この項目では、カローラのスポーツ(ハイパフォーマンス)系クーペモデル、および5代目以降のカローラのクーペモデルについて説明しています。
4代目以前のレビン系グレードを除くカローラのクーペモデルについては「トヨタ・カローラ 」をご覧ください。
カローラレビン (COROLLA LEVIN)は、トヨタ自動車 がかつて生産・販売していた小型クーペ 型の乗用車 である。スプリンタートレノ とは車台 と内外装のほとんどを共用する姉妹車 である。
本項では便宜上、2014年 から中国 市場で販売されているセダン 型乗用車のレビン (LEVIN、雷凌)についても記述する。
初代(カローラシリーズ通算2代目)TE27型(1972年 - 1974年)
トヨタ・カローラレビン(初代)TE27型
前期型
後期型
概要 製造国
日本 販売期間
1972年 3月 - 1974年 ボディ 乗車定員
5名 ボディタイプ
2ドアクーペ 駆動方式
FR パワートレイン エンジン
2T-G型 1.6 L 直4 DOHC 2T-GR型 1.6 L 直4 DOHC2T-B型 1.6 L 直4 OHV 2T-BR型 1.6 L 直4 OHV 最高出力
2T-G型 115 ps/6,400 rpm2T-GR型 110 ps/6,000 rpm2T-B型 105 ps/6,000 rpm2T-BR型 100 ps/6,000 rpm 最大トルク
2T-G型 14.5 kgm/5,200 rpm2T-GR型 14.0 kgm/4,800 rpm2T-B型 14.2 kgm/4,200 rpm2T-BR型 13.9 kgm/4,200
rpm 変速機
5速 MT 前
前:独立懸架ストラット式 後:非対称半楕円リーフスプリング 後
前:独立懸架ストラット式 後:非対称半楕円リーフスプリング 車両寸法 ホイールベース
2,335 mm 全長
3,955 mm 全幅
1,595 mm 全高
1,335 mm 車両重量
855 kg テンプレートを表示
無類のラリー 好きであった久保地理介 (後のトヨタ自動車副社長)が「セリカ の2T-Gエンジンをカローラに積みたい」と言ったことから開発がスタートした[ 注釈 1] [ 1] 。
発売は1972年 (昭和 47年)3月。カローラレビンは、カローラクーペの「SL」や「SR」よりスポーティな「ホッテストモデル」として登場した。当時は「普通の」カローラにもクーペモデルが存在したため、ボディタイプでの区別ではなく、最高性能バージョンとしての位置づけであった。カローラクーペとは、FRP 製オーバーフェンダー (生産時期によっては鋼板製のものもある)の有無で区別できる。エンジンは、上位車種ではあるが、成り立ちとしてはカローラからの派生車である、セリカ 1600GTに搭載されていた2T-G型 1.6 L DOHC エンジンが移植された。さらに正確にいえば、有鉛 ハイオクガソリン 仕様の2T-G型(115 ps:グロス値)と無縁 レギュラーガソリン 仕様の2T-GR型 (110 ps) とが設定されていた。1973年 (昭和48年)4月 のマイナーチェンジの際に追加された「レビンJ」には、ツインキャブの2T-B型 1.6 L OHV エンジン(105 ps:グロス値)および、そのレギュラーガソリン仕様にあたる2T-BR型 1.6 L OHVエンジン(100 ps:グロス値)がそれぞれ搭載されていた。「J」は「ジュニア」の頭文字で、アルファロメオ・ジュリア などにならったもの。スプリンタートレノにも同様のモデルが設定された。
2代目前期(カローラシリーズ通算3代目前期)TE37型(1974年 - 1975年)
2代目(TE37型)
