「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) 」(ダンシング・ヒーロー イート・ユー・アップ)は、1985年 11月21日 にビクター音楽産業 より発売された荻野目洋子 の7枚目のシングル。振り付けは1985年版・2014年版共に三浦亨 [3] 。
解説
原曲はイギリスの歌手のアンジー・ゴールド により、1985年に発売されて世界的に大ヒットした『Eat You Up』(邦題:「素敵なハイエナジー・ボーイ」)である。曲調は当時の王道のディスコ・サウンド だった。
荻野目版の曲名の候補にはサビ の歌詞から「シンデレラ・ボーイ」などがあったが、所属するライジングプロダクション 社長の平哲夫 による鶴の一声 で「ダンシング・ヒーロー」に決まった[4] [5] 。
荻野目は、本曲で第12回日本テレビ音楽祭 にて日本テレビアイドル賞、第12回あなたが選ぶ全日本歌謡音楽祭 にて最優秀アイドル賞、第19回日本有線大賞 にて有線音楽賞を受賞している。また、第37回NHK紅白歌合戦 に初出場を果たした。同曲の大ヒットにより、荻野目は一躍トップアイドルに躍り出ることとなった[6] 。
テレビ番組『とんねるずのみなさんのおかげです 』では、荻野目がレギュラー出演していたコント「貧乏家の人々」で本曲が使われており、石橋貴明 が冒頭を歌っては木梨憲武 が暴力的なツッコミ で止めるのが毎回のお約束となっていた。なお、2014年に製作されたミュージックビデオでは、とんねるず の許可を得たうえで同コントバージョンの振り付けが使われている[7] 。
お笑い芸人の平野ノラ は、バブル時代のOLネタでブレイクした2015年頃からテレビ番組でたびたび本楽曲を出囃子 に使用した[8] 。当時のインタビューでもオススメの1980年代音楽として挙げている[9] 。
2017年 に大阪府立登美丘高等学校 ダンス部がコンテスト用の組曲に用いたことにより再注目され、12月に同曲のバージョン違い15曲を収めた企画シングル『ダンシング・ヒーロー ジ・アーカイブス 』が発売されるなどリバイバルヒットした(詳細は後述)。
振付師 の三浦亨によれば、イントロや間奏で披露される独特のステップはマドンナ を意識したものである[10] 。また、この曲はKilling Me Softly His Song をアレンジしたものである。
チャート成績
荻野目も、歌手デビュー以来初めてのオリコン週間チャート トップ10入りを果たす。また翌年1986年 の年間チャート12位にランクされ、シングル売上も唯一30万枚を突破(累計32万枚)[2] 、荻野目自身最大のヒット曲となった。累計売上は70万枚(公称)[11] 。
TBS 系『ザ・ベストテン 』では1985年12月に“今週のスポットライト”で初登場[注 1] 、翌1986年に入ってから初のベスト10入りを果たす(1986年 1月9日 、9位で初登場)。最高位は2位まで上昇(1986年2月6日 )、通算9週間ランクインした[13] 。
文化的影響
洋楽カバーのアイドル歌謡 として発売されたが、元の曲がユーロビート に分類されるダンスミュージック だったため、販売戦略とは異なる文化が後に形成された。
盆踊りの曲として定着
1990年代後半から愛知県 (尾張北部:江南市 、岩倉市 など)や岐阜県 (美濃加茂市 周辺)で盆踊り の曲として普及し始め[14] [4] 、徐々に首都圏(東京都 中央区 や清瀬市 など)の盆踊り大会でも採用されていった[15] 。名古屋の日本民踊研究会会長(当時)二代目島田豊年 が1986年に考案した最古の振り付け[16] 以外にも複数の総踊り用の振り付けが存在する。
2016年12月21日には、民謡歌手の2代目鈴木正夫 らによる総踊り用CD「踊る十二月」のカップリング曲に荻野目バージョンが収録された。
バブリー・ダンスとしてリバイバルヒット
Billboard Japan Hot 100 総合シングルチャートでは、2017年9月25日付けのチャートに46位で初登場。その後、大阪府立登美丘高等学校 ダンス部による当楽曲を使用した「バブリーダンス」のPV(制作・振付は同校OBの振付師akane )が、荻野目や平野ノラによる絶賛のコメントも後押しして一気に火が点き再生数が急伸。この楽曲を使用した動画の合計再生回数が8,705,160回を記録し、動画2位のDAOKO ×米津玄師 による「打上花火 」にダブル・スコア以上の差をつける結果となった。このポイントが牽引して、10月2日付けで「打上花火」に次ぐ総合2位にジャンプ・アップした[17] 。また、同年11月6日には配信限定シングル「ダンシング・ヒーロー -ALL EAT YOU UP-」[18] が、翌月にはシングル「ダンシング・ヒーロー ジ・アーカイブス 」(後述)が発売された。
対ドル為替レート(1950年以降)
ただし、実際は本楽曲がリリースされた1985年 末から、本楽曲の注目が続いた1986年前半までは全く以って「バブル期 」ではない。内閣府 が定義する景気循環 では、1985年6月をピークとするハイテク景気 (第10循環)の後退期にあたる同年9月22日 、G5により「プラザ合意 」がなされ、急激に進む円高 ドル 安が深刻な「円高不況 」を招き、日本政府や日本の輸出企業は大混乱に陥った[19] [20] [21] 。この不景気期には、おおよそ将来の好景気の芽はなかった。とは言え、本楽曲のリリースから約1年後の1986年12月頃、バブル景気(第11循環)は始まることとなる。
