ダニエル・リチャード・グリーン・ジュニア(Daniel Richard Green Jr. , 1987年6月22日 - )は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ノース・バビロン出身のプロバスケットボール選手。ポジションはシューティングガードとスモールフォワードを兼ねるスウィングマン。元NBA選手のジェラルド・グリーンは従兄弟である[1]。
経歴
ハイスクール
ノース・バビロン・ハイスクールに入学し、初年度は、バスケットボールだけでなく、アメリカンフットボールチームでクォーターバックをプレーした。2年時にマンハッタンのセントメリーハイスクールに入学し、3年時には平均20得点、10リバウンド、4アシスト、4ブロックの好成績を残している。2005年のカレッジ進学選手の全米ランクで、No.8のシューティングガード、全体でNo.31番目の選手、州ではNo.3の選手と目された[2]。
カレッジ
2005年にノースカロライナ大学に進学し、ターヒールズでの初年シーズンは、シックスマンであった。2シーズン目で平均5.2得点、2.8リバウンドの成績を残した。2年目を終えた時点で転校を予想されていたが、その後も残り、カレッジキャリアのすべてをノースカロライナ大で終えている。3年次に平均22分出場、11.5得点、4.9リバウンド、2.0アシスト、1.2スティール、1.2ブロックの成績を残し、ゴール成功率も46.9%、フリースロー成功率87.3%、3ポイント成功率37.3%と向上を見せた。4年次進級を前に、2008年NBAドラフトにアーリーエントリーを表明したが、大学に残る選択肢を残すためにNCAAルールに従いエージェントとは契約せず、結局6月16日に大学に残ることを選択した。4年次には平均27分出場、13.1得点、4.7リバウンド、2.7アシスト、1.8スティール、1.3ブロック、ゴール成功率47.1%、3ポイント成功率41.8%と成績を軒並み向上させた。このシーズンでACCオールディフェンシブチームに選ばれ、タイラー・ハンズブローらと共にチームキャプテンを務め、2009年NCAAチャンピオンを獲得した。
主な記録
NBAキャリア
クリーブランド・キャバリアーズ
クリーブランド・キャバリアーズ時代のグリーン(2009)
ノースカロライナ大学を卒業し、2009年NBAドラフト2巡目46位で、クリーブランド・キャバリアーズに指名を受けNBAのプレーヤーとなったが、数度のウェーバー、Dリーグなどを経て、2011年、サンアントニオ・スパーズと契約。
サンアントニオ・スパーズ
スパーズ入団直後はロースターに定着できず苦労したが、2年目で3ポイントシューターとしての資質が開花し、その高い成功率とタフなディフェンスでスターターに定着した。特に2013年ファイナル第3戦でスパーズは、9本中7本を成功させたグリーンを中心とし、ゲイリー・ニールらとともにNBAファイナル1試合新記録の3ポイント16本(32投)を決めた。第6戦では6本のスリーポイントを決め、対戦チームのレイ・アレンがボストン・セルティックスで2008年に記録したファイナル3ポイント総成功数記録22本を超え、更に25本まで記録を伸ばした。この時点で成功率は66%であった。更に第6戦、最終戦ではそれぞれ1本に抑えられ敗れたものの、記録を27本にまで伸ばした。
2013年 NBAファイナル 3ポイント記録
Game |
成功数ー投数 |
成功率 |
合計成功数 |
合計投数 |
総成功率
|
1[3] |
4-9 |
.444 |
4 |
9 |
.444
|
2[4] |
5-5 |
1.000 |
9 |
14 |
.642
|
3[5] |
7-9 |
.777 |
16 |
23 |
.700
|
4[6] |
3-5 |
.600 |
19 |
28 |
.679
|
5[7] |
6-10 |
.600 |
25 |
38 |
.658
|
6[8] |
1-5 |
.200 |
26 |
43 |
.605
|
7[9] |
1-6 |
.166 |
27 |
49 |
.551
|
2013-14シーズンは、手の骨折により14試合を欠場したが、68試合に出場、59試合に先発し、3ポイントを135本、41.5%の高率で決めた。ファイナルを含めたプレーオフでは、すべての試合に先発出場し、安定した3ポイントと、タフなディフェンスで重要な場面でスティールを成功させ、主力として優勝に貢献した。この優勝により、マイケル・ジョーダン、ジェームズ・ウォージーと同じくNCAAおよびNBAでチャンピオンとなったノースカロライナ大学出身選手の仲間入りを果たした。2014年7月、ノースカロライナ大学、クリーブランド・キャバリアーズ時代の背番号14に戻すと公表した[10]。
2014-15シーズンは、カワイ・レナードと共にダブルスウィングマンとしてスターターに定着し、ディフェンスでは、相手エースとのマッチアップも増え、オフェンスでは従来のスポットアップの3ポイントに加え、カットプレーなどのバラエティも増やして、ロールプレーヤー的な選手から主軸選手へと変貌した。
