ヤン・エレガード・マグヌッセン(Jan Ellegaard Magnussen, 1973年7月4日 - )は、デンマーク出身のレーシングドライバー。
21歳でイギリスF3チャンピオンになり、F1世界選手権に参戦。その後はツーリングカーやスポーツカー耐久レースに転向し、特にコルベット・レーシングに所属してからは高い実績を上げた。息子ケビンも、レーシングドライバーの道に進んでいる。
経歴
レーシングカート
11歳からレーシングカートに乗り始めるとすぐにその才能を開花させ、1987年には14歳で世界ジュニアカート選手権を史上最年少で制した。1990年にシニアクラスである世界カート選手権でも優勝。日本で行われた大会での出走歴も持つ。
イギリスF3チャンピオン
その後、1991年7月にイギリスのジム・ラッセル・レーシングスクールを受講し(この時の講師は、翌1992年の全日本F3選手権チャンピオンになるアンソニー・レイドであった)、同年にはフォーミュラ・ヴォクスホール・ジュニアに、1992年にはフォーミュラ・ヴォクスホールに参戦した。
1994年にイギリスF3選手権で全18戦中14勝を挙げ、1983年アイルトン・セナ以来の圧倒的成績でチャンピオンに輝き、若き天才としてマグヌッセンはイギリスをはじめ各国で大きく報じられた。同年、名門マクラーレンの総帥ロン・デニスから声がかかり、MP4/8でのテストドライブのチャンスを得る。その後テストドライバーとして正式にチーム入りする[1]。
フォーミュラ1
1995年からマクラーレンにエンジン供給を開始したメルセデス・ベンツのサポートにより、マグヌッセンはドイツツーリングカー選手権(DTM)及び国際ツーリングカー選手権(ITC)に参戦していたが、終盤戦のパシフィックGPで虫垂炎のため病欠することになったミカ・ハッキネンの代役としてマクラーレン・メルセデスでF1デビュー、10位で完走した。
1996年はマクラーレンのテストドライバーを続けつつITCやCARTに参戦していたが、翌1997年にはF1でのレギュラー参戦を希望し、かつてのワールドチャンピオンジャッキー・スチュワートがフォードの大きな支援を受けて興した新チーム、スチュワート・グランプリからフル参戦を果たす。F1新規参戦チームに実質新人ドライバーの組み合わせとなったが、予選ではチームメイトのルーベンス・バリチェロにしばしば肉薄するタイムを記録。決勝レースではフォードエンジンのトラブルが多発し、なかなかポイント圏内でのフィニッシュを果たせなかった。
1998年もスチュワートから出走したが、前年以上に低下したマシンの戦闘力に苦しんだ。それでもカナダGPではようやくチームメイトのバリチェロに次ぐ6位入賞を果たしたが、直後にスポンサーを持ち込んだヨス・フェルスタッペンにシートを奪われた。これ以後F1シートを得ることは無かった。
アメリカ
1998年の残りシーズンは再びCARTシリーズに参戦した。その後、アメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)にも参戦する。
スポーツカーレース
1999年にル・マン24時間レースに参戦開始。
2003年はチーム郷で荒聖治らとチームを組みル・マンに参戦、アウディ勢として2番手の総合4位で完走した。なお、このシート獲得の顛末は日本の『AUTO SPORT』誌に「マグヌッセンがチーム郷と交渉中」という結果的に飛ばしであった記事を掲載された。それを見て驚いたチーム代表の郷和道がマグヌッセンに直接電話で確認したことから契約がまとまったという逸話を郷自身が語っている[2]。
2006年はSUPER GTにチーム郷から参戦する計画があり、マセラティ・MC12で荒聖治と再度コンビを組む予定だったが、実現しなかった。
ドイツ、デンマークをはじめIMSAなど各国のツーリングカーやGTレースで活動を続け、50代となった2023年も多くのレースに参戦した。
家族
長男のケビン・マグヌッセンもレーシング・ドライバーの道に進み、かつてヤンも所属したマクラーレンの若手ドライバー育成チームに所属した。ケビンはその後2011年にカーリン・モータースポーツからイギリスF3選手権へフル参戦しシーズン2位を獲得。2014年にマクラーレンのレギュラーシートを獲得し、親子2代にわたりマクラーレンでのF1デビューとなった。
2021年のル・マン24時間レースでは、数年構想されていた同チームからの親子参戦が実現[3]、レース中は多くのトラブルに見舞われ29位での完走であったが、レース後に「これは、夢に見ていたことのひとつだ。ル・マンで同じマシンをケビンと共に走らせた感情と経験は、これから忘れることはないだろう」とその感動をコメントした[4]。
レース戦績
- 1993 イギリスF3参戦
- 1994 イギリスF3:チャンピオン
- 1995 DTM:2位 マクラーレンテストドライバー McLaren Mercedes(1R):0P
- 1996 マクラーレンテストドライバー ITC CART(4R)
- 1997 スチュワート フォード:0P
- 1998 スチュワート フォード(7R):1P/15位
- 1999 CART:24位 ル・マン24時間(パノス):11位 ALMS:6位
