シャーロット (Charlotte )は、アメリカ合衆国 ノースカロライナ州 南西部に位置する都市。同部 有数の世界都市 。人口は874,579人(2020年 国勢調査 )[ 1] で同州最大、全米でも第16位である。メクレンバーグ郡 を中心に11郡にまたがる都市圏は2,660,329人、2つの小都市圏を加えた広域都市圏は2,822,352人(いずれも2020年国勢調査)[ 2] の人口を抱えている。
市名はジョージ3世 の王妃シャーロット にちなみ、それ故に現代においてもクイーン・シティー(Queen City )という愛称を持っている。
初期にはゴールドラッシュ で沸き、金鉱の街として栄え、金貨を造るために造幣局 の支局も設けられた。やがてゴールドラッシュの中心はカリフォルニアへと移って下火となり、南北戦争 が開戦すると造幣局は南軍 に接収されたが、その後は綿 織物産業が発展した。20世紀 後半以降は金融センターとして急成長を遂げた。
シャーロットは南北カロライナの文化の中心地でもあり、市内には美術館や博物館、劇場などの文化施設が集中している。また、変わったところでは、シャーロットはNASCAR の聖地として知られている。シャーロットやその近郊にはNASCARのスプリントカップ・シリーズ に参戦するチームのほぼ全てがファクトリーを置いているほか、市内にはNASCAR殿堂 が立地している。
歴史
初期
シャーロット妃
ヨーロッパ人が入植する以前には、今日のシャーロットを中心とするこの地にはネイティブ・アメリカンのカトーバ族 が住み着いていた。1740年代 、ペンシルベニア 、メリーランド 、およびデラウェア の各植民地からスコットランド系・アイルランド系の入植者がこの地に入植した[ 3] 。
やがて1762年 、アンソン郡 から分離独立する形でメクレンバーグ郡 が創設された。郡名は当時のイギリス国王ジョージ3世 の王妃シャーロット の出生地である、ドイツ のメクレンブルク 地方にちなんでつけられた[ 3] 。
今日のシャーロットの起源は1755年 頃、ヤドキン川とカトーバ川の間で、後にトレード・ストリートおよびトライオン・ストリートとなる2本の馬車道が交わる交差点に、トーマス・ポークが建てた1軒の家であった[ 4] 。この1軒の家から始まった集落はやがて1768年 、シャーロット妃の名を取ってシャーロットと名付けられ、正式に法人化された[ 3] 。1770年 には、トレード・ストリートとトライオン・ストリートを中心として、今日のアップタウン・シャーロットの基となった、整然とした街路が区画された[ 5] 。1774年 には、シャーロットはメクレンバーグ郡の恒久的な郡庁所在地になった[ 3] 。
1775年 5月20日、メクレンバーグ郡が植民地としてのイギリスとの関係を永久に断つことを明言した、「メクレンバーグ独立宣言」と呼ばれる宣言がシャーロットで出された。正式な独立宣言ではなかったものの、アメリカ独立宣言 に先駆けて13植民地から出された、この類のものとしては初めてのものであった。この1775年5月20日という日付は、ノースカロライナ州旗・州章の両方に記されている[ 6] 。
ゴールドラッシュ
リード金山跡
1799年 、シャーロットの北東25マイル(約40km)、カバラス郡 内のリトル・メドウ・クリークで、12歳の少年コンラッド・リードが光り輝く17ポンド (約7.7kg)の石を見つけた。リード父子はその石が何であるのか判らないまま、3年間家の戸止めとして使った後、ファイエットビル の宝石商にわずか3ドル50セントで売り渡した。この光り輝く石こそが、アメリカ合衆国史上初めて発見された金 鉱石であった[ 7] [ 8] 。
やがてメクレンバーグ郡やその近辺では金鉱が矢継ぎ早に見つかり、19世紀 初頭にはアメリカ合衆国史上初のゴールドラッシュ が起こった。シャーロットは金鉱の街として栄え、街には採掘のエキスパートが結集した[ 9] 。1830年代 には、ノースカロライナ州には50以上の金山があり、とりわけメクレンバーグ郡には州内最多の金山があった[ 10] 。その経済的な繁栄を象徴するかのように、1837年 にはシャーロットに造幣局 の支局が設けられ、地元産の金鉱石から金貨が造られた。シャーロット造幣局 で造られた金貨にはシャーロットの頭文字であるCの文字が刻まれた[ 11] [ 12] 。
