株式会社丸亀製麺(まるがめせいめん)は、うどん専門飲食店を経営するトリドールホールディングス傘下の企業、およびその店舗ブランド[1]。東京都渋谷区道玄坂の渋谷ソラスタ19階に本社を置く[2]。
当初はトリドールが直営する一ブランドであったが、2016年の会社分割を経て株式会社丸亀製麺となった[1]。釜揚げうどん等を店内で製麺・調理し低価格で提供する直営多店舗展開を行っている。
2021年6月までは東京都と兵庫県神戸市の2本社体制であったが、現在は東京本社に一本化されている[1]。トリドールは兵庫県加古川市発祥の企業で、丸亀製麺の1号店も加古川市に出店している。
社名および店名は「丸亀」であるが、香川県丸亀市発祥の企業ではなく、同地に店舗も存在しない(#名称の由来を参照)。また、丸亀市には麺類の製造販売を行う「丸亀製麺株式会社」が1969年から[3]2023年まで存在した[4]が、本項で扱う「丸亀製麺」とは無関係である。
うどん専門店の「丸亀製麺」は、焼鳥ファミリーダイニング「とりどーる」などを運営するトリドールの2000年代後半以降における主力業態である[5]。
2000年(平成12年)11月にセルフうどん業態を導入した1号店「丸亀製麺加古川店」を兵庫県加古川市に開店した[6] ことをはじめに、街道沿いの郊外型ロードサイド店舗を中心に、ショッピングモール内のフードコートや都心部向けのビルイン店舗などを積極的に出店している[7]。店舗看板や公式ウェブサイトでは「讃岐釜揚げうどん 丸亀製麺」「釜揚げ讃岐うどん 丸亀製麺」「セルフ釜揚げうどん 丸亀製麺」など、特徴部分のキャッチコピーと店舗名が併記されている。
2000年代後半以降、トリドールは丸亀製麺の大量出店を進めた。その理由として従来はうどん・そば市場は寡占化が進まず産業集約が遅れていたことや、うどん専門でガリバー企業を目指したチェーンストアがなく、大量出店を継続し経営基盤を拡充することで同社が圧倒的なトップリーダーになる可能性があり、強い意向で達成するためとしている[8]。2000年代後半からの出店攻勢により、2009年(平成21年)11月時点で同業大手のはなまるうどんの店舗数(約270店)を抜いてセルフうどん市場における店舗数第1位(321店)となった[9]。
2011年(平成23年)5月9日に「丸亀製麺 沖縄美里店」を新規開店したことで、うどん店業界としては初となる全47都道府県への出店を達成した[10]。
2018年(平成30年)3月時点での店舗数が、国内外で計1,000店を達成した[11]。また2018年度からは「こころのうどん 丸亀製麺」のキャッチフレーズを使用し、CMでは新たに制作されたサウンドロゴも導入した。
店名および社名の「丸亀製麺」は、トリドールの創業者である粟田貴也が2000年に丸亀市を訪れており、うどんを出来たてで食べさせる製麺所に客が列を成している様子を見て、「丸亀」を冠したうどん店を発案したことが由来となっている[12]。粟田は実父が香川県坂出市の出身で、幼い頃から讃岐うどん文化に慣れ親しんできた。「もっと讃岐うどん文化を広めたい」との思いから、坂出市に隣接し讃岐うどんの聖地とされる丸亀市にちなんで「丸亀製麺」と名付け、より洗練した形にパッケージしたセルフ式うどん専門店の展開を始めたという。他にうどん専門店にこだわった理由として、ヘルシーで低価格であり、客層が広く家族連れや高齢者1人の来店頻度も高いことなどを挙げている[8]。
丸亀市には、いわゆる製麺所タイプのセルフうどん店「丸亀製麺」(1969年創業)があったが、その存在をトリドールが知ったのは「丸亀製麺」出店後だったという[13]。
「讃岐うどん」の名称使用について条件を満たす必要があるのは、全国公正取引協議会連合会が定める「生めん類の表示に関する公正競争規約及び公正競争規約施行規則」[14] に基づき、「名産」「特産」「名物」「本場」などの文言を表示する場合のみ、指定の品質基準を満たす必要があるが、それ以外の場合は制限がないため、この条件に該当しない丸亀製麺が「讃岐うどん」の名称を使用したり「讃岐」をイメージさせる店名を名乗ること自体は問題がない[15](讃岐うどん#名称も参照)。
日本国外における読みは「MARUKAME」(マルケーム)としており「MARUGAME」(マルゲーム)としなかったのは、英語圏では「GAME」が「ゲーム」と読まれる可能性があることと、英語話者にとっては読みづらいという理由による。なお、同じ読みの地名は香川県東かがわ市の「丸亀島」(まるかめじま)という無人島に存在する。また、アメリカ合衆国ハワイ州にあるワイキキ店では正式名称を「SEIMEN(製麺)」から「UDON」に変更しているが[16]、理由として日本国外で「うどん」の単語は英語化されて馴染みがあり、うどん専門店であることをアピールするためとしている[17]。その後、ワイキキ店の看板は2023年10月に「MARUGAME UDON」に変更[18]。現地の人に「マルガメ」と読まれていることがわかったためという。
