶ所の水平材だけとなる外観がスマートなラーメン方式を採用している。また、主塔を支える人工島の中詰材には発電所から出た石炭灰スラリーを使用してコスト削減に努めており、石炭灰の有効利用と経済性が評価され「白鳥大橋人工島」として1990年度(平成2年度)『土木学会北海道支部・技術賞』を受賞している[8]。白鳥大橋には2つの側塔があり、日本国内では大鳴門橋に1つあるのみである。側塔がケーブルを受けることで主塔やアンカレイジ(アンカーブロック)の規模を抑えることができた[9]。側塔基礎工事は「地中連続壁剛体基礎工法」を採用している[10]。補剛桁は側面に鋭角なフェアリングと呼ばれる飛行機の翼のような部材が取り付けられており、強風や着雪時でも安定した橋になるように対策を施している。白鳥大橋は日本国内初となる積雪寒冷地での吊橋として建設したことから、着雪を除去する技術やコンピュータ数値制御により振動を除去するハイブリッド・チューンドマスダンパー(動吸振器)技術を備えている。白鳥大橋のライトアップやメイン・ケーブルのイルミネーション、白鳥大橋記念館の電力は風力発電施設の電源を使用しており、余剰電力は北海道電力に売電している。1998年度(平成10年度)『新エネルギー財団会長賞』を受賞している[11]。すべてのイルミネーションやライトアップの発光ダイオード(LED)化を進めている[12]。
日本国内初の積雪寒冷地に建設された長大橋であり、作業は冬期間に工事が中断されるなどの条件下で進められた。また、白鳥大橋建設工事では気候や地形の特性から以下の工法が世界または日本国内で初めて行われた。
地中連続壁併用逆巻剛体基礎工法(世界初)
S字ワイヤラッピング工法(世界初)
スイング架設工法・全ヒンジ工法(日本国内初)
北海道開発局室蘭開発建設部初代部長の猪瀬寧夫が馬蹄形である室蘭の地形に発展の支障を覚え、1955年(昭和30年)に室蘭民報の新年号「初夢特集」で「室蘭港湾口架橋構想」を提唱したのが建設の発端となった。昭和30年代の計画段階ではトンネル案もあったが[16]、橋梁として基本計画が作成された。昭和56年度に事業化後、昭和58年度の「白鳥大橋技術調査委員会」では橋梁方式を斜張橋から吊橋へと変更した[16]。事業計画では有料道路としての事業が望ましいとされ、有料の場合でも2000年の交通量を16,300台/日と見込んでいたが[17]、室蘭市の産業衰退や人口減少などにより採算性が問題視されていた。白鳥大橋の完成が近づいてくる中、運営を委託する予定であった日本道路公団が運営受託に難色を示し、北海道も地方道路公社を設立しての運営は困難と判断した。そこで、地元選出の国会議員(当時)鳩山由紀夫が通行料に関する問題を提起し、1996年(平成8年)議論の末に北海道開発局長が暫定無料の方針を表明した[18]。総事業費1,000億円規模の道路事業が通行料無料で開通するのは全国でも異例のことであった。
白鳥大橋は室蘭市内の各地点から眺めることができるが、以下の場所を「ビューポイント」としている[39][40]。
楽曲
映画
山越郡長万部町
寿都郡黒松内町
虻田郡豊浦町 - 虻田郡洞爺湖町 - 伊達市 - 室蘭市
白鳥新道
静狩国道・胆振国道
とようら・あぷた・だて歴史の杜・みたら室蘭
礼文華トンネル・白鳥大橋
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