{{翻訳告知|en|Electronegativity|…}}
電気陰性度(でんきいんせいど、英: electronegativity)は、原子が電子を引き寄せる強さの相対的な尺度であり、ギリシア文字のχで表される[1]。
異種の原子同士が化学結合しているとする。このとき、各原子における電子の電荷分布は、当該原子が孤立していた場合と異なる分布をとる。これは結合の相手の原子からの影響によるものであり、原子の種類により電子を引きつける強さに違いが存在するためである。
この電子を引きつける強さは、原子の種類ごとの相対的なものとして、その尺度を決めることができる。この尺度のことを電気陰性度と言う。一般に周期表の左下に位置する元素ほど小さく、右上ほど大きくなる。
定義:Eを原子同士の結合エネルギーとし、原子 A と原子 B の結合エネルギーの実測値を、E(A-B) とすると、純粋な共有結合と仮定した場合の結合エネルギーとの差、ΔE(A-B) が定義できる。
この ΔE(A-B) に関して、
を満たすように決めた χ P A {\displaystyle \,\chi _{\rm {P}}^{\rm {A}}} が原子 A に関してのポーリングの電気陰性度である( χ P B {\displaystyle \,\chi _{\rm {P}}^{\rm {B}}} は原子 B の電気陰性度)。K は適当な係数である。
定義:原子 A のイオン化エネルギーを IA、電子親和力を EAとして、
で求まる χ M A {\displaystyle \,\chi _{\rm {M}}^{\rm {A}}} が原子 A に関してのマリケンの電気陰性度である[2]。原子 B では添え字が A → B になる。
ライナス・ポーリングの電気陰性度とロバート・マリケンの電気陰性度は、原子毎のその値の大小関係の傾向が互いに類似し、
のような換算式も存在する[2]。違いは、マリケンの電気陰性度では、その定義式右辺にある IA、EA の値が周囲の状況によって異なることがあり、これにより同じ原子でもマリケンの電気陰性度が状況により異なることがある(例:アセチレンの炭素原子でのマリケンの電気陰性度は、メタンのそれより大きな値となる)。
定義:ある原子中の価電子の有効核電荷を Zeff、原子の共有結合半径を r として、
で与えられる χAR がオールレッド・ロコウの電気陰性度である[3]。
この尺度は A. L. Allred と E. G. Rochow が提案したものであり、電気陰性度が原子表面の電場の強さで決定されるという考え方に基づいている[2]。原子表面での電位は Zeff/r に比例し、電場の強さは Zeff/r2 に比例する。これを用いて、ポーリングの電気陰性度と似通った値になるように係数を選んだのがこの尺度である[3]。
参考:w:en:Allred-Rochow scale