小林 恭治(こばやし きょうじ、1931年9月3日[8][9][10] - 2007年3月8日[4][11])は、日本の声優、俳優、ナレーター。東京都出身[3]。息子は広告写真家の小林恵介、娘はニュースキャスターの小栗泉[3]。従甥にはライターの竹熊健太郎がいる。
代表作に『おそ松くん(第1作)』(イヤミ)、『ひょっこりひょうたん島』(マシンガン・ダンディ)、『巨人の星』(ナレーション)などがある[4][11][13]。
経歴
中学時代、文化祭で中野重治の詩を読んだところ快感で、学校の教師が「読むということがいかにも面白いか」というのを植え付けたという[14]。それが一生の仕事のようなものになったため、1990年にはその教師をありがたく思っていると話している[14]。
高校時代に詩の朗読研究会に参加し、詩の朗読の勉強を始める[14]。1949年頃から顔を出すようになって、朗読にのめり込んでいったという[14]。その後、NHKの番組の詩を読むというのに詩の朗読研究会の中から送り込まれてNHKのテレビドラマに出演するようになった[14]。
早稲田大学芸術科卒業[注 1][9]。劇団言葉座、NHK芸術劇場(1952年9月 - 1954年3月)、劇団七曜会(1954年4月 - 1956年7月)、劇団作品座(1956年7月 - 1958年9月)を経て[3][6][7][9]、東京俳優生活協同組合の創立に参加[15]。在籍中は理事も務めていた。1964年には劇団新演にも所属していた[7]。
田漢脚色の『阿Q正伝』の阿五で初舞台[7]。1952年2月に『虹は消えず』の丑松役でデビュー[5]。初のアニメレギュラーは、1966年に放送された『おそ松くん』のイヤミ役[16]。
新劇の俳優から出発し、テレビ草創期の時代から声優やナレーターとして活躍した。また、後進の育成も積極的であった。
2007年3月8日午前1時2分、クモ膜下出血のため東京都世田谷区の病院で死去。75歳没[4][11]。
人物・エピソード
声種はバリトン[6][16]。地声が張りのある低い声でそれを活かすことが多い一方、『スペクトルマン』のネビュラなど高域の声を使っての演技もあった[17]。
趣味は浄瑠璃、レコード鑑賞、油絵[16]。また、声を保つために義太夫をやっていたといい、「肺が強くなります。義太夫をやっている人は長生きします」と述べている[16]。
アニメや吹き替えに出演していたほか、ナレーターとしても活躍し企業CMも多く担当[13]。吹き替えでは、ジョン・ペインやジョゼフ・コットンを持ち役としていた[17]。なお、本人の好きだった仕事のジャンルは、詩や文学作品の朗読だったという[13]。
俳協演劇研究所にて講師も務めており、自ら朗読の勉強会を開くなど後進の育成を積極的に行っていた[18]。教え子には政宗一成や平野文などがいる。後輩声優からも信望が厚かったという[13]。
声優としての実績が豊富だが、本人は「俳優である」との考えが強く、従甥の竹熊健太郎にはよく「私は俳優で、声優なんて職業はない。たまたま声の仕事をしているだけ」「声優という職業は、本来、なかったんだよ。おじさんの仕事は俳優であって、たまたま声の仕事を多くやっているだけなんだよ」と語っていたという[19]。
ナレーターとして60分間の番組で60枚の原稿を読む仕事を引き受けた際、予定では60秒くらいオーバーする文量だったが、小林は「じゃあ、1枚に付き1秒ずつ詰めて読んでくから」と簡単にこなしたというエピソードがある[13]。
『ひょっこりひょうたん島』のダンディ役は、声を先に録音しそれに人形の動きを合わせるプレスコ方式だったため「自分でやる面がいろいろあっていい。それに懐かしい番組だ」と語っていた[16]。
『おそ松くん』のイヤミ役は、当時出演していた『ひょっこりひょうたん島』のダンディ役で「シェー」を披露したところ、その声が偶然見ていた原作者の赤塚不二夫の耳に留まったことから、原作者指名でのキャスティングとなった[20]。小林はイヤミを演じる際、キャラクター性をだそうと時々裏声を使ったり周囲の子供たちがしていた「シェー」を真似るなどして、「決定版イヤミ」をつくることに苦労したという[20]。また、共演した加藤みどりによれば、仕事仲間の間で普段クールでインテリのイメージがあった小林が声をひっくり返して「シェー」をやるため、現場は笑いの嵐だったという[13]。
後任
小林の死後、持ち役・ナレーションを引き継いだ人物は以下の通り。
出演作品
※太字はメインキャラクター。
テレビアニメ
- 1966年
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- 1967年
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- 1968年
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- 1969年
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- 1971年
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- 1972年
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- 1978年
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- 1989年
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- 2000年
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- 2003年
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- 2005年
-
OVA
劇場アニメ
ゲーム
吹き替え
担当俳優
- イアン・ホルム
-
- ジョン・ペイン
-
映画
海外ドラマ
人形劇
特撮
ラジオ
ナレーション
テレビドラマ
テレビCM
ラジオCM
舞台
- ゴールデン・ボーイ(1954年、劇団七曜会) - ドリスコイル[27]
- 海鳴りの底から(1963年 - 1964年、劇団三期会) - 語り手[28][29]
- 飛砂(1964年、劇団東芸) - ナレーター[30]
その他コンテンツ
参考文献
- 「新劇便覧」『テアトロ』、カモミール社、1965年8月、267頁。
脚注
注釈
出典
外部リンク