『“GIGS” JUST A HERO TOUR 1986』(ギグス・ジャスト・ア・ヒーロー・ツアー 1986)は、日本のロックバンドであるBOØWYの1作目のライブ・アルバム。
1986年7月31日に東芝EMIのイーストワールドレーベルからリリースされた。BOØWYとしては初となるライブ・アルバムであり、プロデュースは糟谷銑司が担当している。収録曲は4枚目のアルバム『JUST A HERO』(1986年)を中心にそれまでのアルバムからも選曲されているが、2枚目のアルバム『INSTANT LOVE』(1983年)からは1曲も収録されていない。
同年7月2日に開催された「JUST A HERO TOUR」のツアーファイナルとなった日本武道館公演の模様を収録しているという触れ込みだが、実際には同ツアーの他会場での音源も収録されている。また、ミックス作業の際にキーボードの音色やコーラスが追加で収録された。後に日本武道館公演のみを収録したライブ・アルバム『“GIGS” JUST A HERO TOUR 1986 NAKED』(2012年)がリリースされた(後述)。
4枚目のスタジオ・アルバム『JUST A HERO』(1986年)リリースと前後して、「BOØWY FILM EVENT JUST A HERO SPECIAL」と題したフィルムコンサートが2月24日の札幌ペニーレーンから3月7日の広島ウィズまで全国6か所にて行われ、BOØWYメンバーも出演しファンとの交流が図られた[5]。
その後「JUST A HERO TOUR」と題したコンサートツアーが3月24日の青山スパイラルホールを皮切りに25都市全37公演が行われた[6]。同ツアーでは映画『ブレードランナー』(1982年)をイメージしたステージセットが組まれていた[5]。5月1日の高崎市文化会館公演ではBOØWYとして初の映像作品となる『BOØWY VIDEO』(1986年)の撮影を前提としたライブが行われ、ステージ衣裳は沢田研二を手掛けた事で知られるデザイナーの早川タケジが担当した[7]。ツアーファイナルとなる7月2日には初の日本武道館単独公演が行われ、チケットは販売開始から3時間で完売となった[4]。また、同日には前述の『BOØWY VIDEO』がリリースされ、オリコン映像ランキングにて初登場4位を獲得した[4]。
1986年に開催された「JUST A HERO TOUR」より7月2日のBOØWYとして初となった日本武道館公演の模様を中心に収録されている。日本武道館公演では1曲目「BAD FEELING」から開始され、「ホンキー・トンキー・クレイジー」や「わがままジュリエット」などのシングル曲から、アルバム『JUST A HERO』収録曲、また1枚目のアルバム『MORAL』(1982年)からも「IMAGE DOWN」や「GIVE IT TO ME」などが選曲され、本編は全17曲演奏された[10]。「IMAGE DOWN」の演奏中には氷室京介による「ライブハウス武道館へようこそ!」というMCが行われた。その後アンコールとして「Dancing In The Pleasure Land」および「NO. NEW YORK」が演奏され、午後8時30分に至らずに終幕となった[10]。
BOØWYは前年のツアー「BOØWY'S BE AMBITIOUS TOUR」において12月6日にギャツビー主催のイベントライブの客演として日本武道館でライブを行っているが、高橋まことは中学生時代に憧れであったビートルズと同様に同地で単独公演を行いたいとの願望が当時あったと述べている[11]。7月2日の当日はビートルズの来日公演から20年後となる日であり、ビートルズと同じ舞台に立てた事で高橋は感無量であったという[12]。氷室は当時「どうせ俺たちはロフトの出だからさ」と発言する事が度々あったが、高橋はこの発言をライブによる快感をロフト時代に培った事から発せられたものであり、それ故に「ライブハウス武道館へようこそ!」という発言に繋がったのではないかと推測している[13]。
本作には1986年7月2日の初の日本武道館単独公演以外にも同ツアー他会場での音源も収録されている。日本武道館での演奏が収録されたのは、「PROLOGUE (SE)」「BAD FEELING」「ROUGE OF GRAY」「IMAGE DOWN」「JUST A HERO」の5曲となっている。また、キーボードが追加された曲は「BAD FEELING」「ホンキー・トンキー・クレイジー」「DREAMIN'」「IMAGE DOWN」「NO. NEW YORK」「JUST A HERO」の6曲であり、「IMAGE DOWN」は前述の通り観客の声が追加された他、当日の演奏より短く編集されており、曲中での氷室のMCや布袋、松井恒松、高橋のコーラスの一部がカットされている。「JUST A HERO」は氷室のボーカルと布袋、松井、高橋のコーラスの一部が差し替えられている。また「わがままジュリエット」は『BOØWY VIDEO』に収録された高崎市文化会館公演時の演奏をリミックスしたものである。そして「JUSTY」「BABY ACTION」「ホンキー・トンキー・クレイジー」「DREAMIN'」「NO. NEW YORK」の5曲は5月25日の大阪厚生年金会館公演時のものが収録されている。ただし「NO. NEW YORK」のギターソロは大阪公演の演奏とはまったく別のモノに差し替えられている。"JUST A HERO TOUR"は大半の公演がファンによる客席録音のブートレグ音源が出回っており、それらで確認する限り大阪以外の公演での「NO. NEW YORK」のギターソロに当アルバム収録ヴァージョンと同じものが見当たらず、「一切録り直しはされていない」という証言とは裏腹に別途録音された可能性はある。「DREAMIN'」のギターソロ後のサビ部分の布袋のコーラスパートにもわずかに編集された形跡はある。[要出典]
1986年のオリジナル盤は、LPサイズの5面開きの箱に音源とブックレット等が収納される特殊パッケージで、当時の通常価格(LP・カセットは2,800円、CDは3,200円)に対しLP・カセットは3,200円、CDは3,600円とそれぞれ400円増の価格設定がされた。このパッケージは各媒体での色がそれぞれ異なっている(LPは緑色、カセットは赤色、CDは紫色)。日本武道館公演のみを収録した『“GIGS” JUST A HERO TOUR 1986 NAKED』(2012年)は、LP盤の緑色の外箱の色のデザインがアルバムジャケットとして採用されたが、中のアルバムカバー自体は共通デザインが使用された。但しオリジナル盤は「BOØWY」のバンド名と「GIGS」の文字体が再発盤とは異なっている(現在流通している再発盤はパッケージ表記と基本的に同じ)。
『“GIGS” JUST A HERO TOUR 1986 NAKED』(ギグス・ジャスト・ア・ヒーロー・ツアー 1986 ネイキッド)は、日本のロックバンドであるBOØWYの7作目のライブ・アルバム。
2012年12月24日にEMIミュージック・ジャパンのイーストワールドレーベルからリリースされた。1986年7月2日に行われたBOØWY初の日本武道館公演の模様を収録した作品であり、当時リリースされた『“GIGS” JUST A HERO TOUR 1986』(1986年)において日本武道館公演以外の音源が収録されていたのに対し、本作では7月2日の音源のみが収録されている。
構成
BOØWY初のライブ・アルバム『“GIGS” JUST A HERO TOUR 1986』(1986年)は、日本武道館公演を収録した作品という触れ込みであったが、実際には同ツアーの他会場公演の音源も含めて12曲が選曲されており[注釈 4]、またライブ音源に後からキーボード等のオーバー・ダビングやボーカルおよびコーラスの差し替えが施されていた。