ブラッド・ミラー(Bradley Alan Miller 1976年4月12日 - )は、アメリカ合衆国・インディアナ州ケンダルビル出身の元プロバスケットボール選手。NBAの6チームでプレー、NBAオールスターゲームに2度出場している。ポジションはセンター、パワーフォワード。
経歴
インディアナ州ウェストラファイエットにあるパデュー大学に進学し、ジーン・キーディヘッドコーチの下でプレーした。1年次にチームはビッグ・テン・カンファレンスで優勝、NCAAトーナメント2回戦まで進出した。ミラーは平均6.5得点、5.4リバウンドをあげた。2年次には平均9.6得点、5.5リバウンドと成績を向上させ、カンファレンス優勝を果たし、NCAAトーナメント2回戦まで進出した。3年次は平均14.3得点、8.3リバウンドと飛躍的に成績を向上させた。ミラーとブライアン・カーディナルに率いられたチームはカンファレンスで2位、NCAAトーナメントでも2回戦に進出した。この年パデュー大学のセンターとしては初めてチームのアシスト王になった。4年次には平均17.2得点、8.8リバウンドをあげた。チームはNCAAトーナメントで第2シードを獲得、ベスト16でトーナメントを終えた。デラウェア大学戦では6スティールをあげ、トーナメントにおける大学新記録を作った。
1998年のNBAドラフトの指名を受けることが出来ず、セリエA(イタリア)のバスケット・リヴォルノと契約。16試合に出場したのち、1998-99シーズン途中にシャーロット・ホーネッツ(現ニューオーリンズ・ペリカンズ)と契約した。以後、控え選手としてローテーション入りを果たし、38試合に出場し、平均6.3得点、3.1リバウンドを記録している。
大学時代のミラーは、同大学でわずか5人(ミラーの他にジョー・バリー・キャロル、テリー・ディッシンガー、ウォルター・ジョーダン、ロビー・ヒューメル)しか達成していない1500得点、800リバウンド、250アシストをマークした1人となった。
NBA2年目の1999-2000シーズンもホーネッツの一員としてプレーし、55試合に出場。初先発も経験するなど、成績を上昇させた。シーズン終了後にフリーエージェントとなり、シカゴ・ブルズと契約を結んだ。主にチームのスターティングセンターとしてプレーし57試合に出場(47試合で先発)した。
2002年1月のロサンゼルス・レイカーズ戦ではシャキール・オニールに激しいファウルを行い、立ち去ろうとした際、オニールに後ろから首根っこをつかまれている。しかし、実際にオニールにファウルをしたのはチャールズ・オークリーだった。
2002年2月、ロン・マーサー、ロン・アーテスト(現:メッタ・ワールド・ピース)、ケビン・オリーとともにジェイレン・ローズ、トラビス・ベスト、ノーマン・リチャードソン、ドラフト2巡指名権との大型トレードにより、インディアナ・ペイサーズへ移籍した。入団直後からインサイドの中心となった。この年はデビュー以後初めてプレイオフを経験したが、ペイサーズは1回戦で敗れた(翌年も同様に1回戦敗退)。
2002-03シーズンには、NBAオールスターゲームに初出場した。オフシーズンに、ペイサーズ、サクラメント・キングス、ブルズの3チームで起きたトレードにより、キングスに移籍した。この年は平均得点とリバウンドでダブル・ダブルを記録した。キングス移籍後は毎年のように安定した好成績を残し、インサイドの要として活躍した。
2003-2004シーズンには、自己ベストの平均15.6得点をあげて、2年連続となるオールスター出場を果たした。2005-2006シーズン半ばには1981年にサム・レイシーが達成して以来ひさびさとなる得点、アシストのダブルダブルを達成したセンターとなった。キングスでは5シーズン半プレーした。
2009年2月18日、ジョン・サーモンズと共に、ドリュー・グッデン、アンドレス・ノシオーニ、セドリック・シモンズとの交換でシカゴ・ブルズに移籍した[1]。若手の多いブルズで、ベテランとしての存在感を見せた彼は、キングス時代2シーズン遠ざかっていたプレーオフ出場を果たした。ボストン・セルティックスとのプレーオフ1回戦でレイジョン・ロンドのファウルを受けたミラーは、決勝点となるフリースローを外した。オーバータイムまでもつれた第6戦では23得点、10リバウンドのダブルダブルをマークした。
2010年7月17日、ヒューストン・ロケッツと3年1500万ドルの契約を結んだ[2]。同年11月12日の試合では先発し、23得点、8リバウンド、5アシストをマークした。12月3日にはシーズンハイの23得点をあげた。
2011年5月に左膝のマイクロフラクチャー手術を受けたミラーは、6月の2011年のNBAドラフトの際、ドナタス・モティエユーナスの交渉権、ジョニー・フリンとのトレードでミネソタ・ティンバーウルブズへ放出された。2012年1月12日にウルブズのチーム練習に初参加、1月29日の試合でそのシーズン初出場した[3] 。
2012年7月27日、3チームがからんだトレードで、フェニックス・サンズに移籍したが[4]、同年8月15日に解雇され[5]、その後引退を表明した。
アメリカ代表
ミラーは1998年バスケットボール世界選手権でその年ロックアウトのためNBA選手が派遣されなかったときのアメリカ代表となり、ルディ・トムジャノビッチヘッドコーチの下で銅メダルを獲得した。また日本で行われた、2006年バスケットボール世界選手権でも再びアメリカ代表になり、レブロン・ジェームズ、カーメロ・アンソニー、ドワイト・ハワードらとともにマイク・シャシェフスキーヘッドコーチの下でプレーした。チームは準決勝でギリシャに敗れ、3位決定戦でアルゼンチンを破り銅メダルを獲得した。プレトーナメントでアメリカはミラーのようなシュート力のあるビッグマンを必要としていたが、彼はトーナメントでほとんどプレイタイムを与えられずに終わった。彼は準決勝では全く出場できなかった。
9試合中出場したのはわずか4試合、出場した1試合あたり12.5分に出場、5.3得点、3.8リバウンドだった。(世界選手権はNBAの48分と違い1試合40分)
