「アイ・フィール・ファイン 」(I Feel Fine )は、ビートルズ の楽曲である。1964年11月にシングル盤として発売された。レノン=マッカートニー 名義となっているが、実質的にはジョン・レノン によって書かれた楽曲で、ポピュラー音楽 でギター のフィードバック奏法 が使用された最初期の事例の1つとされている。イギリス、アメリカ、カナダ、アイルランド、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデンのシングルチャートで第1位を獲得し、1960年代のイギリスで5番目に売れたシングルとなっている[ 4] 。
背景・曲の構成
「エイト・デイズ・ア・ウィーク 」のレコーディング・セッション中に、本作のギターリフが頭に浮かんだレノンは、演奏の間ずっとリフが鳴っているような曲を想定して本作を書いた。レノンは翌朝のスタジオでリンゴ・スター に「こんな曲を書いたんだけど、粗末な出来なんだ」と伝えたが、前日に思い浮かんだギターリフをつけて試し、シングル曲向きであると判断したため、そのまま使用されることとなった。レノンとジョージ・ハリスン が演奏するギターリフは、ボビー・パーカー (英語版 ) の「ウォッチ・ユア・ステップ (英語版 ) 」のリフに影響を受けたもの。ポール・マッカートニー は、本作のドラムパターンが1959年に発売されたレイ・チャールズ のシングル曲「ホワッド・アイ・セイ 」に触発されたものであることを明かしている。
本作は、短めの重いフィードバックの後、アルペジオ のリフによるイントロに入る。曲はDメジャー で始まった後、Cメジャー を経て、Gメジャー に移行し、オープニングリフを数回繰り返してフェード・アウト する。メロディでは、長三度と短七度を使用。
冒頭のフィードバック
「アイ・フィール・ファイン」は、マッカートニーがベースのA弦を弾き、レノンがギターをマッカートニーのベースのアンプに近づけて鳴らすことで出しているフィードバック音から始まる。マッカートニーは「ジョンはギブソン のセミアコースティックギターを持っていた。そのギターにはピックアップが付いていたから、アンプに繋げることができたんだ。録音したテイクを聴くために、ジョンがそのギターをアンプに立てかけたままその場を離れようとしたら、「ニュアアアアアア」という音が鳴ったんだ。「アレはなんの音だ?プードゥーの呪いか?」「いや、違う。フィードバックだ」「すごい音だな!」と僕らは口々に言った。その場にいたジョージ・マーティン に「これをレコードに使えるかな?」と聞いたら、「そうだな、できると思うよ。最初の部分に入れたらいいんじゃないかな?」と答えた。ギターをアンプの方に向けて立てかけたせいで起こったハプニングから、良いものが見つかった」と振り返っている。
1980年の『プレイボーイ 』誌のインタビューで、レノンは「1920年代のオールド・ブルース は別にして、この曲より前にフィードバックを使っている曲なんかありっこないと断言できる。ライブでフィード・バックや進んでいる奏法をみんなやっているけど、レコードにこの手法を使ったミュージシャンはいなかった。これが最初のフィード・バックさ。ビートルズのために声を大にして言いたいね。(ジミ・)ヘンドリックス よりもザ・フー よりも、誰より先だったとね」と語っている[ 8] 。
プロモーション・フィルム
ジョー・マクグラス (英語版 ) 監督のもと、2種類のプロモーション・フィルム が制作されており、いずれも1965年11月23日に撮影された。1本目はレノンとマッカートニーとハリスンが演奏している後ろでスターがエクササイズバイク を漕いでいるもの[ 9] で、2本目は4人が新聞紙に包まれたフィッシュ・アンド・チップス を食べているもの[ 10] 。いずれも2015年に発売された『ザ・ビートルズ 1+ 』に収録された[ 11] 。
リリース
「アイ・フィール・ファイン」は、アメリカとイギリスでほぼ同時期に発売されたビートルズ初のシングルで、1964年12月12日付の全英シングルチャート で第1位[ 12] を獲得し、1965年1月13日付の同チャートまでの5週連続で第1位を獲得した[ 13] 。カナダのシングルチャートでも第1位を獲得した[ 14] 。アメリカのBillboard Hot 100 でも1964年後半から1965年初頭までの3週連続で第1位を獲得し[ 15] [ 16] [ 17] 、『キャッシュボックス 』誌が発表した1965年度年間チャートで第19位を獲得した[ 18] 。ビートルズのシングル作品でのBillboard Hot 100の首位獲得は、『抱きしめたい 』、『シー・ラヴズ・ユー 』、『キャント・バイ・ミー・ラヴ 』、『ラヴ・ミー・ドゥ 』、『ア・ハード・デイズ・ナイト 』に次ぐ6作目となり、作曲者のレノンとマッカートニーにとっては、同じ年に書いた楽曲で7作目の首位獲得作品となった。
イギリスで発売されたオリジナル・アルバムには未収録となっており、1966年12月に発売されたコンピレーション・アルバム『オールディーズ 』でアルバム初収録となった。アメリカでは1964年12月に発売された『Beatles '65 』でアルバム初収録となった。このほか、『ビートルズ・イン・イタリー 』、『ザ・ビートルズ1962年〜1966年 』、『ザ・ビートルズ/グレイテスト・ヒッツ 』、『リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス 』、『パスト・マスターズ Vol.1 』、『ザ・ビートルズ・アンソロジー2 』、『ザ・ビートルズ1 』などのコンピレーション・アルバムにも収録され、『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC 』や『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2 』にはBBCラジオ で放送された演奏が収録された。
イギリスでは、2012年時点で141万枚の売上を記録し[ 19] 、2018年12月時点で史上53番目に売れたシングルとなっている[ 20] 。
クレジット
※出典
チャート成績
月間チャート
チャート (1965年)
最高位
日本 (ミュージック・マンスリー洋楽チャート)[ 34]
5
年間チャート
認定と売上
カバー・バージョン
脚注
出典
^ Unterberger, Richie . “I Feel Fine - The Beatles | Song Info ”. 2020年11月24日 閲覧。
^ a b O'Grady, Terence J. (1 May 1983). The Beatles: A Musical Evolution . Twayne Publishers. p. 56 . ISBN 978-0-8057-9453-3 . https://archive.org/details/beatlesmusicalev00ogra . "Both "I Feel Fine" and "She's a Woman" are heavily rhythm and blues influenced pop-rock songs."
^ “Ken Dodd 'third best-selling artist of 1960s' ”. BBC News . BBC (2010年6月1日). 2020年11月24日 閲覧。
^ 『ジョン・レノンPlayboyインタビュー』集英社 、1981年、155頁。ASIN B000J80BKM 。
^ Martinelli, Dario (2020). What You See Is What You Hear: Creativity and Communication in Audiovisual Texts . Springer International Publishing. p. 54. ISBN 978-3-030-32594-7
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^ Rowe, Matt (2015年9月18日). “The Beatles 1 To Be Reissued With New Audio Remixes... And Videos ”. The Morton Report . 2019年1月18日 閲覧。
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参考文献
外部リンク
UK盤・US盤共通
1963年 1964年 1965年 1966年 1967年 1968年 1969年 1970年 1978年 1982年 1995年 1996年 2023年
UK盤 (パーロフォン /アップル )
US盤 (ヴィージェイ /スワン /トリー /キャピトル /アップル )
1963年 1964年 1965年 1966年 1970年 1976年
その他 (オデオン /パーロフォン /アップル )
1963年 1964年 1965年 1966年 1968年 1969年 1970年 1972年 1978年 1981年