1月22日のワシントン・ウィザーズ戦で、スパーズ史上最速の256試合で、500-3ポイント成功を達成した。500以上達成選手は、マヌ・ジノビリ(385試合)、ブルース・ボウエン(661/430試合)、マット・ボナー(401試合)、ショーン・エリオット(563/608試合)を含め5人。
3月12日、クリーブランド・キャバリアーズ戦で5本の3ポイントを決め、5本以上を記録した試合数を29試合とし、マヌ・ジノビリのスパーズ記録に並んだ。
4月12日、フェニックス・サンズ戦で3本の3ポイントを決め、シーズン3ポイント成功数を191とし、正確なショットから”ライフルマン”と呼ばれたチャック・パーソンの1998年の190を抜き、スパーズのフランチャイズ記録を達成した[11]。
2015年7月1日、フリーエージェントとなった同日にスパーズと4年4500万ドルの再契約に合意し[12]、7月14日、契約にサインした[13]。
2015-16シーズンは、開幕から自身の最大の武器である3ポイントの調子が上がらず苦戦したが、安定したディフェンス能力を発揮し、チームの好スタートに貢献した。2016年1月6日のユタ・ジャズ戦で、662本目となる3ポイントを決め、スパーズフランチャイズ記録で、ブルース・ボウエンを抜き2位となった[14]。
2016年11月9日、左大腿筋の故障が回復し、シーズン初出場となった[15] 。2016−17シーズンのNBAオールディフェンシブチームのセカンドチームに選ばれた[16]。
2017年12月28日のニューヨーク・ニックス戦で、リーグ127人目となる3ポイント成功数900を記録した[17]。
トロント・ラプターズ
2018年7月18日にカワイ・レナードとデマー・デローザンを含む大型トレードでトロント・ラプターズに移籍した[18]。ラプターズではレギュラーシーズン80試合に出場し全試合でスターターとして起用される。平均得点10.3点、3Pシュート成功率45.5%と堂々たる数字を残しラプターズ初優勝に大きく貢献した。
ロサンゼルス・レイカーズ
2019年7月6日に2年3000万ドルでレイカーズと契約した[19]。
2019年10月22日にロサンゼルス・クリッパーズとのシーズン開幕戦にて、32分間の出場で9本中7本のスリーポイントを沈め、28得点を記録したがチームは112-102で敗れた。そして28得点はカリーム・アブドゥル=ジャバーのレイカーズのデビュー戦の27得点を上回り、デビュー戦得点記録としてレイカーズのフランチャイズ最高記録となった[20]。
フィラデルフィア・76ers
2020年11月18日にデニス・シュルーダーとのトレードでジェイデン・マクダニエルズの交渉権とともにオクラホマシティ・サンダーへ移籍し[21][22]、さらに12月8日にアル・ホーフォードとテオ・マレドンらの交渉権と将来のドラフト指名権のトレードでフィラデルフィア・76ersへ移籍した[23]。2020-21シーズン終了後にシクサーズと2年2000万ドル(2年目は無保証)で再契約した[24]。
2021-22シーズンも主力として活躍したが、プレーオフのマイアミ・ヒートとのカンファレンス準決勝第6戦にて、チームメイトのジョエル・エンビードと交錯して左膝の前十字靭帯と外側側副靱帯を断裂[25]。チームは試合に敗れてシーズン終了となり、自身も来シーズン中の復帰は絶望的となった。
メンフィス・グリズリーズ
2022年のNBAドラフト当日にデアンソニー・メルトンとのトレードで、メンフィス・グリズリーズへ放出された[26]。
クリーブランド・キャバリアーズ
2023年2月9日に3チームが絡む大型トレードで、ヒューストン・ロケッツへ放出されたが、2月12日に解雇された。2月15日に古巣であるクリーブランド・キャバリアーズとの契約に合意した。
フィラデルフィア・76ers
2023年9月13日に古巣であるフィラデルフィア・76ersとの契約に合意したが、11月1日に解雇された。
個人成績
NBAレギュラーシーズン
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2009–10
|
CLE
|
20 |
0 |
5.8 |
.385 |
.273 |
.667 |
.9 |
.3 |
.3 |
.2 |
2.0
|
2010–11
|
SAS
|
8 |
0 |
11.5 |
.486 |
.368 |
--- |
1.9 |
.3 |
.3 |
.1 |
5.1
|
2011–12
|
66 |
38 |
23.1 |
.442 |
.436 |
.790 |
3.5 |
1.3 |
.9 |
.7 |
9.1
|
2012–13
|
80 |
80 |
27.5 |
.448 |
.429 |
.848 |
3.1 |
1.8 |
1.2 |
.7 |
10.5
|
2013–14
|
68 |
59 |
24.3 |
.432 |
.415 |
.794 |
3.4 |
1.5 |
1.0 |
.9 |
9.1
|
2014–15
|
81 |
80 |
28.5 |
.436 |
.418 |
.874 |
4.2 |