プレースタイル
身長211cmと、NBAの中でも大柄なミラーだが、正確無比なジャンプショットを武器としている。フリースローもキャリア平均約8割を誇る。また、パスセンスのよさで、センターの選手の中ではかなりアシストが多いプレイヤーでもある(キャリア平均は2.8アシストだが、2005-06シーズンはガードの選手並みの4.7アシストを記録した)。ブロックが少なかったりと、ディフェンス面が弱いとの指摘も受ける。しかし、ビッグマンとしてはシュートが上手く、外郭からも攻撃できる貴重な選手であるため、チームに少なからず貢献する。
NBA個人成績
レギュラーシーズン
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
1998–99
|
CHA
|
38 |
0 |
12.3 |
.565 |
.500 |
.794 |
3.1 |
.6 |
.2 |
.5 |
6.3
|
1999–00
|
CHA
|
55 |
4 |
17.5 |
.461 |
.000 |
.785 |
5.3 |
.8 |
.4 |
.6 |
7.7
|
2000–01
|
CHI
|
57 |
45 |
25.2 |
.435 |
.200 |
.743 |
7.4 |
1.9 |
.6 |
.7 |
8.9
|
2001–02
|
CHI
|
48 |
47 |
29.0 |
.460 |
.500 |
.751 |
8.4 |
2.1 |
1.1 |
.6 |
12.7
|
2001–02
|
IND
|
28 |
28 |
31.1 |
.562 |
.333 |
.823 |
7.9 |
1.8 |
.9 |
.4 |
15.1
|
2002–03
|
IND
|
73 |
72 |
31.1 |
.493 |
.313 |
.818 |
8.3 |
2.6 |
.9 |
.6 |
13.1
|
2003–04
|
SAC
|
72 |
53 |
36.4 |
.510 |
.316 |
.778 |
10.3 |
4.3 |
.9 |
1.2 |
14.1
|
2004–05
|
SAC
|
56 |
56 |
37.3 |
.524 |
.263 |
.812 |
9.3 |
3.9 |
1.2 |
1.2 |
15.6
|
2005–06
|
SAC
|
79 |
79 |
37.0 |
.495 |
.386 |
.828 |
7.8 |
4.7 |
.8 |
.8 |
15.0
|
2006–07
|
SAC
|
63 |
56 |
28.3 |
.453 |
.152 |
.772 |
6.4 |
3.6 |
.6 |
.6 |
9.0
|
2007–08
|
SAC
|
72 |
72 |
34.9 |
.463 |
.311 |
.848 |
9.5 |
3.7 |
1.0 |
1.0 |
13.4
|
2008–09
|
SAC
|
43 |
43 |
31.5 |
.474 |
.465 |
.801 |
8.0 |
3.4 |
.7 |
.6 |
11.9
|
2008–09
|
CHI
|
27 |
0 |
27.6 |
.478 |
.231 |
.853 |
7.4 |
3.2 |
.8 |
.4 |
11.8
|
2009–10
|
CHI
|
82 |
37 |
23.8 |
.430 |
.280 |
.827 |
4.9 |
1.9 |
.5 |
.4 |
8.8
|
2010–11
|
HOU
|
60 |
5 |
16.9 |
.446 |
.374 |
.830 |
3.7 |
2.4 |
.5 |
.4 |
6.4
|
2011–12
|
MIN
|
15 |
1 |
9.7 |
.333 |
.467 |
.833 |
1.3 |
1.6 |
.3 |
.1 |
2.3
|
通算
|
868 |
598 |
28.3 |
.480 |
.330 |
.804 |
7.1 |
2.8 |
.7 |
.7 |
11.2
|
オールスター
|
2 |
0 |
13.5 |
.667 |
.000 |
.500 |
4.5 |
1.5 |
.0 |
.0 |
6.5
|
プレーオフ
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2000
|
CHA
|
4 |
0 |
15.5 |
.529 |
.000 |
.800 |
3.3 |
.8 |
.0 |
.8 |
7.5
|
2002
|
IND
|
5 |
5 |
36.0 |
.455 |
.000 |
.800 |
9.8 |
1.4 |
.8 |
.4 |
11.2
|
2003
|
IND
|
6 |
6 |
22.5 |
.450 |
.000 |
.727 |
5.5 |
2.5 |
.8 |
.0 |
8.7
|
2004
|
SAC
|
12 |
0 |
30.5 |
.527 |
.143 |
.604 |
8.7 |
3.2 |
.8 |
.9 |
10.5
|
2005
|
SAC
|
5 |
4 |
27.8 |
.575 |
.000 |
.714 |
3.8 |
3.2 |
.2 |
.6 |
11.2
|
2006
|
SAC
|
6 |
6 |
27.7 |
.404 |
.143 |
.923 |
3.0 |
2.5 |
1.2 |
.8 |
9.2
|
2009
|
CHI
|
7 |
0 |
26.6 |
.471 |
.714 |
.792 |
7.9 |
1.3 |
.3 |
.9 |
10.3
|
2010
|
CHI
|
5 |
0 |
18.6 |
.370 |
.000 |
1.000 |
3.6 |
.8 |
.0 |
.2 |
5.4
|
通算
|
50 |
21 |
26.6 |
.478 |
.259 |
.742 |
6.2 |
2.1 |
.6 |
.6 |
9.5
|
脚注
外部リンク