池田町(いけだちょう)は、福井県嶺北地方にある町である。同町のみで今立郡を構成する。
内陸の山間部にあり、町域の約9割は森林で、福井県でも有数の豪雪地帯という山間僻地である[1][2]。
伝統芸能の能楽、それに伴う能面芸術の文化を受け継いできた。
地理
主な居住域は、周囲を山で囲まれた海抜150〜250m程度の場所に若干広がっている谷間。日本有数の豪雪地帯であり、町全域が特別豪雪地帯の指定を受けている。
隣接している自治体
以下の6市町と隣接している。
- 福井県
- 岐阜県
このうち、鯖江市と接しているのは福井市・越前市を含む4市町境となっている山頂1点のみ。また、南越前町・大野市と接続する道路はいずれも冬季閉鎖となる。
人口
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池田町と全国の年齢別人口分布(2005年)
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池田町の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 池田町 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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池田町(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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5,524人
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1975年(昭和50年)
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4,814人
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1980年(昭和55年)
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4,510人
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1985年(昭和60年)
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4,318人
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1990年(平成2年)
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4,203人
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1995年(平成7年)
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4,032人
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2000年(平成12年)
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3,759人
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2005年(平成17年)
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3,405人
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2010年(平成22年)
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3,046人
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2015年(平成27年)
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2,638人
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2020年(令和2年)
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2,423人
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総務省統計局 国勢調査より
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過疎地域自立促進特別措置法2条1項により過疎市町村に指定されている。2015年国勢調査において北陸地方3県(新潟県を含まず)では、唯一の村である富山県中新川郡舟橋村を下回り、人口最少の市町村となっている。
健康
歴史
沿革
- 1955年(昭和30年)3月31日 - 今立郡上池田村及び下池田村が合併して、今立郡池田村が発足する[3]。
- 1964年(昭和39年)9月1日 - 今立郡池田村が町制施行して、今立郡池田町となる[3]。
行政
姉妹都市・提携都市
1985年(昭和60年)から2005年(平成17年)までの間、上記7市町の持ち回りで毎年1回の「全国池田サミット」が開かれていた。
町職員間の結婚に伴う退職慣行