1974年 (昭和 49年)4月 、レビンとして初めてのフルモデルチェンジ 。この時期、カローラレビンはTE37型、スプリンタートレノはTE47型を名乗ることになる。レビンはトレノとは異なり、2ドアハードトップ ボディが与えられ、外観的にはトレノとは全くの別物となった。車両重量が約50 kg増加し、TE27型のような強いスポーツ性は失われた。また、キャブレター仕様である2T-G / 2T-GR型エンジンが昭和50年排出ガス規制 をクリアすることができず、やむなく生産中止が決定された。その年の11月にトレノとともに生産打ち切りとなり、足掛け8か月でわずか256台という短命・少数に終わった。販売台数が少ない特性上、いわゆる旧車 としてレストア されている例はごく稀である。
2代目後期(カローラシリーズ通算3代目後期)TE51/TE55型(1977年 - 1979年)
2代目(TE51型)
レビンのみフルモデルチェンジに相当するかたちで、1977年 (昭和52年)1月 にトレノと共に復活した。マイナーチェンジ時に、カローラにクーペシリーズが、スプリンターにはハードトップが追加されたこともあり、別ボディの採用を取り止め、スプリンター系のクーペボディに一本化することでコストダウンを行った。この新しいボディの前半には、カローラリフトバックの物が流用された。
排出ガス規制への対応は、キャブレター方式から電子制御燃料噴射 (EFI)と酸化触媒の組み合わせで、2T-G型 エンジンを昭和51年排出ガス規制に適合させることに成功し、同エンジンの生産が再度可能になった。この適合で型式 も変わり、レビンはTE51型、スプリンタートレノはTE61型となった。追加モデルの「カローラリフトバック」と共通ボディでもある。1978年 (昭和53年)4月 、三元触媒 とO2 センサーにより、昭和53年排出ガス規制をクリア。この時期より型式がレビンはTE55型に、スプリンタートレノはTE65型に変更された。型式の変更は排出ガス値の違いによるもので、外観上の違いはほとんどない。
3代目(カローラシリーズ通算4代目)TE71型(1979年 - 1983年)
3代目(TE71型)
1979年 (昭和 54年)3月 にフルモデルチェンジ。2T-GEU型 エンジンが搭載されたカローラのボディは、ノッチバック の2ドアハードトップ 、2種類の3ドアハッチバック (クーペとリフトバック )及び4ドアセダン の4タイプ。これらの2T-GEU型搭載モデルの内、「レビン」の名が冠されたのはクーペのみで、4ドアセダン、2ドアハードトップ 、リフトバックは、単に「GT」と名付けられた。1981年 (昭和56年)8月のマイナーチェンジで通称後期型となる。燃焼室 が多球孔式に改められ[ 注釈 2] 、スーパーハードサスペンションとLSD を装着、スチールバンパーやその他装備の見直しで車重を軽くしたモータースポーツ ベース車両の「レビンS」と、脱着式サンルーフ 、ミシュラン 製タイヤを装備した最上級グレードの「レビンAPEX」が追加されている。
4代目(カローラシリーズ通算5代目)AE85/AE86型(1983年 - 1987年)
前期型 3ドア
前期型 2ドア
1983年 (昭和 58年)5月 、フルモデルチェンジ。E80系カローラ およびスプリンター のセダン、ハッチバックはこの時代にFF レイアウトに移行したが、カローラ・スプリンターの全シリーズをFFに移行するリスクを考慮し、カローラレビン・スプリンタートレノ(及びワゴン・バン)の車台は先代TE71型のものを流用し、FR のままとなっている[ 2] 。ボディタイプは2ドアクーペと3ドアクーペ(リフトバック )の2種。設計と生産は関東自動車工業 が行った。また、このモデルから搭載エンジンに関係なく、全ての2ドアクーペと3ドアクーペの車名が「カローラレビン 」に統一された[ 3] 。
AE86型
カローラレビンとして最後のFR であり[ 3] 、「ハチロク 」の愛称で親しまれている。このモデルから2T-GEU型 に替わり、4A-GEU型 (レーザーα 4Aツインカム16)1.6L DOHC16バルブエンジンが搭載された。4A-GEU型は3A-U型 1.5L SOHCエンジンをベースに4バルブDOHC 化したもので、130 ps(グロス値、ネット値110.5 ps相当)であった。上級グレードのGT APEXにはレビン初のパワーステアリング やパワーウインドウ 、ECT-S 4速AT (1985年 ~、GTVを除く)仕様も追加された。
