塾 一久(じゅく いっきゅう、1950年[7]7月12日[5] - )は、日本の俳優、声優。石川県羽咋郡富来町(現在:石川県羽咋郡志賀町)生まれ[4]、茨城県稲敷郡阿見町育ち[3][8]。ケンユウオフィス所属[5]。
本名及び旧芸名は熟田 一久(じゅくた かずひさ)[1]、旧芸名は熟田 一久(じゅくた いっきゅう)[9]。
経歴
生い立ち
小学生の頃に海外ドラマの吹き替えに感心し、テレビ時代劇『隠密剣士』などを見て「将来はテレビに出る人になりたい」と思った[10]。役者に憧れて、高校時代は演劇部に所属して俳優や歌手の物まねをしたり、文化祭で発表したりしていた[3][10]。「テレビや映画で活躍するには、演劇の基礎から本格的に勉強しなければ」と思い、日本大学芸術学部に進学しようと考えていた[10]。しかし父に反対され受けさせてくれず、1年後にやっと認めてくれたため、同大学芸術学部演劇学科[11]に進学[10]。
進学後、4年生の時に劇団を色々受ける予定であった[10]。しかし3年生の時に「文学座は入団するの難しい」という話を聞いて、「じゃあ、今年受けてみよう!ダメだったら来年考えよう」と文学座の試験を受けたところ合格。1973年に文学座研究所に入所[11]。当初両親は「堅実な道を」と猛反対していたが、文学座に合格していた頃には応援者になったという[3]。
キャリア
24歳の時に『天守物語』で初舞台[3]。
1978年に文学座の座員となる[3]。一つ上の先輩に松田優作、同期に中村雅俊、本田博太郎、藤田三保子がいる[10]。
俳優としての大きな転機は二つあり、一つ目は、24歳の時に文学座で演出家の木村光一と出会ったことであり、木村に育ててくれたといっても良いくらい、色々な舞台に出演していた[10]。二つ目は、蜷川幸雄の舞台『オディプス王』でコロスの長老と神官役を演じていたことで、その縁から蜷川の演出する色々な舞台に出演していた[10]。木村と蜷川という二大演出家の舞台に出演したのが誇りだという[10]。
その後も多くの公演に出演して着々とキャリアを積んできたが、生活のため40歳の頃まで居酒屋、レストラン、肉体労働などのアルバイトを続けていたという[3]。
その後、「やっぱりテレビに出たい」という気持ちがあり、テレビドラマ、声優の仕事を始める[10]。劇団の舞台や公演があるとその期間は収録ができないため、俳優と声優を同時に続けるのは中々大変だったという[10]。当初は「声だけで演技をするってどうなんだろう」と思っていたが、声優業を開始したところ「ひょっとして、全く同じ役なら、舞台で演じるより、声優でやるほうがよっぽど難しいぞ」と思ったという[10]。
語りの会「いっきゅう組」主宰[3]。シナリオクラブのメンター[10]。
以前はマウスプロモーションに所属していた[5]。
人物
特色・役柄
声種はバリトンテノール[12]。優しい柔らかい声を持つ[13]。方言は茨城弁[11][14]。
声優、俳優の仕事を続けて楽しかったことは「感動した」、「面白かった」と大きな拍手を貰った時であった[10]。舞台の「泣きのシーン」で、会場からすすり泣きが聞こえてくると、演じているほうも気持ちが高まり、人物に「感動を与えられた」と思えた時は嬉しく「ああこの芝居やっててよかったな」と思った[10]。声優では、出来上がった作品の評判が良かった時が嬉しく、吹き替えの時に海外の俳優を見ながら、「日本にはこんなタイプの役者いないなあ」と思ったり、様々なことを勉強したりできるのも楽しいという[10]。元気であれば死ぬまでできる仕事のため、2012年時点では演じて楽しいことから、声が出る限り仕事を続けていきたいという[10]。
辛かったことはたとえ好きな仕事であろうとも、やりたいことを常にやれるわけではないため、「自分はこの役をやりたいのに、やらせてもらえない」というジレンマに苦しむことだという[10]。ただし、2012年時点でも役者を辞めないのは、好きでやっているため、仕事自体が楽しくてしょうがないからだという[10]。配役に違和感を持っても「どうせ仕事をやるんなら、楽しくやろう、いいものにしよう」と気持ちで行うと、どんどん楽しくなっていくという[10]。また、様々な役を演じることで、だんだん仕事の幅が増えていくという[10]。
エピソード
舞台で失敗したエピソードについては、「でとちり」で王と兵士のシーンで「これから〇〇をお呼びします」と言われてから自分が舞台上に出ていくする予定だったが、間違えてその前に出てきてしまったという[10]。その時は上川隆也が王様役で、「え、なんでいるの」と怪訝な顔をされ、塾自身も困ってしまったという[10]。舞台の袖に戻ろうとしても、袖のドアが閉まっており開けられず、止むを得ず舞台端の暗い所に寄って目立たないようにしていた[10]。その後、芝居は何事もなかったように進み、改めて呼ばれた時に隅の暗いところから出ていた[10]。この出来事については「肝が縮む思い」「なんとも言えないむず痒い思い」と回顧している[10]。
