米国の全州およびカナダにおける獣医師資格試験(North America Veterinary Licensing Examination)は1950年から統一基準をもとに行われている[6]。
アメリカ合衆国の獣医師
米国では1892年に全州をまたがる獣医師会組織が求められ、米国獣医師会(American Veterinary Medical Association: AVMA)が組織された[6]。1946年に米国獣医師会に獣医学教育審議会(Council on Education:COE)、1950年には獣医師国家試験委員会(National Board of Veterinary Medical Examiners)が設置され、米国の全州とカナダにおける獣医師資格試験(North America Veterinary Licensing Examination)の統一基準が作成された[6]。
獣医師免許のアメリカ合衆国における認可機関は米獣医学協会(American Veterinary Medical Association;AVMA)及び各州に設立されている獣医師会である[1]。
AVMA認可の獣医大学の卒業者はNAVLE北米獣医師免許試験(North American Veterinary Licensing Examination)に合格し、各州の獣医師免許試験を合格すればその州で獣医師に従事することができる[1]。
カナダの獣医師
獣医師免許のカナダにおける認可機関はカナダ獣医学協会(Canadian Veterinary Medical Association;CVMA)である[1]。
ヨーロッパでは動物疾病の制圧や軍用馬の獣医療にあたる職業獣医師の育成のため、フランスのリヨンに世界で最初の獣医学校であるリヨン獣医学校(1761年)が設立された[6]。その後、ドイツ、オーストリア、デンマーク、ハンガリーなど各地で獣医学校が開設された[6]。1988年にはEU域内の獣医系大学によりヨーロッパ獣医系大学協会(European Association of Establishments for Veterinary Education: EAEVE)が設立された[6]。EAEVEは加盟校に最低限度以上の教育・研究や改善を行えるようサポートを行う組織であり、2023年時点でヨーロッパに存在する110の獣医学教育機関のうち、96の機関がEAEVEの加盟機関である[7]。
イギリスの獣医師
獣医師免許のイギリスにおける認可・規制機関は王立獣医師会 (Royal College of Veterinary Surgeons;RCVS)である[1]。イギリス、EU、オーストラリア、ニュージーランドの獣医大学の卒業者はRCVSの獣医師免許取得の有資格者である[1]。また、米獣医学協会(American Veterinary Medical Association;AVMA)認可大学の卒業者もRCVSの獣医師免許取得の有資格者である[1]。それ以外の者はRoyal College of Veterinary Surgeons Membership Examinationの受験が必要となる[1]。
2009年10月、国際獣疫事務局(Office International des Epizooties:OIE)はパリで世界92ヵ国の獣医系大学の学部長や各国の行政獣医官を集めた会議を開催し、国際的に通用する獣医学教育モデル・カリキュラムを作成することになった[6]。
2015年12月に国際獣疫事務局は加盟国の獣医学教育機関(Veterinary Education Establishment: VEE)のリストを公表し、2016年6月にはバンコクで開催された「第4回国際獣医学教育会議」(Fourth Global Conference of Veterinary Education)でOIE標準の教育を遂行するよう勧告した[6]。