しかし、19世紀も中盤から後半に入ると、シャーロットでのゴールドラッシュも下火になっていった。1849年 にカリフォルニア州 で金が発見されると、金を求める者は西を目指し、ゴールドラッシュの中心地はカリフォルニアへと移っていった[ 13] 。1861年 に南北戦争 が勃発すると、シャーロット造幣局は南軍 に接収され、司令部および野戦病院に転用された[ 12] 。シャーロットにおけるゴールドラッシュの始まりをもたらしたリード金山では、南北戦争の終結後にも細々と採掘が続けられたが、1896年 を最後に大きな金塊はもはや採れなくなり、1912年 に閉山した[ 8] 。
閉山から50年以上経った1966年 、リード金山跡は国家歴史登録財 [ 14] および国定歴史建造物 [ 15] に指定された。
綿織物産業の発展
エイダ綿織物工場(1897年 )
南北戦争後、金に代わってシャーロットに地域経済の発展をもたらしたのは綿 織物であった。それまでシャーロットやその周辺で生産された綿花は、紡績・加工のために北へと運ばれていたが、1880年 、シャーロットに初めての綿織物工場が建てられた。この工場に雇われたのは70人で、そのほとんどは、綿糸を洗浄し、紡ぎ、織り、衣服を縫う女工であった[ 16] 。やがて1890年代 から1900年代 にかけて、シャーロットには大規模な綿織物工場が次々と建てられ、シャーロットは綿織物産業の一大中心地へと発展した[ 17] 。1910年 の国勢調査では、シャーロットは人口34,014人を数え、州都ローリー をしのいで州内最大になった[ 18] 。
綿織物産業の発展を支えたのは1870年代 に整備された鉄道網であった。大西洋岸の港湾都市ウィルミントン や、リッチモンド 、アトランタ といった、復興途上にあった南部の主要都市とシャーロットとを結んでいた鉄道は、シャーロットで生産された綿織物を各地へと運んだ[ 19] 。
1929年 の世界恐慌 で、シャーロットの綿織物産業は壊滅的な打撃を受け、工場が数多く閉鎖に追い込まれたが、当時の大統領 ハーバート・フーヴァー や赤十字 の助けを得て何とか保たせていた[ 20] 。しかし第二次世界大戦 が勃発すると、シャーロットの地域経済は軍需産業によって潤った[ 21] 。その後1970年代 から1980年代 に地域経済の主役が金融業に取って代わられるまで、シャーロットにおける綿織物産業は続いた。
金融センターへの急成長
バンク・オブ・アメリカ本社
シャーロットの金融機関は、その淵源こそ19世紀末から20世紀 初頭にたどることができるものの、全米を代表する金融センターへと成長したのは20世紀後半に入ってからのことである。1874年 にシャーロットで商業銀行として開業したコマーシャル・ナショナル・バンクを前身の1つとするノースカロライナ・ナショナル・バンクは、1960年代 まではノースカロライナ州内に限定して事業を展開していた一地方銀行に過ぎなかったが、ヒュー・マッコール が1974年 に社長に、そして1983年 にCEO に就任すると合併と拡大を繰り返し、1991年 にネイションズバンク へ[ 22] 、そして1998年 に全米第2のバンク・オブ・アメリカ へと成長した。
2000年代 前半にはバンク・オブ・アメリカと双璧をなしていたワコビア (現ウェルズ・ファーゴ 傘下)のシャーロットにおける淵源は、1897年 に設立されたシャーロット・ナショナル・バンク[ 23] と、1908年 に設立されたユニオン・ナショナル・バンク[ 24] にたどることができる。前者は1939年 に、当時ウィンストン・セーラム に本社を置いていたワコビア・バンク・オブ・トラストに合併され[ 23] 、後者は1958年 に、アシュビル やダーラム の銀行と合併してファースト・ユニオン・ナショナル・バンクになった[ 24] 。
世界金融危機 直前の2006年 には、この両行をはじめとした、シャーロットに本社を置く金融機関の総資産の合計は1兆7000億ドルにのぼり、ニューヨーク に次ぎ、3位のサンフランシスコ 以下を大きく突き放して、シャーロットは全米第2の金融センターとしての地位を確立していた[ 25] 。
