冷却塔(れいきゃくとう、クーリングタワー、cooling tower)とは、水などの熱媒体を大気と直接または間接的に接触させて冷却する熱交換器の一種で特に屋外に設置するものをさす。また、加熱に使用するものを加熱塔と呼ぶ。
水の一部を蒸発させてその潜熱により冷却する原理であり、その伝熱量は、水の蒸発潜熱によるものが約80%、温度差(顕熱)によるものが約20%と言われる[1]。原理的には外気温よりも低温(湿球温度近くまで)の水を得ることができ、空冷熱交換器よりも高い伝熱効率を得られることが特長である。[2]
一般的な熱交換器と同様、流れの方向によって以下のように分類される。
冷却塔の熱交換部では、エネルギ保存則より「水温低下により水が失う熱量」=「蒸発潜熱を含む熱交換により空気が得る熱量」、すなわち
が成り立つ[3]。ここで
である。またこの熱量はニュートンの冷却の法則、フィックの法則およびルイスの関係をもちいることで、境膜のエンタルピーと空気のエンタルピーの差に比例すると考えることができる。
ここで
である。
向流型の場合、dtw や dh などの微小量は流れの向きに沿った微分(dtw/dx 等)で置き換えられる。直交流型の場合は、水の流れの向きをx軸、空気の流れの向きをy軸などと置き、次式に書き換えられる。
ここで l, g は、単位断面積あたり流れる水量と空気量である。
Kaは水量と風量に依存し、向流型の場合には次の式で整理される[6]。
ここで A は充填物の断面積、m, n は実験的に決まる定数である。また、Ka は水温による物性の変化にも依存すると言われ、次の無次元式で整理されることもある[4]。
である。物性値は実用上便利なように平均水温における値などを用いる。
冷却能力は、水量、風量、冷却水温度、大気温湿度など多くのパラメータに依存している。しかし移動単位数(NTU)という無次元数を用いると、パラメータを減らし解析を容易にすることができる。NTUには、冷却塔が出せる能力を表す有効NTU(available NTU、(NTU)a)と、温度等の仕様条件から計算される必要NTU(required NTU、(NTU)r)の2種類がある。
解析の際には、横軸に N(水の質量流量 / 空気の質量流量)をとってそれぞれのNTUをグラフに表し、それらの交点、すなわち(NTU)a = (NTU)r となる N が実際の運転状態を表すことを利用して冷却能力などを求める。
冷却水の温度を一定に保つため各種制御が使用される。
冷却塔より排気される空気はほぼ飽和蒸気であるため、雨の日や冬季など、外気の相対湿度が高い場合に排気が過飽和状態となって結露し、白煙が立ち上るように見えることがある。この白煙は周囲の視界の障害となったり、火災に誤認されトラブルになる場合がある。白煙を防ぐには熱交換後の空気の相対湿度を下げてから排気することが必要であり、空気を加熱する方法や外気と混合する方法などが用いられる[7]。
開放型の場合は水が蒸発するので補給水が必要であり、下部に溜まった水が少なくなれば自動的に補給されるようになっている。循環する間に腐ったり、藻が発生することもあるので防腐剤や防錆剤などの薬品を投入することがある。この水が飛散すると防腐剤入りの雨が降ることになるので、古いビルの下を歩くときは注意が必要である。
既述のとおり、レジオネラ菌の発生には特に気を付けなければならず、法令(建築物環境衛生管理基準)に従い冷却塔及び冷却水の定期的な点検・清掃等が必要である。
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