1983年(昭和58年)5月発売型(通称、前期型または1型)と1984年 (昭和59年)2月の一部改良型(中期型または2型)のGT APEXには冷却水温によってフロントグリルが自動開閉する「エアロダイナミックグリル」が採用された。これはラジエーターロアホースから専用ホースを分岐させ、サーモワックスの膨張をリンクに伝えてフロントグリルのフラップを開閉するもので、切り替わる温度は約80℃であった。当時のカタログによると、空力特性の改善を目的としたものと説明されているが、コスト管理が厳しいカローラシリーズにあって、稀なギミック である。レンチ/スパナ などの工具が必要であったが、故障時に備えてフラップを開位置で固定することもでき、中期型ではより簡単なレバー操作に改良され、工具が不要になった。
1985年(昭和60年)5月のマイナーチェンジでGT APEX(後期型または3型)の開閉式グリルは廃止され、フロントグリル全体がブラックスモークのトランスルーセント ガーニッシュで覆われ、ヘッドランプ に隣接するフォグランプ が内蔵された。
北米では、COROLLA SPORT (カローラスポーツ、グレードはSR5とGT−Sの2種)として販売されていたが、ヘッドライトがスプリンタートレノに似た[ 注釈 3] リトラクタブルヘッドライト だった。また、AE86型には北米仕様のみ4A-C型 1.6L SOHC8バルブエンジンを搭載した廉価モデルも存在していた。ツーリングカーレースでも活躍し、スポーツランドSUGO でのグループA 車両による全日本ツーリングカー選手権 (JTC)のデビュー戦で優勝している。
AE85型
AE86型の廉価版モデルで、通称は「ハチゴー」。AE70型よりキャリーオーバーした常用域の実用 性に優れる3A-U型 1,500 cc SOHC エンジンを搭載したモデル群であり、女性ドライバー向け グレードも設定された。
ボディタイプは3ドアクーペが「SR」、2ドアクーペは「SE・ライム・GL」のグレードがあり、全てのグレードでATが選択出来た。また、マイナーチェンジ後の「SR」は、スポーツパッケージを選択することでツートーンカラーやスポイラー をオプション装着することができた。
AE86型と異なり、激しいスポーツ走行に使用された個体が少なかったことから、車両全体の状態がよい車両が多く、4A-GEU型へのエンジン換装 などでAE86型相当の性能を持たせた、いわゆるAE85改86のベース車としても利用されることがある。
5代目(カローラシリーズ通算6代目)AE91/AE92型(1987年-1991年)
1987年 (昭和 62年)5月、フルモデルチェンジ。このモデルからFF 化され、ボディタイプも3ドアクーペを廃止し、2ドアに1本化された。当時ヒットしていた同社のソアラ (2代目)のデザインテイストを取り入れたため「ミニソアラ」とも称された。ソアラは高くて買えないが、レビンなら買えるという若者たちの間で大ヒットとなり、折からのバブル景気 の影響そして、S13シルビア やBA4/5プレリュード などと共に「デートカー 」として、歴代モデル中最も販売台数の多いモデルとなった。
FF化も販売面では功を奏し、レビンとしては未曾有の販売台数を記録した。しかし、台数の多さゆえに早期から値崩れを起こし、さらに1990年代後半になるとZ20系ソアラ、A70系スープラ の中古車市場での値安化も追い討ちを掛け、下取りに入った車両は同型のカローラセダンおよびカローラFX 同様、多くの個体が並行輸出 またはそのまま廃車解体 されることとなった。そのため「最後のFR」であるAE86の人気・個体数と比べ、残存する個体は少ない。