セリフを忘れた時は、話の流れが壊れないように、自分でなんとかしてうまく進めたり、他の役者に助けてもらったりしている[10]。ただし、「セリフを忘れた時は演技に自信を持てていない時」と語っている[10]。研修生時代、三島由紀夫の『鹿鳴館』を公演した時、公演が始まる前に病気で一週間稽古を休まざるを得ず、回復して稽古ができるようになったが、本番までは数日しかなく本番を迎え、「大丈夫だろうか、ちゃんとできるだろうか」と不安であった[10]。舞台に出演した瞬間、足が震えてセリフがポーン!と飛んでしまった[10]。その時は長セリフで「さあどうするか」と焦っていた[10]。一切アドリブできないセリフで、言っても突っかかってしまい、「ようし、こうなったらセリフが出てくるまで何度でも言いなおしてやろう」と腹をくくり覚悟を決めたその瞬間、セリフが出てきたという[10]。
若い頃は、短時間で丸暗記できたが、2010年時点では前後の流れを考えながら体を通して覚えていくため、多少時間は掛かるようになったという[3]。
アルバイトと縁が切れた15年ほど前に東京都から実家の阿見町に帰郷して、2010年時点では家族と過ごす時間も増えたという[3]。
趣味・嗜好
趣味・特技は殺陣[11]、釣り、競馬[5]。
好みの作品ジャンルについては、悲しくて深刻だが笑えるところもあるドラマが好きであり、地人会で20年以上再演され続けた作品で木村光一演出の『はなれ瞽女おりん』を挙げている[10]。そのため、笑いのイメージが強いものの、作品によっては人情物や泣かせる話もある落語も好きだという[10]。
出演(俳優)
テレビドラマ
映画
特撮
- 特救指令ソルブレイン 第22話「非情のファイヤー PART-II」(1992年、テレビ朝日 / 東映) - 藤波健三博士
舞台
- 東横劇場公演
- 天守物語(1974・1975年) - 射手の武士〈山隅九平〉
- 夢・桃中軒牛右衛門(1976年) - 毛沢東
- 絹布の法被 サンシャイン劇場(1995年) - 仙太郎
- 文学座アトリエ公演
- おつげ(1979年) - アニ
- シンガー(1994・1996年) - アーモンド
- 金襴緞子の帯しめながら(1997年) - 男2
- ベンゲット道路(2002年) - 第七の男
- 戯曲 赤い月(2005年) - 池田〈森田家使用人〉、来々軒主人
- 三越劇場公演
- かくて新年は(1982年) - 皎
- 峠の雲(2000年) - 旅芸人の親方、丑蔵
- 東京芸術劇場中ホール「牛乳屋テヴィエ物語」(1998年) - ステパン
- 華岡青洲の妻 紀伊國屋サザンシアター(1998年) - 良庵
- 飛ぶ劇場「ロケット発射せり。」(2001年) - 客演
- グローバルシアター 和の輪公演ミュージカル「平家物語2002」(2002年) - 平清盛
- 第246回例会 地人会公演「はなれ瞽女おりん」(2003年)
- Bunkamuraシアターコクーン公演
- 彩の国シェイクスピア・シリーズ公演
- 青年座交流プロジェクト「欲望という名の電車」世田谷パブリックシアター(2011年)
- 攻殻機動隊ARISE:GHOST is ALIVE 東京芸術劇場プレイハウス(2015年) - 荒巻大輔
- 南青山マンダラ 岸田國士を読む・夏 リーディング・ライブ「夏の夜の岸田國士」(2017年)
- パルコ・プロデュース2022 舞台「桜文」(2022年9月5日 - 25日、PARCO劇場 / ほか大阪・愛知・長野公演)- 幇間 / 植吉親方[16]
出演(声優)
太字はメインキャラクター。
テレビアニメ
- 1998年
-
- 2003年
-
- 2004年
-
- 2005年
-
- 2007年
-
- 2008年
-
- 2009年
-
- 2010年
-
- 2011年
-
- 2012年
-
- 2013年
-
- 2014年
-
- 2015年
-
- 2016年
-
- 2017年
-
- 2018年
-
- 2019年
-
- 2020年
-
- 2021年
-
- 2023年
-
- 2024年
-
劇場アニメ
OVA
Webアニメ
ゲーム
- 2004年
-
- 2005年
-
- 2007年
-
- 2008年
-
- 2014年
-
- 朧村正(藩邸の近習、庄屋様) - DLC追加キャラクター
- 2015年
-
- 2016年
-
- 2018年
-
- 2019年
-
- 2020年
-
- 2021年
-
- 2022年
-
- 2023年
-
- 2024年
-
ドラマCD
BLCD
- 言ノ葉ノ花(増岡)
- 言ノ葉ノ花 短編集(老人)
- 世界が終わるまできみと(引越し屋)
- 花嫁は翡翠に奪われる(部長)
吹き替え
担当俳優
- エリック・アヴァリ
-
- マイケル・オニール
-
映画(吹き替え)
ドラマ
アニメ
テレビ番組
ボイスオーバー
- アウシュビッツ「解放と復讐」(NHK、ドイツ軍捕虜 パヴェル・ステンキンの声)
- NHKスペシャル(NHK総合)
- 奇跡体験!アンビリバボー(フジテレビ)
