『OH! ベスト』(オー! ベスト)は日本のシンガーソングライターである岡村靖幸の2作目のベスト・アルバム。
2001年3月28日にエピックレコードジャパンからリリースされた。5枚目のオリジナル・アルバム『禁じられた生きがい』(1995年)よりおよそ5年3か月振りにリリースされた作品であり、1986年のデビューから2001年までにリリースされたシングル曲がすべて収録されている。
本作は岡村がEPIC・ソニー在籍時にリリースしたリミックス・シングル以外のシングルA面曲を網羅した全22曲のシングル・ベストであるが、一部の曲はシングル・バージョンではなくアルバム・バージョンもしくは既発の新録音バージョンでの収録となっている。岡村としては初のCD2枚組でのアルバムリリースとなり、またボックス・セットを除いて唯一の2枚組作品となっている。
本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位第19位となった。本作と同日に「マシュマロ ハネムーン feat. Captain Funk」がリリースされている。
背景
5枚目のアルバム『禁じられた生きがい』(1995年)をリリース後、岡村靖幸は12月23日に同作からのリカットとして18枚目のシングル「Peach X'mas」をリリース。同日にはCS放送『YOHO』にライブ出演し、即興で「THEME OF YOHO」を披露した他にコギャルおよび巨乳ブームについてコメントした。1996年に入り岡村は「真・禁じられた生きがい」と題したコンサートツアーを1月10日の広島厚生年金会館公演を皮切りに、2月13日の日本武道館公演まで9都市全13公演を実施した[4]。ツアー中の2月7日にはフジテレビ系音楽トーク番組『TK MUSIC CLAMP』(1995年 - 1998年)に出演し司会の小室哲哉と対談を行い、2月8日には福岡県天神のイムズにて行われたアーティストによる書き初め展に「なんしよっと?」という作品を出展。4月5日には文芸・音楽誌『月刊カドカワ』において「岡村靖幸 [完全復活宣言]」と題した特集記事が掲載され、5月2日には岡村が作詞・作曲およびプロデュースを行った川本真琴のデビュー・シングル「愛の才能」がリリースされる。その後「ピンク★ゲリラ'96」と題したクラブハウスライブツアーを6月11日および12日の赤坂BLITZ2日間連続公演を皮切りに、7月4日の日本武道館公演まで4都市全5公演を実施、赤坂BLITZ公演のアンコールにおいて松田聖子の楽曲である「赤いスイートピー」(1982年)および「小麦色のマーメイド」(1982年)を歌唱するも、途中で歌詞を忘れたために会場中の聴衆が合唱することになった[4]。12月1日には19枚目のシングル「ハレンチ」をリリースし、「ハレンチ」と題したコンサートツアーを12月12日の北海道厚生年金会館公演を皮切りに12月28日の大阪厚生年金会館公演まで5都市全6公演を実施、同ツアーではセットリストの3曲目において中森明菜の楽曲である「飾りじゃないのよ涙は」(1984年)を披露するものの、カンニングペーパーを凝視しながらの歌唱が波紋を呼んだ[4]。
1997年1月31日には栗コーダーカルテットのライブに参加するものの、同年5月31日には岡村のファンクラブが活動休止となる。1998年8月26日には岡村が作曲および編曲を行った西田彩栞のデビュー・シングル「どうなっちゃってるの どうだっていいんじゃない」がリリースされる。1999年5月12日には岡村が元詩人の血およびoh! penelopeに所属していた辻睦詞と歌詞を共作した東京スカパラダイスオーケストラの楽曲「情熱のイバラ」が、マキシシングル「火の玉ジャイヴ」のカップリング曲として収録される。6月14日には岡村の所属事務所であるリアルロックスによって「He'll soon back...」というタイトルの岡村靖幸公式ウェブサイトが開設され、6月30日にはホームページのタイトルが「Something will be arrived at the site on July 1999」に変更される。7月1日午前0時丁度にホームページ上で新曲となる「SEX」の一部と「バンビ」が配信され、同月には岡村の新曲として「マシュマロ・ウエディング」というタイトルの楽曲が完成したとの噂が流れた。8月14日には岡村の公式ウェブサイトにてインターネット特別番組『岡村靖幸 Summer Gift '99』が配信され、11月20日には20枚目のシングル「セックス」(1999年)がリリースされた。2000年4月19日には21枚目のシングル「真夜中のサイクリング」、6月21日には「セックス」のリミックスを収録したシングル「SexeS」がリリースされた。
リリース、チャート成績、構成
本作は2001年3月28日にエピックレコードジャパンから2枚組CDにてリリースされた。アルバムジャケットは洗剤のパッケージをイメージしたものになっており、また初回限定盤はデジパック仕様になっていた。5枚目のオリジナル・アルバム『禁じられた生きがい』(1995年)以降にリリースされたシングル「ハレンチ」「セックス」「真夜中のサイクリング」の3曲は本作にてアルバム初収録となり、また本作と同日に22枚目のシングル「マシュマロ ハネムーン feat. Captain Funk」がリリースされた。本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位第19位の登場週数は7回となった[2]。
芸術総合誌『ユリイカ7月臨時増刊号 総特集=岡村靖幸』においてライターのばるぼらは、リリースされると噂されていたオリジナル・アルバムの代替としてリリースされたのが本作であると述べた他、本作のリリースは岡村にとって不本意であったとも述べている。ばるぼらは「シングルA面曲が網羅され入門編としては申し分ない」と述べているが、同時に「聖書」が3枚目のアルバム『靖幸』(1989年)に収録されたアルバム・バージョン、「Out of Blue」「Dog Days」がベスト・アルバム『早熟』(1990年)に収録された新録音バージョンでの収録になっている他、「パラシュート★ガール」「ハレンチ」が別バージョンでの収録になっているなど「単純にシングル・コレクションというわけではない」と指摘している[注釈 1]。また、ばるぼらは本作に関して「リマスタリングによる過剰な音圧が当時は耳に刺激的だった」とも述べている。
収録曲
CDブックレットに記載されたクレジットを参照。
スタッフ・クレジット
CDブックレットに記載されたクレジットを参照。
- 大原正裕 – A&R
- 阿久津真一 – A&R
- 福田良昭 – アーティスト・プロモーション
- リアルロックス – アーティスト・マネージメント
- 前田康二(バーニー・グランドマン) – マスタリング・エンジニア
- タケイグッドマン (WIZ Entertainment) – アート・ディレクション、デザイン
- K5 (WIZ Entertainment) – アート・ディレクション、デザイン
- 村田美穂 (stock) – デザイン
- 村瀬裕子 – プロダクト・コーディネーター
リリース日一覧
脚注
注釈
- ^ 前述の指摘には含まれていないが、「チャーム ポイント」もシングル・バージョンではなく5枚目のアルバム『禁じられた生きがい』に収録されたアルバム・バージョンでの収録となっている。
出典
参考文献
外部リンク