1989年 (平成元年)5月マイナーチェンジが行われ、内外装の一部変更、1500 ccグレードのZiをZSに改称、パワーウインドウ スイッチの改良、GT APEXとZSにパワーウィンドウが標準となり、その他の全グレードにオプション設定された。リヤスポイラーはハイマウントストップランプ内蔵となり、GTVとLがカタログ落ちとなった。
AE92型
通称「キューニー」。登場時の4A-GE 型は120 ps(ネット値)。1989年(平成元年)5月のマイナーチェンジで大幅に改良が加えられ、ハイオクガソリン 指定となり、同エンジンは140 psとなった。GT APEXには、クラス初となる電子制御サスペンションTEMS が前期後期共に標準装備だった。また、このモデルからスーパーチャージャー を装備した4A-GZE型エンジン搭載の「GT-Z」が登場。4A-GZE型は前期型で145 ps、ハイオクガソリン指定の後期型は165psを発生した。これは、当時のB16A の160 psを上回る数値で、1.6 Lクラスの最高出力を誇っていた。
AE91型
量販グレードであるAE91型には5A-F型(キャブレター仕様)1.5 L ハイメカツインカム (ギア駆動による狭角DOHC)85 psエンジンが搭載された。EFI 装着の5A-FE型は94 ps。後期型に追加された5A-FHE型は105 psまで高められた。
6代目(カローラシリーズ通算7代目)AE100/AE101型(1991年-1995年)
1993–1995 Toyota Corolla Levin (AE101) GT Apex
1991年 6月、フルモデルチェンジ。通称「トイチ」もしくは「ひゃくいち」。イメージキャラクターにはF1ドライバーの片山右京 が起用され、「右京、レビンす」のキャッチコピーで片山がレビンを美祢サーキット で走らせるCMが放送された。バブル期 に開発されたモデルゆえにボディは大きく重くなり、コンパクトスポーツモデルとしての魅力を削ぐ結果となった。内装はスラッシュ成型を用いた高品質なダッシュボードなど、高級車を凌ぐレベルの質感を誇った。4A-GE型エンジンはVVT(非連続可変バルブタイミング 機構でVVT-i の前身にあたる)を吸気側カムシャフトに装備し、1気筒あたり5バルブ とし20バルブ化された。また、このクラスの市販車では珍しく、純正で4連スロットル を装備し、出力は160ps/7,400rpmとなった。ただし、スーパーチャージャー付きの4A-GZE型(170ps/6,400rpm)は、これまで通り16バルブのままだが細部の見直しを行っている。GT-Zは電動格納ミラーが装備されない以外はGT-APEXと同等の装備であった。先代のZSに相当するグレードがSJとして設定された。エンジンは4A-FE型である。
スーパーストラットサスペンション がGT APEX(オプション)、GT-Z(標準装備)に設定された。なお、GT-Zにはビスカス LSD が標準装備されている。合わせて、195/55-15タイヤ&アルミ、モモステアリングが装着された。
またスーパーストラットサスペンションを装備していないGT APEXには、電子制御サスペンションのTEMS (上下G 感応式)がオプション設定された(前期のみ)。
廉価グレードのSに搭載された5A-FE型は105ps/6,000rpmに達する。
1993年5月にマイナーチェンジが行われ、フロントバンパー、フロントグリル、テールライトのデザイン、リヤスポイラーの形状が変更された。リアワイパーのオプション化など、コスト削減が進められた。
7代目(カローラシリーズ通算8代目)AE110/AE111型(1995年 - 2000年)
トヨタ・カローラレビン(7代目)AE110/111型
前期型 BZ-G
後期型 BZ-R(ヘッドライトは後期型トレノのもの)
概要 製造国
日本 販売期間
1995年 6月 - 2000年 8月 ボディ 乗車定員
4名 ボディタイプ
2ドアクーペ 駆動方式
