エピメーテウス(古希: Ἐπιμηθεύς, Epimētheus)は、ギリシア神話に登場する神で、ティーターンの一柱である。プロメーテウスの弟で、ヘーシオドスが『仕事と日』において、対比的に神話を語っている。日本語では長母音を省略してエピメテウスとも表記する。
土星の第11衛星エピメテウスの由来である。
概説
名前の意味
「エピメーテウス」はギリシア語で ἐπί(上に、さらに)+ μάθη(学び)であり、「加えて考える者」の意である。兄のプロメーテウスの名が、「先の学び」すなわち「先見の明を持つ・行動する前に熟慮する」を意味するのに対し、「後知恵」のニュアンスを持つ。
家系
イーアペトスとクリュメネー(またはアシアー)の息子とされる。アトラース、プロメーテウス、メノイティオスの兄弟でティーターンの血族に連なる。
神話
彼の兄弟は、皆ゼウスに反逆して敗れ、過酷な責め苦を受けたティーターンの戦士達だが、エピメーテウスは愚鈍であったとされ、特にゼウスと敵対したという説話は伝えられていない。しかし、兄のプロメーテウスの巻き添えになる形で、結局はゼウスに煮え湯を飲まされる事となる。
プロメーテウスがゼウスから火を盗んで人類に与えた後、ゼウスは人類に厄災をもたらそうと謀った。そのためヘーパイストスに美女パンドーラーを作らせ、エピメーテウスに贈り物として与えた。プロメーテウスはエピメーテウスに警告したが、エピメーテウスは聞き入れず、パンドーラーを妻とした。のちにパンドーラーはゼウスから与えられた壺(後に箱とされた)を開け、その中にあった厄災を解き放ったという。これがいわゆる「パンドーラーの箱」である。
系図
関連項目