前述の通り丸亀市には店舗はなく、香川県全体でも高松市に1店舗が存在するのみである(2022年7月時点)[19]。
香川県内の店舗のうち、2012年1月に最初に進出したイオンモール高松(高松市香西本町)のフードコート内店舗は[20]、かつて「亀坂製麺」として営業していた[21]。香川県には丸亀市内に「丸亀製麺」と同名別企業の「丸亀製麺株式会社」という製麺所が存在することから、デベロッパー側から店名変更を依頼されたことが理由であった。[要出典]
しかし、同じ香川県でも2012年1月11日に開店した丸亀製麺栗林公園店(高松市室新町)からは「丸亀製麺」として開業し[20]、イオンモール高松の店舗も後に「丸亀製麺」に変更された[19]。その後、栗林公園店は2015年1月18日に[22][23]、イオンモール高松店は2022年2月27日に[24] それぞれ閉店し、香川県内における店舗は同年2月28日以降、高松レインボー通り店の1店舗のみとなっている[24]。なお、栗林公園店はトリドール直営の珈琲店が居抜き出店している。
2022年4月、トリドールホールディングスは丸亀市との間で地域活性化包括連携協定を締結した。同社は離島振興などに取り組むとしている[25][26]。
2024年11月、丸亀製麺は丸亀市の離島である広島に研修施設「心の本店」を開業した。同社はこの研修施設にて従業員に対して「三つ星」の研修及び試験の会場として使用すると共に親子うどん作り体験教室などを開催して、同島の交流人口増加にも貢献したいとしている[26]。
うどんは打ちたてを謳い[54]、全店舗で製麺機を導入して店内で自家製麺を行なっており[55]、うどん用の小麦粉は100%日本国内産(北海道産)を用いている[54][55]。製麺機は大半の店舗が大和製作所[56] のもので、一部はさぬき麺機の製麺機を使用している店舗がある。どちらも香川県のメーカーであり、讃岐うどんを製麺するのに適した機械である。
麺は「茹でたて」を謳っている[54] が、客を待たせないなどの理由で茹で置きを行う場合もあり、その際は鮮度を保つために20分以上経ったものは商品として出さない方針としている[57]。かけうどんの出汁は、北海道産の上質な真昆布と宗田節、鰹節、ムロ節などをブレンドした削り節を加えて作る白だしをベースに、しょうゆやみりん、砂糖などから作る2種類の「かえし」を加えたもので、だしサーバー、あるいはスタッフに声をかけることで、自由におかわりすることが可能となっている[58]。また、麺が水切りの際に傷つくのを防ぐため、ザルではなく独自の水切り機で水を切っている[59]。
看板商品の釜揚げうどんをはじめ、かけうどんやぶっかけうどん、釜玉うどんなどのうどんメニューと、天ぷら(素材により産地は異なる)やおにぎり(国産)などのサイドメニューから構成されている[57]。トッピングではネギ(中国産他)とショウガ(中国産他)、天かす(アメリカ産他)、すりごま(エチオピア、ナイジェリア産他)などが一部店舗を除き入れ放題である。またかけうどんの出汁はサーバーから自由に好きなだけ入れることができる(一部店舗を除く)。天ぷらも各種揃えて充実しており、一番人気の野菜かき揚げは、玉ねぎ(中国産他)、にんじん(中国産他)、かぼちゃ(ニュージーランド産他)などを専用の器具を用いて直径約8センチメートルにし、高さのある形状に揚げたもので名物化している[57][60]。他にかしわ天(とり天、タイ産他)などがある(一部店舗を除く)。
大晦日(12月31日)には天ぷらの売り上げが伸びることから大晦日限定の天ぷらを販売している。また、当日に限りうどんの販売は行わず、持ち帰り用の天ぷらのみを販売する店舗もある[61]。
2023年には、「シェイクうどん」を発売し、3日で20万食売れ話題となった[62]。
丸亀製麺では、英語圏ではぶっかけうどんを「B.K.」と表記している。これは、「Bukkake」がアダルト用語として認知されていることから、表記を変更したものである[63]。
2024年6月25日に「うどーなつ」発売、生地にうどんと特製白だしを混ぜて作ったドーナツ。2025年4月現在、「きび糖味」と「チョコ味」の二種類を販売している[64]。
トリドールホールディングスはアニマルウェルフェア(家畜福祉)の方針を示しており、トリドールホールディングスのグループ会社である丸亀製麺では、2022年度時点で10店舗においてケージフリーの卵が使用されている[65]。