FF パワートレイン エンジン
5A-FE 型 1.5L 直4 4A-FE 型 1.6L 直44A-GE 型 1.6L 直4 最高出力
5A-FE型:100ps/5,600rpm 4A-FE型:115ps/6,000rpm 4A-GE型:165ps/7,800rpm 最大トルク
5A-FE型:14.0kg・m/4,400rpm 4A-FE型:15.0kg・m/4,800rpm 4A-GE型:16.5kg/5,600rpm 変速機
4速AT /5速MT /6速MT 前
前: 独立懸架ストラット/独立懸架ストラット(キャンバーコントロールアーム付き) 後: 独立懸架ストラット 後
前: 独立懸架ストラット/独立懸架ストラット(キャンバーコントロールアーム付き) 後: 独立懸架ストラット 車両寸法 ホイールベース
2,465mm 全長
4,305mm 全幅
1,695mm 全高
1,305mm 車両重量
950kg - 1,110kg 系譜 後継
7代目トヨタ・セリカ に統合(事実上) テンプレートを表示
1995年 6月、フルモデルチェンジ。呼称は「ピンゾロ」「ゾロメ」「イチイチイチ」「ひゃくじゅういち」「ワンイレブン」。スポーツグレードには通称「黒ヘッド」と呼ばれる4A-GE型エンジンを搭載する。エンジン制御方式はエアフローメーターを使用するLジェトロからAE92型以来のDジェトロ方式に戻り、4連スロットル 径の拡大、燃焼室 の形状の変更などの改良により、出力は165psに向上した。プラットフォームは変更されず、スーパーストラットサスペンションも先代より引き継がれたが、ボディは前モデルに比べ最大70kg軽量化され、走りのパフォーマンスは向上した。しかし、バブル崩壊 後の時期に設計された影響からか、初期モデルでは前モデルより車内の内装が見劣りすることが不評で、後期モデルでは内装が主に改良された。
このモデルからスーパーチャージャー付のグレードは廃止され、グレード構成もそれまでのGT系に代わり、新たにBZ系と呼ばれるようになった。これまでのGT APEXに代わる、装備を充実したグレードはBZ-Gとなり、装備を抑え走行性能を重視したグレードはBZ-Vとなる。スーパーストラットサスペンションはBZ-Vに標準、BZ-Gにオプションとなっている。スーパーストラットサスペンションを装備するMT車には、195/55R15タイヤと大径ブレーキ、日本のFF車では初となるヘリカルLSDが標準装備となる。このほか、ハイメカツインカムを搭載するベーシックグレードでは、4A-FE型1.6Lエンジンを搭載するモデルはXZ、5A-FE型1.5Lエンジンを搭載するモデルはFZ(型式名はAE110)となった。
後期型BZ-R
1995年12月、FZをベースとした特別仕様車FZリミテッドが設定された。運転席エアバッグ、専用ステアリングホイール、ストップランプ付リヤスポイラー、UV カットドアガラスが特別装備され、専用ボディカラーであるライトマリンブルーマイカメタリックが設定された。
1996年 5月、一部改良が行われた。全車にこれまでメーカーオプションだった運転席エアバッグ ・ABS が標準装備された。
1996年12月、FZとXZをベースとした特別仕様車 FZリミテッド・XZリミテッドを設定。助手席エアバッグ、ストップランプ付リヤスポイラー、電動格納式リモコンカラードドアミラー 、ワイヤレスドアロックリモートコントロールが特別装備された。
1997年 4月のマイナーチェンジでは、BZ系に自社開発6速MTが採用され、衝突安全ボディ「GOA 」の採用によりボディー剛性が向上し、重量はやや重くなった。また、グレード名称が一部変更され、BZ-Gにスーパーストラットサスペンションが装着されたものがBZ-R、それまでのBZ-Vは「BZ-R V仕様」と改称された。
1998年 4月 一部改良が行われた。BZ-Rにプライバシーガラスが標準装備(V仕様には設定なし)となり、全車に助手席シートベルト締め忘れ警告灯が標準装備となった。また、ボディーカラーが一部変更された。
