ハイシャパラル (High Chaparral) はアイルランドの競走馬。2002年と2003年のエクリプス賞最優秀芝牡馬。2003年のワールドシリーズ・レーシング・チャンピオンシップ総合優勝馬。名前の由来は「樫の高木の密林」の意。
概要
2002,03年の欧州競馬を引っ張った一流馬で、エプソムダービー、アイリッシュダービー、ブリーダーズカップ・ターフ連覇など、華々しい成績を残した。引退後はクールモアスタッドで種牡馬として供用され、北半球と南半球の双方で優れた産駒を送り出した。
戦績
2歳・3歳時代
タタソールズ・ホウトン・イヤリングセールでは27万ギニー(約4700万円)で取引される。デビュー戦こそ2着に敗れたものの、ダービーへの登竜門とされるレーシングポストトロフィー (G1) を制す等2歳時からすでに頭角を現していた。
翌シーズンもバリサックスステークス(L)を7馬身差で圧勝し、幸先のいいスタートを切る。そしてアイリッシュダービートライアルステークス (G3) も快勝しエプソムダービー (G1) へと駒を進める。だが、エプソムダービーでは共にマイケル・キネーンを主戦騎手とする同じ厩舎のホークウイングも出走するため、選択を迫られたキネーンは結局ホークウイングを選び、ハイシャパラルはジョニー・ムルタを背にエプソムダービーへと挑むことになった。レースでは1番人気こそホークウイングに譲ったが、早め先頭に抜け出すと、追撃するホークウイングを2馬身、翌年ドバイワールドカップに優勝するムーンバラッドを14馬身も振り切り優勝した。さらにその後、比較的手薄だったアイリッシュダービー (G1) も楽勝し、秋競馬に向けて休養に入った。
迎えた凱旋門賞 (G1) では1番人気に押されたものの臨戦過程は万全ではなく、体調を崩し前哨戦となるニエル賞 (G2) も回避していた。対する相手はこの年のジョッケクルブ賞 (G1) 優勝馬で前走ニエル賞も快勝していたスラマニ、前年2着のアクワレリスト等であった。日本からも同年の天皇賞(春)優勝馬マンハッタンカフェが出走していた。ハイシャパラルは直線1度は先頭に立ったものの、病み上がりが影響したのか意外に伸びずマリエンバードの3着に終わっている。この後アメリカに遠征、ブリーダーズカップ・ターフ (G1) でウイズアンティシペイションを下してエクリプス賞芝牡馬チャンピオンに選出された。
古馬時代
翌春は肩に問題を抱え全休。8月のロイヤルウィップステークス (G2) で復帰するとアイリッシュチャンピオンステークス (G1) ではアラムシャー、ファルブラヴ、ムーンバラッド、イズリントン、ヴィンテージティプル等の強豪を抑え貫禄勝ちを見せる。だが続いて出走した2度目の凱旋門賞では再び1番人気に押されたもののダラカニの3着に敗れた。そしてブリーダーズカップ・ターフを連覇した後に引退した。この年は2年連続となるエクリプス賞芝牡馬チャンピオンに選出されている。凱旋門賞は2年連続1番人気の3着に敗れたものの、それ以外はデビュー戦しか敗れておらず全てのレースで3着以内に入った。近年のエプソムダービー優勝馬にしてはめずらしく長い間安定して能力を発揮した名馬であった。
競走成績
種牡馬時代
引退後はアイルランドのクールモアスタッドで種牡馬入りした。産駒は2007年にデビュー。シャトル種牡馬としてニュージーランド、オーストラリアでも供用されており、多くの活躍馬を輩出した。とりわけオーストラリアでは、北半球と南半球でG1を合計10勝したソーユーシンク、シドニー秋季3歳三冠を達成したイッツアダンディールといった、中距離の傑出馬を送り出している。
2014年末に疝痛で馬専門病院に搬送され、開腹手術を行ったものの腸に穴が開いていて手の施しようがなく、安楽死処分となった[1]。
主な産駒
G1級競走優勝馬
勝ち鞍はG1級競走のみ表記。
北半球
- 2006年産
- 2007年産
- Wigmore Hall - ノーザンダンサーターフステークス連覇
- 2008年産
- 2009年産
- 2010年産
- 2011年産
南半球
- 2006年産
- 2009年産
- 2010年産
- 2011年産
その他の競走馬
血統表
血統背景
父は大種牡馬サドラーズウェルズ、母カソラは未出走馬。全弟のブラックベアーアイランド (BLACK BEAR ISLAND) はダンテステークスの勝ち馬。
脚注
外部リンク