ジュネーヴ(仏: Genève)は、スイス西部、レマン湖の南西岸に位置する都市(コミューヌ)。フランス語圏に属し、ヨーロッパ有数の世界都市であり、ジュネーヴ州の州都である。
人口は20.34万人(2021年)、面積は15.93平方キロメートル、標高は375メートル。チューリッヒに次ぎスイス第2の都市[1]。金融業が発達しており、プライベードバンクの中心地である。
三日月形のレマン湖の南西側の角を取り囲むように広がり、サレーヴ山(Mont Salève)、ジュラ山脈等の山地に囲まれる。市内をアルヴ川、ローヌ川が流れる[注 1]。
『ジュネーヴ家族由来の著名人家系 -起こりから今日まで-』[注 2]という本が、土地の有力者とフランスのそれにまたがる閨閥の形成過程を17世紀から具体的に記している。第6巻まではインターネットアーカイブで見ることができる。最新巻は第7巻である。ピクテ銀行やロンバー・オディエ銀行等を営む各家系も登場する。そのような由緒あるプライベートバンクの本店がジュネーヴには集中している。
この世界都市にはロスチャイルド家のシャトー・ド・プレニーがあり、第二次世界大戦前には国際連盟の本部が置かれた。現在も国際連合の専門機関など多くの国際機関が所在し、条約の作成やさまざまな国際会議が行われている。
そのため、日本も特命全権大使を長とする在ジュネーブ国際機関日本政府代表部、及び、軍縮会議日本政府代表部を置いている。ただし、領事業務はこれらの代表部ではなく、在ジュネーブ領事事務所(旧・在ジュネーブ日本国総領事館)で行っている。
ジュネーヴでは、サロン・アンテルナショナル・ド・ロト(ジュネーヴ・モーターショー)、国際高級宝飾時計展(ジュネーヴ・サロン)をはじめとする様々な国際見本市が催される。日本の民間研究所が2016年に発表した「世界の都市総合力ランキング」では、世界30位と評価された[2]。また、アメリカのシンクタンクが2016年に発表した世界都市ランキングでは世界36位と評価された[3]。
スイスの公用語は、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4言語であるが、フランス語圏のジュネーヴでは、ほとんどの場合フランス語が用いられる。世界都市であるため、基本的に英語も通用する[要出典]。
ジェノヴァ共和国と語源は同一である[要出典]。
各言語での名称は以下の通り。
ケッペンの気候区分では西岸海洋性気候(Cfb)に属する。
ジュネーヴの歴史は古く、ローマ時代までさかのぼり、ユリウス・カエサルがこの地を占領し、ジュネーヴという名前を与えたという。その後、神聖ローマ帝国(ハプスブルク家)の支配を受けたが、1315年のモルガルテンの戦い等の独立運動の影響でハプスブルク家から離れていき、1648年のヴェストファーレン条約によって正式に独立が認められた。
近世にはプロテスタントの一派である改革派の拠点となり、1536年にカトリックのサヴォイア公国から独立し、宗教改革がなされ、ジュネーヴ共和国としての宣言がなされ、ジャン・カルヴァンらによる共和政治が行われた。ジュネーヴ革命とも称される。
1602年、サヴォイア公カルロ・エマヌエーレ1世が、ジュネーヴ支配をもくろみ侵入したが、市民軍の抵抗にあい失敗に終わった[注 3]。この事件は、サヴォイア公が侵入に使った梯子にちなんで“エスカラード”(梯子の意)と呼ばれる。現在のエスカラード祭はこの事件にちなんだもの[注 4]。
フォンテーヌブローの勅令の後、啓蒙主義の感化を受けた神学が台頭し、カルヴァン派の正統主義にとって代わった。市民はシトワイアン(市参事会を牛耳る門閥)とブルジョワ(ユグノー企業家)に分裂していた。1704年から1782年にかけて、これらに非市民労働者を加えた各勢力が三つ巴となって政権を争った。ユグノーが多かった時計職人がフランスでの迫害から逃れるためにジュネーブへ移住したことで時計が地場産業となった。機械式時計に用いられるジェネバ機構はジュネーブにちなんで命名された。
1781年ブルジョワと労働者が市民総会で間接民主制を採択した。翌年シトワイアンが保護同盟を結んでいた諸勢力に要請、ジュネーヴを包囲させた。ジュネーヴは降伏してブルジョワが亡命した。フランスへ逃げた者はフランス革命に関与した[注 5]。
1798年にはナポレオン・ボナパルトによりフランスに併合された。ウィーン会議において、スイス連邦に加わった。このころからジュネーヴはスイスの歴史において国際金融市場の司令塔であり続けた。
第一次世界大戦と第二次世界大戦中はスイスは中立国であったために両陣営の外交官や亡命者が集まった。1960年代にファンド・オブ・ファンズのバーニー・コーンフェルドがInvestors Overseas Services の本部をジュネーヴに置いた。2017年の調査によると、世界20位の金融センターであり、スイスではチューリッヒに次ぐ2位である[8]。
ジュネーヴに事務局・本部等を置いている国際機関には以下のものがある。
また、当地で作成された主要な条約、及び、当地で開催された主要な国際会議で、ジュネーヴの名が付くものとしては以下がある。
地元の学校
日本人居住者向けの学校
2019年にジュネーヴ都市圏の鉄道網はレマン・エクスプレスとしてネットワーク化された。