暑寒別天売焼尻国定公園(しょかんべつてうりやぎしりこくていこうえん)は、北海道にある国定公園。1990年(平成2年)8月1日に暑寒別道立自然公園と天売焼尻道立自然公園を統合して日本国内で55番目、北海道内で5番目に指定された国定公園。公園区域は暑寒別山系と雄冬(おふゆ)地区の海岸部、送毛(おくりげ)・濃昼(ごきびる)地区の海岸部、日本海に浮かぶ天売島・焼尻島の3つの地域で構成している。
地域
- 送毛・濃昼地区
- 石狩市浜益区毘砂別(びしゃべつ)から厚田区安瀬(やそすけ)に至る海岸部を中心とする地域。安瀬山などの山麓が100m内外の急崖となって海に落ち込む景観を形成しており、厚田海岸には「ルーランの洞門」などの奇岩が連続して柱状節理が発達している。日帰り・通過型での利用が大部分を占めている。
自然
暑寒別山系では110を超える高山植物が確認されており、固有種であるマシケゲンゲ、マシケオトギリなどのほか、キバナシャクナゲ、チングルマ、シナノキンバイ、エゾツツジなどを見ることができる。群別岳、天狗岳、雄冬山などの山頂や稜線部にはコケモモ-ハイマツ群落が発達しており、この中には道南地方とは隔離分布しているイワナシの生息が確認されている。
雨竜沼湿原は山地型湿原であり、中央部をペンケペタン川が蛇行している。100以上の池塘が点在し、水面には浮島が見られる。湿原性植物と高山性植物が混交して生息しているのが特徴になっている。
天売島は大部分がササの草原になっており、西海岸の海食崖地域ではウミネコ、ウミガラス、ケイマフリ、ウトウなどの海鳥類が3月から8月にかけて大規模なコロニーを形成する。焼尻島では約5万本のイチイやミズナラなどが天然林を形成している。
天売島と焼尻島の一帯は海獣の生息地でもあり、ゴマフアザラシやトドなどの鰭脚類[9][10]、ミンククジラやカマイルカやイシイルカやシャチなどの鯨類も確認されているが[11][12][13]、苫前郡において捕鯨が行われていたこともあり、以前は周辺に大型のヒゲクジラ類の回遊も存在していたと思わしい[14]。
脚注
- ^ “国定公園地種区分別面積” (PDF). 環境省 (2016年). 2016年8月24日閲覧。
- ^ “平成25年国定公園利用者数(公園、都道府県別)” (PDF). 環境省. 2016年8月24日閲覧。
- ^ “雨竜沼湿原” (PDF). 環境省. 2016年8月24日閲覧。
- ^ 天売島海鳥繁殖地 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ 焼尻の自然林 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ たくさんのふしぎ, 2005年3月号, アザラシに会いたい, 福音館書店
- ^ 令和4年度トド資源調査
- ^ 北海道海鳥センター, 2013年06月26日, ミンククジラ
- ^ 島図鑑, 天売島旅行ガイド:自然・観光スポット・グルメを満喫!
- ^ 北海道海鳥センター, 2013年03月07日, シャチ
- ^ 宇仁義和, 2001年03月, 『北海道近海の近代海獣猟業の統計と関連資料』, 知床博物館研究報告, 22号, 81-92頁, 斜里町立知床博物館
参考資料
関連項目
外部リンク