すなわち、本楽曲は実際は「円高不況期の曲」であるが、リリースから約30年後に「バブル期の曲」と誤解 、誤認 されてリバイバルヒットした[20] 。
収録曲
ダンシング・ヒーロー(Eat You Up) (3分47秒)
訳詞:篠原仁志 /作曲:A.Kyte / T.Baker/編曲:馬飼野康二
ぜんまいじかけの水曜日 (4分8秒)
作詞:秋元康 /作曲:松尾一彦 /編曲:萩田光雄
ダンシング・ヒーロー ジ・アーカイブス
『ダンシング・ヒーロー ジ・アーカイブス 』は、荻野目が大ヒットを記録したシングル「ダンシング・ヒーロー 」の楽曲のみを収録した企画シングル。2017年 12月20日 にリリース。
荻野目歌唱の楽曲がシングル作としてリリースされるのは2001年 に発売された『LOVE』以来、およそ16年振りとなる。
解説
上述の通り、同年7月に大阪府立登美丘高校ダンス部が同曲に合わせてネタとなった動画「バブリー・ダンス 」がYouTube にて投稿。すると、数日後には2.500万回以上の動画再生回数を記録したことが大きな反響を呼び、再びリバイバルヒットとなった。荻野目本人も動画を絶賛しており、9月のビルボード・ジャパン・チャートでは2位と一気に急上昇し人気に火がついた。これをきっかけに同校の生徒と共に荻野目もメディアへの露出なども数回増え始め、本作リリースへ繋がったとされる。収録曲に関しては、同楽曲の別音源や異なるミックス、数曲のバージョンに加え、初音源化となるバージョンなどを含む全15曲が収録されている。
収録曲
全トラックとも、作詞・作曲:A.Kyte - T.Baker、訳詞:篠原仁志
編曲:馬飼野康二 (トラック1~3、12)
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) -Special English Version-
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) -Moderan Version-
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) - '70s mirrorball mix-
編曲:"PARADISE GROOVE" Production's
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) -Club Mix-
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) -Euro Mix-
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) - Extended Euro Mix-
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) -Dancing Beat 2005 Mix-
編曲:SANDRO OLIVE and DAVE RODGERS
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) -Dear Pop Singer Remix Version-
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) -Dear Pop Singer Version-
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) -Live-
映像作品「VERGE OF LOVE【荻野目洋子 武道館ライブ】」中の音声トラックより収録。
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) <-Instrumental-> (オリジナル・カラオケ)
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) <-Instrumental-> (Up-Tempo)
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) <-Instrumental-> (Dear Pop Singer Ver.)
ダンシング・ヒーロー (Eat You Up) <ア・カペラ> (Dear Pop Singer Ver.)
チャート
カバー
脚注
注釈
^ スポットライトには、姉で女優の荻野目慶子 も応援のために出演した[12] 。
^ MAXにとって荻野目は同事務所(ライジングプロダクション)に所属する大先輩であり、挨拶以外の言葉を掛けることが憚られるほどの存在であるという。
出典
外部リンク
シングル アルバム
楽曲 映画 テレビ番組
関連項目 関連人物
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