金融業の成長に伴って、市は高い成長を遂げてきた。1970年 に241,420人であった人口は、1980年 には315,474人、1990年 には395,934人、2000年 には540,828人、そして2010年 には731,424人と、40年間で3倍に膨れ上がった。しかしその一方で、2007年 以降の世界金融危機の影響で大量の失業者を出しており[ 26] 、2010年代 以降の成長については未知数である。
地理
シャーロットの都市圏 赤: シャーロット・コンコード・ガストニア都市圏 赤+黄: シャーロット・コンコード広域都市圏 黒点: シャーロット市
シャーロットは、北緯35度13分37秒 西経80度50分36秒 / 北緯35.22694度 西経80.84333度 / 35.22694; -80.84333 座標 : 北緯35度13分37秒 西経80度50分36秒 / 北緯35.22694度 西経80.84333度 / 35.22694; -80.84333 に位置している。市はノースカロライナ州南西部のピードモント台地 上に位置し、州都ローリー からは西へ約240km、アトランタ からは北東へ約390km、首都ワシントンD.C. からは南西へ約640kmである。市の標高は229mである。サウスカロライナ州 との州境からは北へ約20kmで、市南端の一部は州境に接している。
アメリカ合衆国統計局 によると、シャーロット市は総面積771.0km2 (297.68mi2)である。そのうち769.4km2 (297.08mi2)が陸地で1.6km2 (0.6mi2)が水域である。総面積の0.20%が水域となっている。シャーロットの市域はメクレンバーグ郡の郡域の半分以上を占めている。都市圏はメクレンバーグ郡を中心に11郡にまたがっており、その総面積は14,536km2 で、日本の岩手県 や福島県 の面積にほぼ匹敵する。
気候
シャーロット
雨温図 (説明 )
インペリアル 換算
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
気温(°F )
総降水量(in)
シャーロットの気候は四季がはっきりしており、暑い夏と肌寒い冬、概ね過ごしやすい春・秋に特徴付けられる。最も暑い7月の平均気温は27℃、最高気温の平均は32℃で、日中は30℃を超える日が多い。最も寒い1月の平均気温は5℃、最低気温の平均は氷点下1℃で、月の半分は最低気温が氷点下 に下がる。降水量は1年を通じほぼ一定で、月間75-110mm、年間約1,050mmである。冬季には月間3-5cm程度の降雪が見られ、年間降雪量は約11.0cmである[ 27] 。ケッペンの気候区分 では、シャーロットはアメリカ合衆国東海岸 や南部 に広く分布している温暖湿潤気候 (Cfa)に属する。
シャーロットの気候 [ 27]
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
年
平均気温(℃ )
4.5
6.6
10.7
15.2
19.7
24.1
25.8
25.2
21.6
15.7
10.4
5.8
15.5
降水量(mm )
86.4
83.8
101.6
76.2
81.3
94.0
94.0
106.7
81.3
86.4
78.7
83.8
1,054.2
都市概観
アメリカ合衆国内の多くの都市では「ダウンタウン」と呼ばれる、都市中心部の中心業務地区 (CBD)は、シャーロットではアップタウン (Uptown)と呼ばれている。もともとこのアップタウンという名称は、1987年 に地元最大手の新聞であるシャーロット・オブザーバー紙が使い始めたものであった[ 28] 。アップタウンは州間高速道路 I-77 本線、およびその支線であるI-277に囲まれた菱形 状になっており、南西-北東、南東-北西のいずれも3km程度の範囲に収まっている。アップタウンにおいては、街路は整然と区画されており、南西-北東に通る通りはトレード・ストリートを境に北東へはN(北)、南西へはS(南)に、また南東-北西に通る通りはトライオン・ストリートを境に北西へはW(西)、南東へはE(東)にそれぞれ分かれている。