その後、折からのクーペ を含むスペシャルティカー の販売不振のため、2000年 8月でカローラシリーズ(セダン・ワゴン)の9代目(E120型系)へのモデルチェンジを機に、姉妹車のトレノを含むスプリンター シリーズ(ワゴン、バン除く)とともに販売終了となり、モデル消滅となった。これによりレビン・トレノは国内では28年の歴史に終止符を打った。車種体系が整理・統合され、結果的に7代目セリカ (T230型系)が販売上(事実上)の代替車種となった。
中国市場専売「レビン」
初代(シリーズ通算8代目) E18#型(2014年 - 2022年)
2014年4月20日、天津一汽トヨタ自動車 の「カローラ」とともに広汽トヨタ自動車 が、北京モーターショー で発表[ 4] 。レビンの車名が14年ぶりに復活した。
2016年11月、広州モーターショー で、「ターボ」を初公開[ 5] 。
2代目(シリーズ通算9代目) E21#/EA1#型(2018年 - )
2018年11月16日、広汽トヨタ自動車 が、広州モーターショーで世界初公開[ 6] 。TNGA-Cプラットフォームを採用。
2020年11月、ホイールベースを50mm延長させたロングボディモデルが登場[ 7] 。このロングボディモデルに限り、新開発の直列4気筒 ・DOHC 16バルブ のM20A-FKS型 ダイナミックフォースエンジン が搭載される。
2021年11月、ガソリン車のみ仕様変更。ガソリン車用のエンジンがこれまでの2ZR-FAE型 、および8NR-FTS型 に代わり、全車が直列3気筒 ・DOHC12バルブ のM15A-FKS型 ダイナミックフォースエンジンに差し替えとなった。
2022年12月、広州モーターショーで第5世代THSを搭載したマイナーチェンジ版を発表[ 7] 。
2023年3月23日、中国でマイナーチェンジ[ 8] 。
ハイブリッド(フロント)
ハイブリッド(リア)
GT(フロント)
GT(リア)
日本国外での名称
北米ではCOROLLA SPORT (カローラスポーツ、グレードはSR5とGT-Sの2種)の名称で販売されていたが、AE86・AE92は当時の北米の保安基準の関係でスプリンタートレノに似たデザインのリトラクタブルヘッドランプを使用していた。似たような例は日産・240SX (S13型)でも見られる。[ 注釈 4]
オーストラリア、ニュージーランド では、2015年までカローラハッチバックE18#系(日本名:カローラランクス及びアレックス →オーリス )のスポーティモデルに「レビン」がグレード名として設定されていた。また2006年まではカローラワゴン(ZZE122R)のスポーティーモデルにも設定されていた。
中国 では11代目、および12代目の各カローラセダン(前者はE170L型、後者はE210L型)の広汽トヨタ仕様車の姉妹車種(トヨタ・レビン 名義)として存在している。尤も、2代目モデル(NRE210L・ZWE211L)は後に日本市場に投入され、日本国内の道路・交通環境に最適化され更にナローボディ化された 12代目カローラセダン(NRE210・ZWE211・ZRE212・ZWE214)にほぼ準拠したエクステリアの意匠が用いられている。
モータースポーツ
1973年カナダ のTE27型ラリーカー
1985年のAE86型のETCCマシン
1991年オーストラリアラリー選手権のAE86型ラリーカー
初代のTE27型が登場すると、セダン型のカローラを使用していたモータースポーツ参加者はレビンへ移行し、ツーリングカーレースでも上位を占める程の活躍をした。特に世界ラリー選手権 (WRC)ではトヨタがワークス支援するアンダーソン・モータースポーツ(現TMG )がそれまでのセリカ に代わって採用。1975年 の1000湖ラリー(現在のラリー・フィンランド)でハンヌ・ミッコラ のドライビングによりトヨタワークス初のWRC総合優勝を飾った。また日本国内ラリーでも活躍し、エントラントのほとんどがTE27型レビンで占められることもあった。なお1973年のアメリカでトヨタ車優勝を飾ったウォルター・ボイス のカローラは、レビンではなくカローラクーペ1600SRである[ 9] 。
