『兄帰る』(あにかえる)は、永井愛作の戯曲。第44回岸田國士戯曲賞受賞作品[1]。永井の演出で、1999年と2013年に二兎社による舞台上演が行われた。また、2000年に而立書房より出版されている。
あらすじ
夏のある日、中村家に長年厄介者扱いされてきた長男の幸介が帰ってきた。人生をやり直すため仕事が見つかるまでの間、幸介は家に住み着くことになる。親族たちは幸介の就職を実現しようと様々な手を考えるが、世間体、面子、建前、義理、人情などそれぞれの思惑が重なり合い、話は揉めることになる。
登場人物
- 中村幸介(なかむら こうすけ) - 本作品の中心人物。慶應義塾大学を卒業したが、会社の金に手を出して破滅し、上野公園でホームレス生活を送っていた。16年ぶりに実家の中村家に戻り、居候生活を送るようになる。
- 中村真弓(なかむら まゆみ) - 幸介の弟の妻。フリーライターとして活動している。息子の拓(ひらく)は小学5年生で、幸介が来たときにはオーストラリアにファームステイしている。
- 中村保(なかむら たもつ) - 幸介の弟で真弓の夫。やや小心者。「ガープ」という名の犬を飼っている。
- 小沢百合子(おざわ ゆりこ) - 幸介の姉。幸介をひどく嫌っている。「あゆみ」という名の娘がいる。
- 小沢正春(おざわ まさはる) - 百合子の年下の再婚相手。電化製品の技術者で、中村家の冷蔵庫を修理しに来る。
- 中村昭三(なかむら しょうぞう) - 幸介の父の弟。ある会社の顧問を務めている。幸介を取引先の食肉問屋に就職させようと試みる。
- 前田登紀子(まえだ ときこ) - 幸介の母の妹。酒屋を営んでいる。昭三とは折り合いが悪い。
- 金井塚みさ子(かねいづか みさこ) - 真弓の友人。やや風変わりな言動をする。息子の大五郎は拓と一緒にオーストラリアに行っている。
上演
1999年初演
二兎社第26回公演として、1999年6月25日から7月11日までシアタートラムにて上演された。世田谷パブリックシアター提携[2]。
- キャスト
- スタッフ
- 作・演出 - 永井愛
- 美術 - 大田創
- 照明 - 中川隆一
- 音響 - 市来邦比古
- 衣裳 - 竹原典子
- 演出助手 - 黒岩亮
- 舞台監督 - 小山博道
- 舞台監督助手 - 太刀岡正、竹内章子
- 制作(二兎社) - 安藤ゆか、加治真理
- 制作(世田谷パブリックシアター) - 松井憲太郎、新里康昭
2013年再演
二兎社第38回公演として、2013年8月3日から9月1日まで東京芸術劇場シアターウエストにて公演された後、9月3日から10月4日にかけて全国ツアー(地方公演)が行われた。
- キャスト
- スタッフ
- 作・演出 - 永井愛
- 美術 - 大田創
- 照明 - 中川隆一
- 音響 - 市来邦比古
- 衣裳 - 竹原典子
- 舞台監督 - 澁谷壽久
- 演出助手 - 鈴木修
- ヘアメイク - 清水美穂
- 宣伝写真 - 須藤秀之
- WEBデザイン - 秦明俊
- 票券 - 渡邊妙子(ぷれいす)
- 制作 - 安藤ゆか、本村明日香
出典
外部リンク
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1950年代 |
- 第1回 該当作なし
- 第2回 大橋喜一『楠三吉の青春』/小幡欣治『畸形児』
- 第3回 該当作なし
- 第4回 堀田清美『島』
- 第5回 該当作なし
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1960年代 | |
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2000年代 | |
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2020年代 |
- 第64回 市原佐都子『バッコスの信女-ホルスタインの雌』/谷賢一『福島三部作 第1部「1961年:夜に昇る太陽」 第2部「1986年:メビウスの輪」 第3部「2011年:語られたがる言葉たち」』
- 第65回 該当作なし
- 第66回 福名理穂『柔らかく搖れる』/山本卓卓『バナナの花は食べられる』
- 第67回 加藤拓也『ドードーが落下する』/金山寿甲『パチンコ(上)』
- 第68回 池田亮『ハートランド』
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