外野席のプール
チェイス・フィールド (Chase Field )は、アメリカ合衆国 アリゾナ州 フェニックス にある野球場 。メジャーリーグベースボール(MLB) のナショナルリーグ西地区 に所属するアリゾナ・ダイヤモンドバックス の本拠地球場。
1998年の開場時は、命名権 を獲得したアメリカ国内の中堅銀行のバンクワンに因みバンクワン・ボールパーク (Bank One Ballpark )と名付けられ、地元ファンからはBOB(ボブ=頭文字をとった略称)などと呼ばれ親しまれた。2005年、バンクワンが世界的に名を馳せる大手のJPモルガン・チェイス銀行 と合併されると、球場の命名権も同銀行が継承、2005年シーズン途中でチェイス・フィールドに改称された。
なお、建設資金の内、フェニックス市支出分については、フェニックス市が消費税を2パーセント上げることで捻出した[ 1] 。
チームは早くも新球場建設を求めていて、球場の所有者であるマリコパ郡 が施設のメンテナンス を怠ったとして訴訟 を起こしている[ 2] 。
フィールドの特徴
世界2番目かつアメリカ合衆国初となる開閉式屋根付き野球場。
屋根付き球場ながら、当初は天然芝 を採用した。試合中は原則として屋根を閉じた状態にし、試合の開始前・終了後は芝生の育成のために屋根を開放していたが、平均気温が高く乾燥した気候が天然芝に悪影響を与えていたことを理由に、2019年シーズンよりフィールドを天然芝から人工芝 に変更した[ 3] 。
クアーズ・フィールド に次いで高所(海抜332m)にあり、気温の高さも相まって打球がよく伸びると言われており[ 4] 、ライト方向に風が吹く傾向にある(夏場は屋根が閉められ、湿度調整も行われるため傾向は薄れる)。
パークファクター は平均的な数値であるが、中堅が深くフェンスが高いためにホームランが出にくい一方で、外野フェンスが複雑な形状でツーベース、スリーベースが出やすい傾向にある[ 5] 。
設備、アトラクション、演出
プール
この球場だけの特徴として、右中間の外野席にプールがあることが有名で、試合がある日はグループ単位の貸切で運営されている(2011年現在3,500ドル)。高い料金にもかかわらず、予約が後を絶たない。シーズンが始まる前からすべての枠が満たされ、翌シーズン目当ての先約金を受けるほど。本塁からおよそ415フィート(約126.5メートル)離れている。1998年5月12日、カブス のマーク・グレース が「プール・ショット」第1号を放った。
屋根の開閉
屋根の移動にかかる時間は4分程度で、それにかかる電気代は2ドルである[ 6] 。
主要な出来事
MLBポストシーズン
この球場では、2023年までにポストシーズン が計28試合開催されている。2001年 にはダイヤモンドバックスがワールドシリーズ に進出し、当球場での最終第7戦に逆転サヨナラ勝利 して初の優勝を果たした。また、2023年 は2001年とは逆にビジターチームであるレンジャーズが球団創設以来初の優勝を果たした。
シーズン
シリーズ
日付
ビジターチーム(先攻)
スコア
ホームチーム(後攻)
観客動員
1999年
ディビジョンシリーズ
第1戦
10月0 5日(火)
ニューヨーク・メッツ
8 -4
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
49,584人
第2戦
10月0 6日(水)
ニューヨーク・メッツ
1-7
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
49,328人
2001年
ディビジョンシリーズ
第1戦
10月0 9日(火)
セントルイス・カージナルス
0-1
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
42,251人
第2戦
10月10日(水)
セントルイス・カージナルス
4 -1
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
41,793人
第5戦
10月14日(日)
セントルイス・カージナルス
1-2x
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
42,810人
リーグチャンピオン シップシリーズ
第1戦
10月16日(火)
アトランタ・ブレーブス
0-2
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
37,729人
第2戦
10月17日(水)
アトランタ・ブレーブス
8 -1
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
49,334人
ワールドシリーズ
第1戦
10月27日(土)
ニューヨーク・ヤンキース
1-9
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
49,646人
第2戦
10月28日(日)
ニューヨーク・ヤンキース
0-4
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
49,646人
第6戦
11月0 3日(土)
ニューヨーク・ヤンキース
2-15
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
49,707人
第7戦
11月0 4日(日)
ニューヨーク・ヤンキース
2-3x
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
49,589人
2002年
ディビジョンシリーズ
第1戦
10月0 1日(火)
セントルイス・カージナルス
12 -2
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
49,154人
第2戦
10月0 2日(水)
セントルイス・カージナルス
2 -1
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,856人
2007年
ディビジョンシリーズ
第1戦
10月0 3日(水)
シカゴ・カブス
1-3
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,864人
第2戦
10月0 4日(木)
シカゴ・カブス
4-8
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,575人
リーグチャンピオン シップシリーズ
第1戦
10月11日(火)
コロラド・ロッキーズ
5 -1
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,142人
第2戦
10月12日(金)
コロラド・ロッキーズ
3 -2
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,219人
2011年
ディビジョンシリーズ
第3戦
10月0 4日(火)
ミルウォーキー・ブルワーズ
1-8
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,312人