2.0 |
1.2 |
1.1 |
11.7
|
2015–16
|
79 |
79 |
26.1 |
.376 |
.332 |
.739 |
3.8 |
1.8 |
1.0 |
.8 |
7.2
|
2016–17
|
68 |
68 |
26.6 |
.392 |
.379 |
.844 |
3.3 |
1.8 |
1.0 |
.9 |
7.3
|
2017–18
|
70 |
60 |
25.6 |
.387 |
.363 |
.769 |
3.6 |
1.6 |
.9 |
1.1 |
8.6
|
2018–19
|
TOR
|
80 |
80 |
27.7 |
.465 |
.455 |
.841 |
4.0 |
1.6 |
.9 |
.7 |
10.3
|
2019–20
|
LAL
|
68 |
68 |
24.8 |
.416 |
.367 |
.688 |
3.3 |
1.3 |
1.3 |
.5 |
8.0
|
2020–21
|
PHI
|
69 |
69 |
28.0 |
.412 |
.405 |
.775 |
3.8 |
1.7 |
1.3 |
.8 |
9.5
|
2021–22
|
62 |
28 |
21.8 |
.394 |
.380 |
.786 |
2.5 |
1.0 |
1.0 |
.6 |
5.9
|
2022–23
|
MEM
|
3 |
0 |
14.3 |
.273 |
.375 |
--- |
1.3 |
.7 |
.3 |
.0 |
3.0
|
CLE
|
8 |
0 |
11.9 |
.500 |
.448 |
1.000 |
1.3 |
.5 |
.6 |
.4 |
6.5
|
2023–24
|
PHI
|
2 |
0 |
9.2 |
.000 |
.000 |
--- |
1.0 |
.5 |
.5 |
.0 |
.0
|
キャリア
|
832 |
709 |
25.1 |
.421 |
.400 |
.805 |
3.4 |
1.5 |
1.0 |
.8 |
8.7
|
プレーオフ
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2011
|
SAS
|
4 |
0 |
1.8 |
.333 |
.250 |
.000 |
.3 |
.5 |
.3 |
.3 |
1.3
|
2012
|
14 |
12 |
20.6 |
.418 |
.345 |
.700 |
3.2 |
1.1 |
.5 |
.7 |
7.4
|
2013
|
21 |
21 |
31.9 |
.446 |
.482 |
.800 |
4.1 |
1.5 |
1.0 |
1.1 |
11.1
|
2014
|
23 |
23 |
23.0 |
.491 |
.475 |
.818 |
3.0 |
.9 |
1.4 |
.7 |
9.3
|
2015
|
7 |
7 |
29.1 |
.344 |
.300 |
.667 |
3.1 |
2.1 |
1.0 |
1.0 |
8.3
|
2016
|
10 |
10 |
26.7 |
.469 |
.511 |
.667 |
3.1 |
0.7 |
2.1 |
0.8 |
8.6
|
2017
|
16 |
16 |
27.2 |
.405 |
.342 |
.571 |
3.6 |
1.4 |
.6 |
.9 |
7.8
|
2018
|
5 |
5 |
20.6 |
.267 |
.250 |
--- |
2.2 |
.2 |
.2 |
.8 |
4.2
|
2019
|
TOR
|
24 |
24 |
28.5 |
.342 |
.328 |
.913 |
3.6 |
1.1 |
1.3 |
.5 |
6.9
|
2020
|
LAL
|
21 |
21 |
25.0 |
.347 |
.339 |
.667 |
3.1 |
1.2 |
1.0 |
.8 |
8.0
|
2021
|
PHI
|
8 |
8 |
24.9 |
.438 |
.378 |
--- |
2.6 |
2.6 |
1.1 |
1.0 |
7.0
|
2022
|
12 |
12 |
26.6 |
.404 |
.408 |
.000 |
3.1 |
.8 |
1.0 |
.3 |
8.6
|
2023
|
CLE
|
4 |
0 |
9.9 |
.200 |
.250 |
--- |
1.8 |
.3 |
.5 |
.3 |
.8
|
キャリア
|
169 |
159 |
25.3 |
.404 |
.388 |
.745 |
3.2 |
1.2 |
1.0 |
.7 |
7.9
|
プレースタイル
3Pシュートとディフェンスに優れたウイング。スウィングマンのなかでは運動量[27]に加えてブロックが多いほうで[28]、特にトランジッションデフェンスでのブロックを得意としている。フリースローが高確率であり、チームスローの際に担当することも多い。
その他
- TV中継で、グリーンの3ポイントが、出身大学のスポーツチームであるノースカロライナ・ターヒールズのチーム名を合わせて「ターヒール・トリプル」と呼称されることがある。
脚注
外部リンク