外見
銀白色
一般特性
名称 , 記号 , 番号
ビスマス, Bi, 83
分類
貧金属
族 , 周期 , ブロック
15 , 6 , p
原子量
208.98040 (1)
電子配置
[Xe ] 4f14 5d10 6s2 6p3
電子殻
2, 8, 18, 32, 18, 5(画像 )
物理特性
相
固体
密度 (室温 付近)
9.78 g/cm3
融点 での液体密度
10.05 g/cm3
融点
544.7 K , 271.5 °C , 520.7 °F
沸点
1837 K , 1564 °C , 2847 °F
融解熱
11.30 kJ/mol
蒸発熱
151 kJ/mol
熱容量
(25 °C ) 25.52 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa)
1
10
100
1 k
10 k
100 k
温度 (K)
941
1041
1165
1325
1538
1835
原子特性
酸化数
3 , 5 (弱酸性酸化物 )
電気陰性度
2.02(ポーリングの値)
イオン化エネルギー
第1: 703 kJ/mol
第2: 1610 kJ/mol
第3: 2466 kJ/mol
原子半径
156 pm
共有結合半径
148 ± 4 pm
ファンデルワールス半径
207 pm
その他
結晶構造
三方晶系 [ 1]
磁性
反磁性
電気抵抗率
(20 °C ) 1.29 µΩ⋅m
熱伝導率
(300 K) 7.97 W/(m⋅K)
熱膨張率
(25 °C ) 13.4 μm/(m⋅K)
音の伝わる速さ (微細ロッド)
(20 °C ) 1790 m/s
ヤング率
32 GPa
剛性率
12 GPa
体積弾性率
31 GPa
ポアソン比
0.33
モース硬度
2 - 2.5
ブリネル硬度
94.2 MPa
CAS登録番号
7440-69-9
主な同位体
詳細はビスマスの同位体 を参照
ビスマス (英語 : bismuth [ˈbɪzməθ] )あるいは蒼鉛 ( そうえん ) は、原子番号 83の元素 。元素記号 は Bi (ラテン語 : Bismuthum から)。第15族元素 の一つ。
名称
日本名は蒼鉛 ( そうえん ) 。
ビスマスのドイツ語 Wismut は、1472年 に与えられたザクセン州 シュネーベルクの草原 (Wiese) の採掘許可権 (Mutung) から生まれた語 Wiesemutung に由来する。当時ビスマスは、アンチモン 、錫 、亜鉛 などと混同されていた[ 2] 。
特徴
人工的に作ったビスマスの結晶。酸化膜による構造色と、骸晶による特徴的な形状から、観賞用として市販されている。
淡く赤みがかった銀白色の金属 で、柔らかく脆い。結晶は虹色を示すことがあるが、これは表面の酸化膜で光が干渉 することによる構造色 であり、ビスマス単体の色ではない。半金属 に分類される場合もあり[ 3] 、電気伝導性 や熱伝導性 は高くない。融点 は271.3 °C と低い。
常温 で安定に存在し、凝固 すると体積が増加する。ビスマス化合物には医薬品 の材料となるものがあり、他の窒素族元素(ヒ素 やアンチモン )の化合物に毒性 が強いものが多いことと対照的である [疑問点 – ノート ] 。
また、常温で強い反磁性 を示すため、ビスマスを乗せた皿を水の上に浮かせるなど摩擦係数を減らしたものに強力な磁石を近づけると、反発し動くことを確認できる。
産出
天然には硫化物(輝蒼鉛鉱 )として主に産出するが、自然蒼鉛 として単体での産出も知られている。鉱工業上はこれらの鉱物ではなく、主に鉛 、モリブデン 、タングステン 精錬の副産物として生産される[ 4] 。18世紀 にフランス のクロード・F・ジョフロア により、単体 であることが確認された。
ビスマス鉱石
ビスマス鉱石を構成する鉱石鉱物 には、次のようなものがある。
日本ではビスマス単産の鉱山は無く、恵比寿鉱山 (タングステン)、足尾鉱山 (銅)などで副産物としてビスマスが生産された。
用途
医薬品 (整腸剤)の原料として、日本薬局方 に収載されている。
単体のビスマスと他の金属(カドミウム 、錫 、鉛 、インジウム など)との合金は、それぞれの金属単体より低い融点となる。このため、鉛フリーはんだ に添加されたり、あるいはより低温で溶けるウッド合金 のような低融点合金 に使われる。また、ビスマスは大きな熱電効果 を示す物質であり、特にテルル との合金は熱電変換素子 として実用化されている。
化合物としては、銅酸化物高温超伝導体 の1成分としても用いられ、ビスマスを含む超伝導 物質はしばしばビスマス系高温超伝導物質、または単にビスマス系と呼ばれる。
上記以外にも、高比重・低融点で比較的柔らかく無害であることから鉛の代替として注目され、散弾 や釣り用の錘 、鉛・カドミウムの代替として黄銅への添加剤、ガラスの材料などとしても用いられる。
同位体
天然に存在するビスマスの同位体は全て放射性同位体 である。主要な同位体である 209 Bi は長らく安定同位体 とされてきたが、理論的計算に基づいて不安定である可能性が指摘されていた。2003年、精密な測定で非常に長い半減期を持つ放射性同位体であることが判明し[ 5] 、最重安定同位体 の地位を鉛 (208 Pb) に譲ることとなった。
209 Bi はごくわずかにα崩壊 により崩壊するが、その半減期 は2003年 に測定された値で (1.9 ± 0.2) × 1019 年(≒ 1700京〜2100京年)である。この値は現在の宇宙年齢 の9桁以上も長い[ 6] 。
その他にも、半減期は短いが自然界には5つの同位体が存在する。いずれも、壊変系列の崩壊過程によって発生する同位体である。ウラン233の崩壊過程でできるビスマス213はα崩壊核種であり、α線を用いたがん の治療に期待されている(Actimab-B TM )[ 7] 。
ビスマスの化合物
収斂作用を持つビスマスの化合物は、腸粘膜 のタンパク質と結合して被膜を作り炎症を起こした粘膜への刺激を和らげる効果があり、整腸剤 として利用される。
脚注
出典
^ Bismuth , mindat.org
^ 大学教育研究会編 「化学―物質と人間の歴史―」開成出版、1985年、ISBN 4-87603-044-8
^ 第2版,世界大百科事典内言及, 化学辞典 第2版,日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,百科事典マイペディア,精選版 日本国語大辞典,デジタル大辞泉,栄養・生化学辞典,世界大百科事典. “ビスマスとは ”. コトバンク . 2021年8月5日 閲覧。
^ Bismuth, Mineral Commodity Summaries (1996) Bismuth, USGeological Survey.
^ セオドア・グレイ著 「世界で一番美しい元素図鑑」193ページ 2015年10月1日閲覧
^ de Marcillac, P. Coron, N. Dambier, G. Leblanc, J. & Moalic, J.-P. Experimental detection of α-particles from the radioactive decay of natural bismuth. Nature 422, 876-878 (2003).
^ Allen BJ., "Clinical trials of targeted alpha therapy for cancer.", Rev Recent Clin Trials. 2008 Sep;3(3):185-91. (PubMed) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18782076
外部リンク
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