第4戦
10月0 5日(水)
ミルウォーキー・ブルワーズ
6-10
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
38,830人
2017年
ワイルドカードゲーム
10月0 4日(水)
コロラド・ロッキーズ
8-11
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,803人
ディビジョンシリーズ
第3戦
10月0 9日(月)
ロサンゼルス・ドジャース
3 -1
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,641人
2023年
ディビジョンシリーズ
第3戦
10月11日(水)
ロサンゼルス・ドジャース
2-4
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,175人
リーグチャンピオン シップシリーズ
第3戦
10月19日(木)
フィラデルフィア・フィリーズ
1-2×
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
47,075人
第4戦
10月20日(金)
フィラデルフィア・フィリーズ
5-6
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
47,806人
第5戦
10月21日(土)
フィラデルフィア・フィリーズ
6 -1
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
47,897人
ワールドシリーズ
第3戦
10月30日(月)
テキサス・レンジャーズ
3 -1
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,517人
第4戦
10月31日(火)
テキサス・レンジャーズ
11 -7
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,388人
第5戦
11月1日(水)
テキサス・レンジャーズ
5 -0
アリゾナ・ダイヤモンドバックス
48,511人
ワールド・ベースボール・クラシック
国際大会のワールド・ベースボール・クラシック では、2006年の第1回大会 と2013年の第3回大会 、2023年の第5回大会 において、当球場で1次ラウンドの一部の試合が開催された。
大会
ラウンド
日付
先攻
スコア
後攻
観客動員
2006年 (第1回)
1次ラウンド プールB
0 3月0 7日(火)
メキシコ
0-2
アメリカ合衆国
32,727人
0 3月0 8日(水)
カナダ
8 -6
アメリカ合衆国
16,993人
0 3月0 9日(木)
メキシコ
9 -1
カナダ
15,744人
2013年 (第3回)
1次ラウンド プールD
0 3月0 8日(金)
カナダ
4-14
イタリア
0 5,140人
メキシコ
5 -2
アメリカ合衆国
44,256人
0 3月0 9日(土)
カナダ
10 -3
メキシコ
19,581人
アメリカ合衆国
6 -2
イタリア
19,303人
0 3月10日(日)
アメリカ合衆国
9 -4
カナダ
22,425人
2023年 (第5回)
1次ラウンド プールC
0 3月11日(土)
コロンビア
5 -4
メキシコ
28,497人
イギリス
2-6
アメリカ合衆国
39,650人
0 3月12日(日)
イギリス
8-18
カナダ
11,555人
メキシコ
11 -5
アメリカ合衆国
47,574人
0 3月13日(月)
コロンビア
5-7
イギリス
10,416人
カナダ
1-12
アメリカ合衆国
29,621人
0 3月14日(火)
カナダ
5 -0
コロンビア
10,571人
イギリス
1-2
メキシコ
17,705人
0 3月15日(水)
メキシコ
10 -3
カナダ
17,245人
アメリカ合衆国
3 -2
コロンビア
29,856人
野球以外での利用
関連項目
脚注
^ 玉木正之 『スポーツ解体新書』、朝日新聞社 朝日文庫、153頁
^ 『2017年MLB選手名鑑 全30球団コンプリートガイド』日本スポーツ企画出版社〈スラッガー〉、113頁
^ 『2019年MLB選手名鑑 全30球団コンプリートガイド』日本スポーツ企画出版社〈スラッガー〉、111頁
^ Derek Saul (2023年4月7日). “Wonder Why MLB Sluggers Are Hitting More Home Runs? It Might Be Climate Change” (英語). Forbes . https://www.forbes.com/sites/dereksaul/2023/04/07/wonder-why-mlb-sluggers-are-hitting-more-home-runs-climate-change-has-to-do-with-it/?sh=7444ca351d6e 2024年7月6日 閲覧。
^ “Park Factors Leaderboard ”. 2024年9月1日閲覧。
^ 『2007 MLB30球団選手名鑑+球場ガイド』 82ページ ISBN 9784583614540
^ “Big Unit joins 4,000-strikeout club ”. MLB.com (2004年6月29日). 2021年8月15日 閲覧。
^ “St. Louis Cardinals at Arizona Diamondbacks Box Score, September 1, 2008 ”. Baseball-Reference.com (2008年9月1日). 2021年8月15日 閲覧。
^ “Milwaukee Brewers at Arizona Diamondbacks Box Score, May 8, 2010 ”. Baseball-Reference.com (2010年5月8日). 2021年8月15日 閲覧。
^ “San Francisco Giants at Arizona Diamondbacks Box Score, July 23, 2010 ”. Baseball-Reference.com (2010年7月23日). 2021年8月15日 閲覧。
^ “Seattle Mariners at Arizona Diamondbacks Box Score, June 18, 2012 ”. Baseball-Reference.com (2012年6月18日). 2021年8月15日 閲覧。
^ “San Diego Padres at Arizona Diamondbacks Box Score, August 14, 2021 ”. Baseball-Reference.com (2021年8月14日). 2021年8月15日 閲覧。
^ PHOENIX TO HOST 2019 WWE® ROYAL RUMBLE® WEEKEND
外部リンク
球団 歴代本拠地 文化 永久欠番 ワールドシリーズ優勝(1回) ワールドシリーズ敗退(1回) リーグ優勝(2回) 傘下マイナーチーム