『つよきす』 (Tsuyokiss) は、恋愛アドベンチャーゲームおよびそのシリーズ作品。第1作はWindows用のアダルトゲームとしてきゃんでぃそふとから発売され、他メディア展開も行われている。
内容は強気なヒロインと学園生活を送る恋愛アドベンチャーゲームとなっており、公式なジャンルは強気っ娘攻略アドベンチャー。タイトルは、登場人物の特性を表すキーワード「強気」と学園ものらしさを表すキーワード「キス」を掛け合わせたものになっており、タイトルを逆から読むと「好きよっ(すきよつ)」となる[3]。
本作は、主人公の視点をメインに描かれるマルチシナリオを読み進めていく恋愛アドベンチャーゲームである。
共通ルート(オープニング)が終了すると、マップ移動画面へ移行する。マップ移動を何日か繰り返すと個別シナリオへ分岐する[3]。
各ヒロインは全員とにかく「強気」で、そのバリエーションは傲慢、孤高、高飛車など様々であるが、それぞれのルートの後半では主人公に(ツンデレでいうところの)「デレ」状態になる。
主人公と一部の端役を除いてフルボイス。また、特別な日付やゲーム中のキャラクターの誕生日にゲームを起動すると、専用の音声が再生される。
なお、本作では2ちゃんねるに関する話題が多く盛り込まれており、当時の世相を反映しているとみなすレビュアーもいる[4]。また、主人公の名前が対馬レオであるため、物語やセーブタイトルという形で『ウルトラマンレオ』のパロディが用いられている。
架空の海浜都市「松笠」が作品の舞台[注 1]。
私立の学園「竜鳴館」に通う主人公・対馬レオは2-Cに所属しており、幼馴染の伊達スバル、蟹沢きぬ、鮫氷新一と合わせて対馬ファミリーと呼ばれている。
竜鳴館は変わった校風をしており、成績不良者や素行不良者は「烏賊島[注 2]」と呼ばれる竜鳴館所有の無人島で更生させられたり、体育祭は「体育武道祭」と呼ばれ、男子によるトーナメント方式のボクシングなどが行われたり、敷地内は治外法権となっており、風紀委員長は代々受け継がれてきた「地獄蝶々」と呼ばれる日本刀を所有したりするなどの特徴がある。また、竜鳴館の生徒会室は竜宮と呼ばれる別棟の二階にあり、物語の進行に伴って執行部メンバーとなった主人公とヒロインたちはここに集まることとなる。
第1作には『姉、ちゃんとしようよっ!』から登場人物がカメオ出演しており、両作品は世界観を共有していることが制作スタッフによって明らかにされている。また、『みにきす』に収録された『姉しよVSつよきす』では、両作の登場人物たちが競演している[注 3]。
主人公の対馬レオは、幼馴染である対馬ファミリー(蟹沢きぬ、鮫氷新一、伊達スバル)の面々とともに、私立の学園「竜鳴館」で平凡な日々を送っていたところ、従姉の鉄乙女との再会する。これがきっかけで、親公認の彼女との共同生活が始まり、彼女の誘いにより生徒会執行部に入部することになり、霧夜エリカ、佐藤良美、椰子なごみと関わるようになる。また、同時期に中学時代から因縁のある近衛素奈緒とも再び接点を持つことになる(『Mighty Heart』『みにきす』『Full Edition』)。美人だけど強気な女の子に囲まれ、レオの生活は大きく変化していくこととなる。
物語は第1作にて誰とも付き合うこともなく、2学年の2学期を迎えた状態から始まる。対馬レオは進路を考えなければならない時期に何も夢が思いつかず悩んでいたとき、竜鳴館に波乱の転校生、橘瀬麗武が転入してくる。対馬レオは瀬麗武の隣の席となり、彼女が来たことにより周りが再び騒がしくなっていく。
対馬レオの生活は春先に大きな変化が訪れた。夏の間に誰が先に恋人を作れるかという話を幼馴染メンバーで話していたが、結局誰も恋人を作らないまま時間は過ぎていった。2学期が過ぎ、3年生の鉄乙女は卒業を控える時期となった。そんな学年末の対馬レオの騒がしい毎日を描く。
登場キャラクターたちの「声」はゲーム版のものを主に記述する。なお、ドラマCDの声優はゲーム版と同じである。
テレビアニメ版の声優については『つよきす Cool×Sweet』を参照。
下記の他、様々なモブキャラクターが存在し、その中には『姉、ちゃんとしようよっ!』からのゲストキャラクターである柊要芽も含まれる。
『つよきす』のPC版から専用エンディングが存在する女性キャラクターは鉄乙女、蟹沢きぬ、霧夜エリカ、椰子なごみ、佐藤良美の5名。主人公と恋愛関係にならないソフトは『みにきす』のみ。