アップタウンに建つバンク・オブ・アメリカ の総本社ビル、バンク・オブ・アメリカ・コーポレート・センターは高さ871フィート (265m)、60階建てで、シャーロットで、そしてノースカロライナ州全体でも最も高いビルである[ 29] 。アップタウンにはそのほか、デューク・エナジー・センター(786フィート/240m、48階建て)[ 30] 、サ・ビュー(662フィート/202m、50階建て)[ 31] 、ハースト・タワー(659フィート/201m、47階建て)[ 32] 、ワン・ウェルズ・ファーゴ・センター(588フィート/179m、42階建て)といった超高層ビルが建ち並んでいる。
シャーロットには199の地区があり、アップタウンから放射状に広がっている[ 33] 。アップタウンの北西に隣接するビドルビル地区は、シャーロットでは最も古くからあるアフリカ系住民のコミュニティである[ 34] 。アップタウンの東約3kmに位置するプラザ・ミッドウッド地区は、シャーロットでは最も民族の多様性に富んだ地域の1つで、地区内には各民族の料理を出す店が点在している[ 35] 。アップタウンの北東約3km、ノース・デイビッドソン地区(NoDa)は、20世紀 初頭から中盤における繊維産業の中心地区から一転、1970年代 から1980年代 にかけて一度は荒れ果てたものの、1990年代 に入って芸術の街として再生した地区である[ 36] 。アップタウンの北東約15km、ノースカロライナ大学シャーロット校のキャンパスを中心とした地区はユニバーシティ・シティと呼ばれ、同学の学生や教職員が多く住んでいる。アップタウンの南約10km、サウスパーク・モールを中心としたサウスパーク地区は、住宅地であると同時に、中高層ビルが建ち並ぶ商業・業務中心地でもあり、職住近接型のエッジシティ を形成している[ 37] 。
政治
シャーロットはシティー・マネージャー制 を採っている。シティー・マネージャーは行政実務の最高責任者として、市議会の採択した政策を実行し、当局に対してビジョンおよびリーダーシップを示し、市政府の日常業務を監督する責任を負う[ 38] 。シティー・マネージャーの下には、警察・消防・交通・都市計画などの行政実務にあたる各局のほか、財務や人事などの管理部門各局、およびアシスタント・シティー・マネージャーや内部監査などのリーダーシップチームが置かれている[ 39] 。
これに対し、市長および市議会は市の立法機関として条例の制定や市政策の決定に責任を負う。市議会は11名の議員から成っており、そのうち7名は市を7つに分けた選挙区から1名ずつ選出され、残りの4名が全市からの投票で選出される。市議員の任期は2年である[ 40] 。
市長は「市の顔」として、すべての市会議に出席するほか、式典やイベントに出席する。また、必要に応じて、州都ローリー や首都ワシントンD.C. 、もしくはアメリカ合衆国外にも市の代表として出向くことがある[ 40] 。
シャーロットは市郡 一体の自治体ではないが、警察や都市計画局など、政府機関の一部は統合されている[ 39] 。また、シャーロット市政府とメクレンバーグ郡政府の各局・機関の事務所はともに、シャーロット・メクレンバーグ・ガバメント・センターという1棟の合同庁舎の中に置かれている。アップタウンに立地するこの15階建ての合同庁舎は1988年 に完成したものである[ 41] 。
治安
シャーロットの治安は全米平均よりはやや悪いものの、大都市の中では良い部類に入る。2012年 のモーガン・クイットノー (CQプレス社傘下)によるレポートでは、シャーロットは全米432都市中危険な順に150位[ 42] で、人口500,000人以上の33都市の中では安全な順に8位であった[ 43] 。ノースカロライナ州内の他の主要都市と比べると、ローリー よりは悪く、グリーンズボロ 、ウィンストン・セーラム 、ファイエットビル 、ダーラム よりは良い[ 42] 。
経済