1993年から、町職員同士が結婚した場合、夫婦どちらかに退職を促す慣習があり、憲法違反のおそれがあると指摘された[4][5][6]。この慣習は、採用時に説明されない「暗黙のルール」であり、2020年までに3組ほどの夫婦が対象になったが[7]、いずれも女性職員が辞めたとされている[8][9]。一方、2020年以降は退職勧奨が1度あったが、実際には退職しなかったという[10]。2020年8月の町議会で問題が取り上げられ、町の職員組合も撤廃の要望書を出しているが、町側は「職員の高い給与水準を批判する町民感情」「人事ローテーションの制約」「過去に退職した人がいるので、今更やめたら不公平」などを理由に「撤廃する予定はない」と回答している[7][11]。2024年3月の町議会で質問が挙がった際、副町長の溝口淳は「人事配置上の制約がある」などと述べ、今後も継続することが改めて示されている[10][8][9]。
移住希望者向け「七か条」
2023年初時点の人口は約2300人で30年でほぼ半減し、高齢化率は45%と全国平均(29%)を上回る[1]。多くの自治体と同様に移住者を誘致しており、年20~30人程度が町外からやって来る[1][12]。雪かきや草刈りなどの共同作業に移住者が参加したがらないといった声が元からの住民にあり、33集落の区長会が『池田暮らしの七か条』を定め、2023年1月の町広報誌やウェブページに掲載した[1][13][14]。集落の一員という自覚が望まれること、地域行事が多く都市にはなかった面倒さ、プライバシーが無いと感じるほどのお節介さがあることを説明し、移住当初はどんな人で、なぜ池田町へ来たかなど「品定めされることは自然」であり、「都会風を吹かさないよう心掛けてください」などと注意喚起する内容である[12]。これが報じられるとインターネット上では、「排他性の極み」「上から目線」といった批判が相次ぎ、移住してきた町民でも不快感や恐怖を覚えたという意見が出た[15][1][12][16]。
これに対して町役場は、「意図が伝わるようにすべきだった」としつつ、景観や伝統文化は濃いコミュニティーの努力で守られてきたことを知ってもらい、移住後に「知らない」「聞いていない」となる事態を避けるための心得として作成したもので、文面は変えず[16]、さらに集落ごとの慣習をまとめた冊子を作成してよく説明していくと取材に答えている[1][12]。農村研究や移住支援の専門家からも、表現に工夫の余地があるとしつつ、ミスマッチやトラブルを避けるために、一見マイナス面に思える情報も率直に発信することは意義があるという評価・コメントが出ている[1][12]。
町内の各地区は移住者を含めた相互扶助の役割も担っているほか、町議会選挙においては「組織票」として機能する面もあり、立候補に際しては地区内で事前に了解を得ることが有利とされる[17]。
経済
産業
農業
町全体で有機栽培への取り組みが進んでおり、日本農林規格(JAS)の有機認証ではなく、池田町独自の認証制度「ゆうきげんき正直農業」を作り、化学肥料なし、農薬も可能な限り使わない米や野菜づくりを行っている[18][19]。主体は米作りで、除草剤の量を制限した米は「うららの米」の名でブランド化され、家庭から出る生ゴミと池田牛の糞で作った堆肥は「土魂壌(どこんじょう)」の名で一般販売もされている[20]。毎朝収穫されたものの一部が福井市の大型商業施設に開いた同町のアンテナショップへ運ばれ直売、都市部の消費者の人気を呼んでいる。
商業
2011年(平成23年)4月に唯一の観光物産店「こってコテいけだ」がオープンした[21]。
コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストアは平成時代末期まで1軒もなかった[22][23]。2018年(平成30年)8月、町役場の西面向かいに福井県内資本のドラッグストアであるゲンキー池田稲荷店(現・池田町店)が開業した。
健康
- 福井県の現行市町、調査当時の市町村いずれにおいても最も高い。
- 町内の医療機関は診療所2か所(内科・小児科)、歯科1か所がある。
教育
中学校
小学校
図書館
- 池田町立図書館 - 1995年(平成7年)10月開館。書店がない池田町における情報発信の拠点施設と位置付けられている[24]。
交通
鉄道路線
池田町を鉄道路線は通っていない。鉄道を利用する場合は、JR西日本北陸新幹線福井駅や、ハピラインふくいハピラインふくい線武生駅など。
バス・乗合タクシー路線
いずれも本数は少ない。町内区間はバス停留所標識のない経路上でも乗降可能としている。
- 福井鉄道(福鉄バス) - 池田線
- 池田町 町民協働バス「マイバス」(2019年4月に京福バス池田線から転換)
- 北陸新幹線ほかの福井駅(福井市)との間の乗合タクシー路線。概ね足羽川に沿う経路(国道158号 - 県道武生美山線 - 国道476号)で町内に入り、福井駅から町役場まで約1時間。福井市内の乗降地点は福井駅東口(一乗谷口)・県立中等学校前・総合病院などに限られ、両市町に跨がる利用のみ可能。平日の一部便、土休日全便はデマンド運行につき役場へ要予約。
- 池田町 町民バスなかま号
- 町役場を拠点に町内常住集落を網羅するコミュニティバス。小人50円、大人100円。土休日運休。
- 福井市 美山地域バス(味見ルート)
- 町内には乗り入れていないが、町北端部の福井市境に面する松ヶ谷集落であれば越美北線美山駅を発着するコミュニティバスを利用し、福井市側の隣接集落にある「折立」停留所から国道476号で約800 mと比較的近い。
道路
福井県の市町では唯一、高速道路や地域高規格道路の供用および整備計画がない。高速道路の最寄はE8北陸自動車道福井ICまたは武生ICである。
一般国道
- 町内を走る一般国道
都道府県道
- 町内を走る県道
- 岐阜県へ抜ける代替道路
- 林道冠山線 - 例年11月頃から5月頃まで冬季閉鎖となる。
通信・郵便
電話
町内の固定電話市外局番は、武生MA(単位料金区域)と同一の範囲を持つ0778で統一されており、以下の区域への通話は市外局番不要かつ市内通話料金が適用される。
なおNTT西日本による級局区分は、2級局である。
郵便番号
名所・旧跡・観光スポット
祭事・催事
出身有名人
脚注
関連項目
外部リンク