『つよきす』のPS2版より登場し、以降の作品で専用エンディングを持つ女性キャラクターは近衛素奈緒のみ。
『つよきす2学期』のPC版より登場し、以降の作品で専用エンディングを持つ女性キャラクターは橘瀬麗武のみ。
この節は作品によっては専用エンディングが存在する女性キャラクターの一覧。
作中では下記の2名と対馬レオ、蟹沢きぬの4名で対馬ファミリーと呼ばれる幼馴染グループを形成している。4名の関係が続くエンディングも存在する。
メンバー全員の家庭環境は良くない[注 5]彼らが、家族と同じような安らぎを得るために無意識に作ったコミュニティ。
基本的に騒動やギャグは新一ときぬが原因であり、それをレオとスバルで突っ込んだり後始末をすることが多い。
以下は攻略不可のサブキャラクターである。
竜鳴館にて登場するサブキャラクター。
※以下は『つよきす2学期』から追加されたサブキャラクター。
竜鳴館以外で登場するサブキャラクター。
※以下はこれまで設定上存在したが、『つよきす3学期』で初登場したサブキャラクター。
シリーズのラインナップは以下の通り。
きゃんでぃそふとの前作にあたる『姉、ちゃんとしようよっ!』と同じく、企画・シナリオをタカヒロ、キャラクターデザインおよび原画を白猫参謀(旧・最神扇道)[8]が担当している。
音楽も『姉、ちゃんとしようよっ!2』から引き続きI've soundのプロデュースである。
『つよきす』の企画・シナリオを担当していたタカヒロがきゃんでぃそふとの母体であるインターハートを退社したため、『みにきす』本編の追加シナリオと『なぞきす』のシナリオはつんでれ☆がちゃっくが担当し、『強打』のシナリオは前作までCG着色を担当していたryoが担当している。また、追加の原画はフェザードの吉野恵子が担当した。
『姉しよVSつよきす』での担当声優はそれぞれの原作と同じである。
シナリオは新人のNOBが担当し、原画は新たに真広雄海が担当することとなった。また、新たな装飾デザインを猫屋くりこが担当している。
BGMは一色由比が担当している。
メインヒロインのシナリオはこれまで二次元ゲームノベルズにて本作の小説版を手掛けてきたさかき傘が担当している。そして、サブヒロインのシナリオを熊川貴族が担当し、原画は奏汰が担当している。
音楽は一色由比、TAKAO、I've Soundが担当している。
第1作はPC NEWSセールスランキングの2005年8月後半・9月前半に1位を記録した[9][10]。きゃんでぃそふととしては同ランキング1位は初めて。2005年の年間ランキングではPC NEWSで6位、げっちゅ屋で4位の売上となっている[11]。発売は2005年の8月であるが2006年になっても売れ続け、PC NEWSの年間セールスランキングにて53位に入っている。
PS2版である『つよきす〜Mighty Heart〜』はファミ通のクロスレビューにて4人から合計32点 (8,9,7,8) の評価を受けゴールド殿堂入りした。2006年の年間売上はファミ通調べで約3.3万本[1]、メディアクリエイト調べでは2.9万本とされている。
『つよきす2学期』はTECH GIAN調べで2008年の8位。PS2版である『つよきす2学期 -Swift Love-』の2009年の年間売上がファミ通調べでは約1.4万本、メディアクリエイト調べでは約1.5万本とされている。
IGNの歐陽宇亮は、本作について、秀逸なキャラクターデザインと軽快なシナリオによって愉快な世界観を作り出すことに成功したことや、恋愛風景の多様性を描き出したことを評価し、日常系の傑作とも称賛している[4]。
一方で、シナリオ全体における恋愛の描写が非常に浅いがために一部のシリアスなプロットとかみ合わない点を指摘しており、「楽しい」以上の体験をもたらさなかったと述べている[4]。
第1作を原作にトライネットエンタテインメントとスタジオ雲雀の共同制作でテレビアニメが作られており、2006年7月から同年9月まで『つよきす Cool×Sweet』のタイトルで独立UHF局を中心に日本国内で放映されていた。内容面では主人公が近衛素奈緒に変更されたのを筆頭にストーリーや設定が再構成された作品となっている[12]。全12話。
『つよきす2学期 -Swift Love-』の発売に伴って、2009年5月18日から2012年6月26日まで音泉で『略してっ!つよきすラジオ♪』が配信されていた。パーソナリティは金田まひる(蟹沢きぬ役)と草柳順子(佐藤良美役)。