シャーロットはニューヨーク に次ぐ全米第2の金融センターとなっている[ 25] 。全米第2の銀行、バンク・オブ・アメリカ はシャーロットに本社を置いている。また、サンフランシスコ に本社を置くウェルズ・ファーゴ は、2008年 にワコビア を買収[ 44] した後も、ワコビアの本社を引き継ぐ形で東部の重要拠点をシャーロットに置いている。加えて、シャーロットにはリッチモンド連邦準備銀行 の支店も置かれている[ 45] 。
加えて、2000年代 後半に入ると、Charlotte USA - The New Energy Capital (シャーロット、新たなエネルギーの首都)の標語と共に、シャーロットはエネルギー産業 の中心地としても地位を上げてきている。その中心となっているのは、シャーロットに本社を置き、フォーチュン500 にも入っている電力会社、デューク・エナジー である。同社を含め、シャーロットにおけるエネルギー関連会社の数は250社にのぼり、2011年 には30,000人近い雇用を生み出している[ 46] 。
シャーロット市内には、バンク・オブ・アメリカやデューク・エナジーを含め、フォーチュン500に入る企業が6社、本社を置いている[ 47] 。シャーロット市内に本社を置くフォーチュン500企業を下表に示す。
このほか、北郊のムーアズビル には住宅用品・家電チェーン のロウズ が、南東郊のマシューズには1ドルショップ チェーンのファミリー・ダラーがそれぞれ本社を置いている[ 47] 。
交通
シャーロット・ダグラス国際空港
シャーロットの空の玄関口はダウンタウンから西へ10km[ 48] に立地するシャーロット・ダグラス国際空港 (IATA : CLT )である。アメリカン航空 のハブ空港 の一つで、同社の便を中心に全米各地や中南米主要都市、西ヨーロッパ主要都市への便が発着している。国際線はエア・カナダ によるトロント への便や、ルフトハンザ航空 によるミュンヘン への便など、アメリカ合衆国内外130都市へ直行便があり、発着便数は1日700便におよぶ[ 49] 。2019年の利用客数は約5,000万人で、全米で11位だった。
シャーロットではI-77 とI-85 の2本の高速道路が交わる。I-85はピードモント台地 を縦貫する幹線で、南西へはアトランタ やモントゴメリー へ、北東へはグリーンズボロ やローリー 、リッチモンド へと通じている。このI-85の支線であるI-485はシャーロットの環状道路となっている。一方、I-77は南へはコロンビア へ、北へはアパラチア山脈 を抜けてウェストバージニア州 とオハイオ州 東部を貫き、クリーブランド へと通ずる。I-77にもI-277という支線があり、こちらはアップタウンをぐるりと取り囲む、都心環状線としての役割を果たしている。
リンクス・ブルーライン
アムトラック の駅はシャーロットの中心街の北東約2.5km付近にある。シャーロット駅 にはシャーロットとニューヨーク を結ぶ昼行長距離列車カロライニアン号 が1日1往復、シャーロットとローリー を結ぶ昼行中距離列車ピードモント号 が1日2往復発着する[ 50] ほか、ニューヨークとニューオーリンズ を結ぶクレセント号 が北行、南行とも1日1往復停車する[ 51] 。
シャーロットの主な公共交通機関は、シャーロット地域交通システム(CATS)が運行している路線バス 網である。同局の路線バス網は、アップタウンから放射状に市内を広くカバーするローカル、高速道路を経由してアップタウンと郊外都市を結ぶエクスプレス、郊外を走るコミュニティバス、アップタウンを通らず市内の各地区を結ぶネイバーフッド・シャトルからなり、あわせて70系統を有する[ 52] 。また、この路線バス網に加えて、CATSはリンクス(Lynx)というライトレール も走らせている。リンクスは2018年 現在、市北東部からアップタウンを経由して市南西部へと向かう全長19.3マイル(31.1km)のブルーライン 、ダウンタウン南東部を走る全長1.5マイル(2.4km)のゴールドラインの2路線が運行されている[ 53] 。
教育
デイビッドソン大学