TE37型は大きく重くなったボディが不評で、引き続きTE27型を使用するユーザーも数多く、ラリー・サーキットともに目立った戦績は残していない。またTE71型にモデルチェンジしてからはラリーに使われることは少なくなり、ボディ剛性に優れるセダンGTや2ドアハードトップのGTがよく使用されていたが、サーキットでは空力的に優れていたためツーリングカーレースに参加し、好成績を収めていた。また、TE71型では18R-G型エンジンのターボ仕様を載せたスーパーシルエット (グループ5)仕様がトムス の手によって製作され参加していたが、ハンドリングに優れるも、パワーでは日産スーパーシルエット軍団[ 注釈 5] の前には歯が立たない状態だったが、バランスに優れた車体を生かして好成績を残している。
AE86 型においては、開発当初からモータースポーツ参加を念頭に置いて開発されたと言う経緯がある[ 10] 上に、TE71型からのキャリーオーバー部品が多数存在していたため、発売後に数週間でラリーへ実戦参加する車両があるなど、積極的な競技参加が目立った。またN1規定で行われるカローラ/スプリンター・ノーマルカップ(C/SNC)やN2規定で行われるカローラ/スプリンター・グランドカップ(C/SGC)などのワンメイクレースが開催されるようになったのもこの代からで、以降も続けられるが、C/SGCは車両製作費が高騰したため1985年 迄の2年だけで終了した。またAE86型は欧州でも人気を集め、ETCC (ヨーロッパツーリングカー選手権)にも多数が参戦し、1983年のスパ・フランコルシャン24時間レース ではクラス優勝を挙げている[ 11] 。1986年、1987年にはイギリスツーリングカー選手権 (BTCC)のドライバーズチャンピオンにも輝いた。
グループA 車両によるヨーロッパツーリングカー選手権 (ETC)にも当初から参戦しており、日本で1985年から開催されたJTCの初戦で優勝を飾ることができたのも、ETCに参加していたことにより車両製作のノウハウが生かされたからである。各国内サーキットで開催されるアマチュアレースでも幅広く愛用されてきた。ホモロゲーション は1996年 に切れているが、2010年代 に突入した現在でも、OKAYAMAチャレンジカップ や富士チャンピオンレース 等で多数が活躍している等、長く愛されている稀有なモデルである。
FF化されたAE92型にモデルチェンジしてからは、JTCでシビック 勢との争いが激化し、毎レースごとに互角の戦いを繰り広げていたものの、シビックがマイナーチェンジでVTEC エンジンを搭載してからはパワーの面で大きく水をあけられ、苦戦が続いた。AE92型で追加されたスーパーチャージャー仕様はレギュレーションにより一つ上のクラスに編入されるため[ 注釈 6] 逆に不利になり、レースでは使用されなかったが、国内ラリーでは軽量かつハイパワーな面が注目され、長く使用された。
AE101型にモデルチェンジされると、4A-GE型エンジンが20バルブ仕様に進化し、パワーではVTECと渡り合えたものの、今度はタイヤに泣かされることになる[ 注釈 7] 。またレース仕様車にもスーパーストラットサスペンションを採用したことにより、足回りの熟成にも手間取ることとなってしまった。結局、JTCでは終盤、シビック優勢のままシリーズが終了してしまい、いま一つな結果で終わった。その後、全日本GT選手権 (JGTC)2000年シリーズ第4戦に、3S-GTE 型エンジンを搭載した車両が参戦した。
