アメリカ陸軍予備役コマンド(アメリカりくぐんよびえきこまんど、United States Army Reserve Command:USARC)はアメリカ陸軍予備役に所属する組織。アメリカ陸軍予備役部隊を指揮し、部隊の人員配置、訓練、管理、展開について責任を負う。約205,000人の陸軍予備役兵士が所属している。予備役コマンドは運用・機能コマンド、支援コマンド、訓練コマンドの3つの従属コマンドで構成されている。予備役コマンド自体は、同じノースカロライナ州フォートブラッグに駐屯しているアメリカ陸軍総軍(FORSCOM)の指揮下にある。
1990年10月1日に発出された恒久命令第183号13(Permanent Order 183-13)によって、アメリカ陸軍予備役コマンド(暫定)が設立された。合衆国議会も、1990年11月に1991会計年度国防権限法を可決し、この命令に法的な根拠を与えた。アメリカ本土の全ての陸軍予備役部隊を、コマンド司令官の指揮下に移管した(ただし、特殊作戦部隊に指定された部隊と国防長官が特に指定した部隊は除く。)。この法律は、コマンドの試験的運用期間を2年間と設定し、この試験期間中には、陸軍長官による、コマンドの進捗状況と有効性の評価を支援するための独立委員会が置かれていた。また予備役権利章典と予備役活性化法が可決されてから23年を経て、陸軍予備役総監はコマンド司令官となり、陸軍予備役の正式な司令官となった。
完全な運用コマンドへの発展
アメリカ陸軍予備役コマンドを完全な運用コマンドへ発展させるためのタイムスケジュールを1年と決定し、その間に様々な課題が処理された。また合衆国議会は、新コマンドのドクトリン策定を指示した。アメリカ陸軍総軍とアメリカ陸軍予備役コマンド(暫定)は、組織と運用についてのマニュアルなど、双方で異なる点の解消を数か月間にわたり取り組んだ。他に、アメリカ本土に存在する他の陸軍コマンドや陸軍総軍から、陸軍予備役部隊を予備役コマンドの指揮下に移管するための計画と、予備役コマンドの司令部の位置の策定、設立に向けての人材確保など、多岐にわたる準備が進められた。そして、1991年10月18日発出された恒久命令第54号15(Permanent Order 54-15)によって、正式にアメリカ陸軍予備役コマンドが設立された。
陸軍予備役コマンドの袖章(SSI)は、1⁄8インチ(0.32cm)の黄色の線に囲まれた、全体の直径3インチ(7.6cm)の円形のものである。2匹のハクトウワシの頭が背中合わせに連結され、くちばしは黄色、目は黒くデザインされている[4]。双頭の鷲の紋章は、コマンドの標語「二面性の市民 "Twice the Citizen"」と、その予備役任務を象徴するものである。鷲の頭は反対方向を向いており、高い警戒心と幅広い能力と専門知識を表している。赤、白、青はアメリカを象徴する色であり、金は卓越性を表現している。
特徴的部隊記章
陸軍予備役コマンドの特徴的部隊記章は、エナメル加工された銀色の金属を台座としている。全体の幅は1 1⁄8インチ(2.9センチメートル)で、淡い銀と青で装飾された盾があしらわれ、その中に葉が生い茂る大木が描かれている。その盾の後ろでは、2本のサーベルが交差し、いずれの先端も記章の下部に描かれた「TWICE THE CITIZEN」の標語が刻まれている緋色のレリーフを貫いている[4]。青と緋色(赤)、淡い銀はアメリカを象徴し、緋色(赤)はまた勇気と犠牲も表現している。2本のサーベルは一般市民と予備役兵士としての二重の責任を示すとともに、平和と兵士の任務の統合が盾の大木によって表されている。これら2つの任務の性質は、盾の分割と、その色の対比により、さらに強調され、コマンドの標語も意識されている。大木は、強さ、持久力、成長を通して平和を希求し、維持することを表している[4]。アメリカ陸軍予備役コマンドの特徴的部隊記章は、1991年3月7日に初めて認可された[4]。