全米区で高い評価を受けているノースカロライナ州の大学としては、リサーチ・トライアングル のデューク大学 やノースカロライナ大学チャペルヒル校 、ピードモント・トライアド のウェイクフォレスト大学 がよく知られているが、シャーロット都市圏にもこれらの大学に匹敵する評価を受けている大学が存在する。シャーロットの北郊約30km、デイビッドソン にキャンパスを構えるデイビッドソン大学 は、1837年 に創立した長老派教会 系私立 リベラル・アーツ・カレッジ で、学生数約1,800人、学生対教授の人数比9:1、クラスサイズの平均16人という少人数制による教育を行い、29の専攻プログラムを提供している[ 54] 。同学は全米のリベラル・アーツ・カレッジの中で常にトップ25に入っている[ 55] 。同学のスポーツチーム、ワイルドキャッツはNCAA のディビジョンIのアトランティック10カンファレンス (フットボール はチャンピオンシップ・サブディビジョン/旧I-AAのパイオニア・フットボール・リーグ)に所属し、男子10種目、女子9種目で競っている[ 54] [ 56] [ 57] 。
ノースカロライナ大学シャーロット校
シャーロット市内にもいくつかの4年制大学がキャンパスを置いている。ノースカロライナ大学シャーロット校 はユニバーシティ・シティ地区に1,000エーカー (4,046,000m2 )のキャンパスを構えている[ 58] 。同学は1946年 に2年制の大学として開校し、1964年 に州立の4年制大学に移行、翌1965年 にノースカロライナ大学システム4番目のキャンパスとして組み入れられ、1969年 から修士 の学位を、そして1992年 から博士 の学位を授与し始めた2012年 現在、同学は7つの学部を有し、学部に86、修士課程に64、博士課程に19の専攻プログラムを有し、25,000人以上の学生を抱える総合大学となっている[ 59] 。
クイーンズ大学シャーロット はアップタウンの南約4kmにキャンパスを置いている。同学は1857年 に創立した長老派教会系の小規模私立総合大学で、6つの学部を有し、学部に35、大学院に16の専攻プログラムを有し、学生数約2,400人、学生対教授の比が12:1という、リベラル・アーツ・カレッジに近い少人数制教育を行っている[ 60] 。同学は、南部の「地方区の大学」の中で25位以内に入る評価を受けている[ 61] 。ビドルビル地区にキャンパスを置くジョンソン・C・スミス大学は、1867年 に創立した長老派教会系のリベラル・アーツ・カレッジで、Historically Black College と呼ばれる、もともとはアフリカ系の学生に高等教育の機会を与える大学であった[ 62] 。
シャーロットのK-12 課程はシャーロット・メクレンバーグ学区の管轄下にある公立学校によって支えられている。同学区は小学校88校、中学校39校、高校28校を有し、140,000人以上の児童・生徒を抱えている[ 63] 。2003年 、同学区は4年生と8年生の算数において、都市部の10学区の中でトップ、全米平均と比較しても良い成績で、学力が低くなりがちな大都市の学区においても高い学力を身に着けさせることができることを示した[ 64] 。
文化
美術館と博物館
ベクトラー近代美術館
シャーロットは南北カロライナの文化の中心地でもあり、特にアップタウンには多数の美術館や博物館が立地している。シャーロット市史上初のアフリカ系市長となった建築家、ハーベイ・B・ガント[ 65] の名を冠したハーベイ・B・ガント黒人芸術・文化センターは、アフリカ系アメリカ人芸術家の手による作品を展示するほか、音楽、ダンス、演劇、映画といった演技芸術や文学、芸術教室によって、シャーロットにおけるアフリカ系アメリカ人の文化を後世に伝える役割を果たしている[ 66] 。ベクトラー近代美術館はアルベルト・ジャコメッティ 、ジョアン・ミロ 、ジャン・ティンゲリー 、バーバラ・ヘップワース などによる、20世紀中盤の近代美術作品の収集・展示に特に力を入れている[ 67] 。レバイン新南部博物館は、Cotton Field to Skyscrapers (綿花畑から摩天楼へ)という常設展示を軸に、南北戦争 以後の南部 の歴史に関する事物を展示している[ 68] 。ディスカバリー・プレイスは科学技術や工学、数学に関する事物を展示し、IMAX シアターも備える科学博物館である[ 69] 。ザ・ライト・ファクトリー現代写真映画美術館は、全米でも数少ない、写真および映画の作品に特化した展示を行っている美術館である[ 70] 。
