弓張山地(ゆみはりさんち)は、赤石山脈の南側の愛知県豊橋市・新城市と静岡県湖西市・浜松市浜名区 にまたがる山地。八名弓張山地(やなゆみはりさんち)とも呼ばれる[1]。
南アルプスの南端の山域とされることもある。南アルプスから天竜川で分断されるが、その北東端の境界は明確ではない。一般的には鳶ノ巣山(標高706m)を北東端の最高地点として、上述の行政区域内にある山域を指す。南西に延びる愛知県と静岡県境の弓状に連なる山域であり、太平洋沿岸付近まで約50kmに亘って延びる。鳶ノ巣山のすぐ南西の稜線の一部が東海自然歩道となっている。南西端の稜線は静岡県側からは湖西連峰と呼ばれ、湖西市に属する部分には湖西市がハイキングコースを整備している[2]。また、静岡県側には浜名湖や三方原へ向かって広がる山域があり、静岡県ではこれを公式に引佐山地としている他、湖北連峰あるいは奥浜名丘陵、引佐丘陵などと呼ばれることもあり、一等三角点のある富幕山(563m)を中心に浜松市が奥浜名自然歩道として整備している。豊橋市北部の中山峠から南西の二川まで延びる稜線や石巻山の東尾根には、豊橋市により豊橋自然歩道が整備されている[3]。一等三角点のある神石山(325 m )から南西に延びる稜線やその西麓の葦毛湿原を中心とする山域が、新・花の百名山に選定されている[4]。また葦毛湿原は、花の百名山に選定されている[5]。葦毛湿原と石巻山の周辺は、愛知県の石巻山多米県立自然公園に指定されている。
都田川の源流。
上表の他、県境から外れる山として愛知県の吉祥山(382m)、船着山(427m)、常寒山(482m)、大森山(514m)、静岡県の尉ヶ峰(424m)、竜ヶ石山(359m)、霧山(430m)などがある。
山地には南北に豊橋自然歩道が整備されている[10]。
豊橋自然歩道には本線と支線があるが2022年8月31日で一部が廃止され、廃止されたルートは9月1日からは進入禁止となり、このうち本線は本坂峠から東山(松明峠)までとすることが発表されていた[10]。豊橋自然歩道の整備と維持管理を行ってきたボランティア団体の「豊橋自然歩道推進協議会」が会員の高齢化のため2023年度で解散を決めたこともあり、豊橋市も公費による維持は困難としていた[11]。この豊橋自然歩道の本線と支線の一部廃止の計画では、中山峠〜本坂峠間にあるモミの木(とよはしの名木・巨木100選)や赤岩自然歩道にある赤岩尾根鉄塔下展望地が立ち入り禁止となる予定だった[10]。
しかし、存続を求める陳情を受け、2022年7月4日、市長の定例会見で廃止を撤回することが発表された[12]。