AE111型では、日本国内ラリーにおいて全日本からアマチュアレベルまで幅広く使用されてきたが、近年は出場クラスの排気量制限が上方に引き上げられたために、1.6Lクラスではパワー的に若干不利な点は否めない。レースではN1耐久(現 スーパー耐久 )への参加が目立った程度で、C/SNCもAE111型デビューから2年ほどで終了してしまった。不景気による競技人口の減少と、スポーツカー離れ が顕著になってきた時勢もあり、最後は寂しい幕引きとなった。
レビンの名称がカローラの姉妹車として残っている中国では、2019年からE210L型のレビンがCTCC(中国ツーリングカー選手権)に参戦している[ 12] 。
車名の由来
カローラ(Corolla)とは、ラテン語 で「花の冠 」という意味 を持つ[ 13] 。
レビン(Levin)とは、英語で稲妻 や電光 の意味(ただし古語であり、一般的なのは『lightning』)。これは元々豊田英二 が「英語ばかりじゃ面白くない」と『鷹 』と『鷲 』を考えてきたが、商標などの問題で没になった結果、代わりに登場したものであった[ 1] 。
出典
^ a b “カローラ・ターセルなど乗用車開発と製品企画体制整備 佐々木紫郎氏 ” (PDF). 日本自動車技術会 (1999年12月7日). 2006年12月19日時点のオリジナル よりアーカイブ。2024年12月23日 閲覧。
^ “トヨタ、カローラならびにスプリンターを一新 世界の最先端をいくベストフィットカー ” (PDF). トヨタ自動車75年史 . トヨタ自動車 (1983年5月12日). 2024年12月24日 閲覧。
^ a b 『昭和55年 写真生活』(2017年、ダイアプレス)p84
^ “トヨタ、中国向け新型車「レビン」を出展【北京ショー2014】 【ニュース】 ”. webCG . 2022年12月30日 閲覧。
^ “【広州モーターショー16】トヨタ レビン に「ターボ」…ダウンサイズの1.2リットル搭載 ”. レスポンス(Response.jp) . 2022年12月30日 閲覧。
^ CORPORATION, TOYOTA MOTOR. “TOYOTA、新型カローラ シリーズのセダンを中国 広州国際モーターショーで世界初披露 | トヨタ | グローバルニュースルーム ”. トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト . 2022年12月30日 閲覧。
^ a b “トヨタが新型「レビン」を初披露目! スポーティ顔のメッシュグリル採用! 第5世代ハイブリッド仕様を広州ショーで公開 ”. くるまのニュース(株式会社メディア・ヴァーグ ) . 2023年1月6日 閲覧。
^ “トヨタ 新型「レビン」中国で発表に「日本は出ない!?」「レビンといえば2ドアでは?」反響集まる ”. くるまのニュース(株式会社メディア・ヴァーグ) (2023年3月29日). 2023年3月31日 閲覧。
^ トヨタ・カローラ1600レビン…WRC参戦マシンのベース車特集 GAZOO.com 2018年2月14日
^ CG 増刊「The 86」
^ カローラの哲学
^ CTCC第3戦:新型キアK3 2.0Tが最後尾から逆転勝利。トヨタも初の3位表彰台 as-web 2019年6月26日
^ “車両系統図【豆知識】車名の由来 ”. トヨタ自動車株式会社. 2022年2月13日 閲覧。
注釈
^ 次の出展リンクの13/21ページ。
^ 旧式ながらLASREエンジン に編入された。
^ 実際にはグリルやバンパーの形状が異なり、トレノとはかなり印象が異なる。
^ ヘッドランプの光軸高さが、北米の保安基準より低かったため。240SXの場合も同じくリトラクタブル化(いわゆるワンビア 状態)で対応している。
^ スカイライン ・シルビア ・ブルーバード の3車種
^ 過給機 付きエンジン搭載車は、エンジン排気量が1.7倍に換算され、2.7Lとして扱われる。
^ グループAでは、量産車両で設定されているタイヤサイズからの拡大幅が制限されていた。
関連項目
外部リンク