- 2000 ル・マン24時間(パノス):16位 ALMS:8位
- 2001 ル・マン24時間(パノス):リタイア ALMS:6位 デンマーク・ツーリングカー選手権:5位
- 2002 ル・マン24時間(パノス):リタイア ALMS:8位 デンマーク・ツーリングカー選手権:5位
- 2003 ル・マン24時間(チーム郷):4位 ALMS:GTSクラス6位 デンマーク・ツーリングカー選手権:チャンピオン
- 2004 ル・マン24時間:6位(GTSクラス1位)ALMS(2R) ヨーロッパ・ツーリングカー選手権(7R) スウェーデン・ツーリングカー選手権(1R) デンマーク・ツーリングカー選手権(3R):11位 アメリカGrand-Am(5R)
- 2005 ル・マン24時間:5位(GTSクラス1位) ALMS(2R) ル・マン耐久シリーズ(1R) デンマーク・ツーリングカー選手権:2位 アメリカGrand-Am(6R)
- 2006 ル・マン24時間:4位(GT1クラス1位) ALMS(2R):7位 デンマーク・ツーリングカー選手権:2位 アメリカGrand-Am デイトナ24時間:26位 FIA世界ツーリングカー選手権(1R)
- 2007 ル・マン24時間:6位 ALMS:GT1クラス2位 Grand-Am:26位 デンマーク・ツーリングカー選手権:3位
フォーミュラ1
ドイツツーリングカー選手権
国際ツーリングカー選手権
アメリカン・オープン=ホイール・レーシング
CART
ル・マン24時間レース
デイトナ24時間レース
スーパーカーズ選手権
バサースト1000
ヨーロピアンツーリングカー選手権
IMSA・スポーツカー選手権
TCR・デンマーク・ツーリングカー・シリーズ
FIA 世界耐久選手権
対チームメイト 通算成績5勝8敗(勝率38.4%)
- 1995ブランデル:1-0
- 1997バリチェロ:3-6
- 1998バリチェロ:1-2
予選対チームメイト 通算成2勝23敗(勝率8.0%)
- 1995ブランデル:0-1
- 1997バリチェロ:2-15
- 1998バリチェロ:0-7
脚注
関連項目
外部リンク
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チーム首脳※ | |
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主なチームスタッフ※ | |
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現在のドライバー | |
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F1車両 |
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現在のPUサプライヤー |
- メルセデス (1995 - 2014, 2021 - )
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現在のスポンサー | |
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主な関係者 |
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主なF1ドライバー |
1960年代 | |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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※年代と順序はマクラーレンで初出走した時期に基づく。 ※マクラーレンにおいて優勝したドライバーを中心に記載。太字はマクラーレンにおいてドライバーズワールドチャンピオンを獲得。斜体はマクラーレンにおいて優勝がないものの特筆されるドライバー。 |
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Can-Am | |
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F2 | |
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F5000 | |
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USAC/CART | |
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GT※ | |
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タイトルスポンサー | |
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エンジンサプライヤー | |
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