アップタウンの外にも、それぞれの立地を活かした博物館がいくつか立地している。アップタウンの南に広がる住宅街の中、フリーダム・パークの隣には、ディスカバリー・プレイス社が運営するシャーロット自然博物館が立地している。同館は生物に特化した展示を行っており、館内には蝶 が飛び交うスペースも設けられている[ 71] 。シャーロット・ダグラス国際空港の敷地内には、同空港の旧格納庫を転用し、軍用、民間用、商用の航空機やヘリコプターに関連する事物を展示している、カロライナ航空博物館が立地している[ 72] 。アップタウンから北東へ約5km、シュゴー・クリーク地区には、1815年 に造られたプランテーションを保存し、野外博物館として一般に公開しているローズデール・プランテーションの敷地が広がっている[ 73] 。
演技芸術
ベルク・シアター
ブルメンタール・パフォーミング・アーツは、2,100席を有するベルク・シアターをはじめ、アップタウンに立地する6つの劇場を運営している。このうちベルク・シアター、ブース・プレイハウス、ステージ・ドア・シアターの3つはバンク・オブ・アメリカ・コーポレート・センターに隣接するブルメンタール演技芸術センターに、デューク・エナジー・シアターおよびマクグローホン・シアターはその2ブロック北東のスピリット・スクエアに、ナイト・シアターはベクトラー近代美術館の隣にそれぞれ立地している[ 74] 。シャーロット交響楽団やオペラ・シャーロットなど、市内の7つの演技芸術団体がこれらの劇場を本拠地としている[ 75] 。
スポーツ
バンク・オブ・アメリカ・スタジアム
シャーロットには4大メジャー・プロスポーツのうち、NFL とNBA の2つがチームを置いている。NFLのカロライナ・パンサーズ は1995年 のリーグ拡張に伴い、ジャクソンビル・ジャガーズ と共に創設されたチームである。2003年 には、パンサーズはスーパーボウル に初出場した。パンサーズは1年目はサウスカロライナ州 のクレムソン大学 のスタジアムであるメモリアル・スタジアムでホームの試合を行っていたが、1996年 にアップタウンの西端にバンク・オブ・アメリカ・スタジアム が完成して以後は、同スタジアムを本拠地としている。
NBAのシャーロット・ホーネッツ は、2004年 のリーグ拡張で創設されたチームであり、2009年 には創設6シーズン目にして初の勝ち越しおよびプレーオフ進出を果たしたが、その一方で2011年 にはNBAのロックアウトの影響もあり、7勝59敗のNBA史上最低勝利数記録、および勝率1割6厘の史上最低勝率記録を作るなど、チームの成績はまだ安定していない。2010年 には、マイケル・ジョーダン がホーネッツ(当時のチーム名はボブキャッツ)を2億7500万ドルで買収し、オーナーに就任した[ 76] 。ホーネッツはアップタウンの中心に立地するタイム・ワーナー・ケーブル・アリーナ を本拠地としている。
1988年 から2002年 にかけては、シャーロットにはホーネッツ が本拠を置いていた。ホーネッツは1990年代 前半、ラリー・ジョンソン やアロンゾ・モーニング らを相次いで獲得して好成績を挙げ、「未来のブルズ 」とまで呼ばれていた。2002年、ホーネッツはシャーロットを離れ、ニューオーリンズへと移転した。2013年にはニューオーリンズ・ペリカンズ に改称した。これにより2014年にボブキャッツはホーネッツに改称した。
NASCAR殿堂
そして、シャーロットと切っても切り離せないスポーツがNASCAR である。シャーロット都市圏内にはNASCARの最上位カテゴリーであるスプリントカップ・シリーズ に参戦するチームのほぼ全てがファクトリーを置き、アップタウンにはNASCAR殿堂 が立地している[ 77] 。また、アップタウンから北東へ20km、コンコード には、スプリントカップ・シリーズおよびネイションワイド・シリーズ のレースが行われるシャーロット・モーター・スピードウェイ が立地している。