- ドキュメンタリーWAVE「黄昏のニューヨーク 人生の幕引きをめぐる会話」(NHK-BS1)
- BS世界のドキュメンタリー(NHK BS1)
- 人類、月に立つ(NHK BS2)
- シェフのテーブル(Netflix配信、アラン・パッサールの声)
- ドキュメンタリー・ドラマ「ニュルンベルク裁判」(オットー・オーレンドルフ中将 他)
- 地球ドラマチック(NHK総合)
- 「集合! 世界のスーパー犬」(2004年)
- 「ニューヨークはこうして生まれた」(2004年)
- 「ストラディヴァリウス〜究極の音色を求めて〜」(2004年)
- 「巨大いん石の衝突 〜そのとき人類は〜」(2004年)
- 「ジェラート大好き!」(2006年)
- 「ひとりぼっちのジョージ 〜ガラパゴスゾウガメの物語〜」(2006年)
- 「探検!巨大化石が眠る地底湖」(2007年)
- 「50年後の未来 〜世界の命運を握る新エネルギー開発〜」(2007年)
- 「未来の世界 〜バーチャルな暮らしがやってくる〜」(2010年)
- 「神話の舞台」を発掘した男 〜シュリーマンの愛したトロイ〜」(2010年)
- 「地球外生命を探せ! 〜木星エウロパ探査計画〜」(2011年)
- 「オーストラリア 巨大サメが襲われた!」(2013年)
- 「“食”を科学する! 〜人はなぜ調理するのか〜」(2014年)
- 「隕石の衝突を防げ」(2015年)
- 「増殖中!アリ 大地を支配!毒針の脅威」(2015年)
- 「マンモス研究前線!」(2016年)
- モーガン・フリーマン 時空を超えて(NHK Eテレ)
モーションコミック
その他コンテンツ
- VRPARKTOKYO ソロモン・カーペット(指輪の精の声)
ディスコグラフィ
キャラクターソング
発売日 |
商品名 |
歌 |
楽曲 |
備考
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2023年12月27日 |
RVR〜ライジングボルテッカーズラップ〜
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リコ(鈴木みのり)、ロイ(寺崎裕香)、フリード(八代拓)、オリオ(佐倉綾音)、マードック(三宅健太)、モリー(真堂圭)、ランドウ(塾一久)、ぐるみん(青山吉能)
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「RVR〜ライジングボルテッカーズラップ〜」
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テレビアニメ『ポケットモンスター (2023)』エンディングテーマ
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リコ(鈴木みのり)、ロイ(寺崎裕香)、ランドウ(塾一久)
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「RVR〜ライジングボルテッカーズラップ〜 - ランドウVer.」 「RVR〜ライジングボルテッカーズラップ〜 - ランドウVer. PART2」
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脚注
シリーズ一覧
- ^ 第3期『サードシーズン』(2018年)、第4期『Next Summit』(2022年)
- ^ 第1シリーズ(2020年)、第3シリーズ(2022年)
出典
外部リンク
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代表取締役 | | |
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所属声優 |
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準所属(男性) | |
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準所属(女性) | |
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預かり(男性) | |
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預かり(女性) | |
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旧・所属声優 | |
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関連会社 | |
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関連人物 | |
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