1931年 より、ジム・クロケット・プロモーションズ がプロレスリング 興行 を本格的に行い、同地を基盤にノースカロライナ州、サウスカロライナ州、バージニア州を地盤とし、ミッドアトランティック地区と呼ばれた。NWA ,WCW , WWE がビッグマッチを開催し、数多くの全世界向けペイ・パー・ビュー 大会が開催されている。リック・フレアー ら多くのプロレスラー が居住する。
宗教
ビリー・グラハム図書館
シャーロットは国際的な福音主義 の伝道師であるビリー・グラハム を生んだ地である。1950年 にグラハムがミネアポリス で創設したビリー・グラハム福音協会は、現在ではシャーロットに本部を置いている。市の西部、シャーロット・ダグラス国際空港の近くに立地する同協会本部の敷地内には、2007年 に開館した、グラハムが育った農場の納屋を模したビリー・グラハム図書館が立地している[ 78] 。
カトリック教会 のシャーロット司教区はアップタウンの南西、ディルワース地区に立地する聖パトリック大聖堂に本部を置いている。ノースカロライナ州の西半分を管轄区域とする同管区は1971年 にローリー司教区から分割される形で創設されたもので、アトランタ大司教区の管轄下に置かれている[ 79] 。
また、ディルワース地区にはノースカロライナ州唯一の正教会 の大聖堂であるホーリー・トリニティ大聖堂が立地している。毎年9月には、この大聖堂を会場として、シャーロット最大の民族イベントの1つであるイアソウ・グリーク・フェスティバルが行われる[ 80]
人口動態
住民全体の人口比は黒人が35%である一方、黒人警察官は18%で白人警察官が75%を占める。
都市圏人口
シャーロットの都市圏、および広域都市圏を形成する各郡の人口は以下の通りである(2020年国勢調査)[ 2] 。
シャーロット・コンコード・ガストニア都市圏
郡
州
人口
メクレンバーグ郡
ノースカロライナ州
1,115,482人
ヨーク郡
サウスカロライナ州
282,090人
ユニオン郡
ノースカロライナ州
238,267人
ガストン郡
ノースカロライナ州
227,943人
カバラス郡
ノースカロライナ州
225,804人
アイアデル郡
ノースカロライナ州
186,693人
ローワン郡
ノースカロライナ州
146,875人
ランカスター郡
サウスカロライナ州
96,016人
リンカーン郡
ノースカロライナ州
86,810人
チェスター郡
サウスカロライナ州
32,294人
アンソン郡
ノースカロライナ州
22,055人
合計
2,660,329人
シャーロット・コンコード広域都市圏
都市圏/小都市圏
郡
州
人口
シャーロット・コンコード・ガストニア都市圏
2,660,329人
シェルビー小都市圏
クリーブランド郡
ノースカロライナ州
99,519人
アルベマール小都市圏
スタンリー郡
ノースカロライナ州
62,504人
合計
2,822,352人
市域人口推移
以下にシャーロット市における1850年 から2020年 までの人口推移をグラフおよび表で示す[ 81] 。
統計年
人口
順位
1850年
1,065人
-
1860年
2,265人
-
1870年
4,473人
-
1880年
7,094人
-
1890年
11,557人
-
1900年
18,091人
-
1910年
34,014人
-
1920年
46,338人
-
1930年
82,675人
-
1940年
100,899人
91位
1950年
134,042人
70位
1960年
201,564人
59位
1970年
241,420人
60位
1980年
315,474人
47位
1990年
395,934人
35位
2000年
540,828人
26位
2010年
731,424人
17位
2020年
874,579人
16位
姉妹都市
シャーロットは以下8都市と姉妹都市 提携を結んでいる[ 82] [ 83] 。
脚注
出典
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外部リンク
注: 順位は2020年国勢調査時の市域人口による。50州およびコロンビア特別区の都市のみを含む。
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