ATMOS 2000 (Autonomous Truck Mounted howitzer System、自動トラック搭載型榴弾砲システム)は、イスラエル のソルタム・システムズ によって開発された52口径155mm榴弾砲搭載の自走砲システムである。
本システムは長射程、高速移動、トラックに搭載された大火力と機動性、急速な展開、短い反応時間、あらゆる環境下で活動可能である。
本システムは完全な弾道計算機を内蔵しており、自動制御、正確なナビゲーションとターゲット取得などが提供される。本システムは39-52の口径の様々な砲に適合し、エンドユーザーの異なる要求に対応できる。6x6、あるいは8x8のあらゆるトラックに積載可能である。
開発
ソルタム・システムズ は1980年台に、空輸可能な軽量の装軌式車体に155mm榴弾砲を搭載したラスカル 155mm自走榴弾砲 を開発していた。ATMOSはこの後継機種となる装輪式自走砲システムとして開発の進められたもので、2001年の終わり頃、ソルタム・システムズ は1999年終わりごろから存在を漏らしていたATMOS 2000の最新版の詳細を発表した[ 3] 。その時、155mm装輪自走榴弾砲(Self-Propelled Wheeled Gun (SPWG))についても言及した。
ATMOSは自主開発であり、輸出マーケットを主に狙っていたが、イスラエル国防軍 には既にデモンストレーションされていた。装輪自走榴弾砲は装軌式と比べて調達コストが安く、低ライフサイクルコスト であり、制御やメンテナンスが容易である。付け加えて、より良い戦略機動性を持ち重装備輸送システム に依存する必要がない。
2001年終わり頃、本システムはイスラエルの広範囲な試験により1000回を超える砲撃を行った。
2003年中頃、未公表の外部顧客と交渉し、500万米ドル相当のATMOS 2000システムを販売した。
2004年終わり頃から、イスラエル国防軍はATMOS 155mm39口径システムの広範囲なフィールドテストを行った。[ 4]
ルーマニアバージョンも存在し、ATROMと呼ばれているもので、ソルタムM71 155mm榴弾砲 をROMAN 26.360 DFAEG 6x6トラックシャーシに搭載したモデルである。
このプロジェクトは3つのプロトタイプが製造されるまで待たされた。
概要
52 calibre ATROM system
ATMOSは155mm52口径のNATO (Joint Ballistic Memorandum of Understanding (JBMoU))準拠の砲に対応し、6x6クロスカントリートラックのシャーシに搭載される。
砲尾のメカニズムは水平のスライド式で、自己密封式の金属製閉塞リングと一緒に右側に自動的に開かれる。緩衝装置は油気圧式の複座機の付いた油圧のシリンダーである。後座する長さは850-1,100mmであり、2つの空気式の平衡装置を持つ。砲の持ち上げおよび旋回は全て油圧式で電子制御される。砲の照準、装填補助システム、駐鋤は油圧パワーパックで駆動される。
155mm/52口径の砲身によりベースブリード弾(using Extended Range Full-Bore - Base Bleed (ERFB-BB) projectile)使用時に41kmの最大射程を持ち、またNATO L15高性能装薬(NATO L15 High Explosive(HE) projectile)使用時に30km、そして旧式のM107装薬使用時に24.5kmである。
ATMOS 2000は27発の155mm砲弾を保持し、そして関連する装薬があり、4人の乗員により制御され、うち2人の装填手(loaders)が後部座席に位置する。
本システムは毎分4-9発発射できる[ 5] 。
装輪型自走榴弾砲の比較
19式
アーチャー
カエサル
ATMOS
ダナ
ノーラ B-52
G6-52
2S22
RCH 155
画像
全長
11.21m
14.1m
10m
9.5m(本体)
11.1m
11.0m
10.4m
?
10.4m
全幅
2.5m
3.0m
2.55m
2.55m(本体)
3.0m
2.95m
3.5m
?
2.99m
全高
3.4m
3.3-3.9m
3.7m
?
2.85m
3.45m
3.4m
?
3.6m
重量
25t以下
33.5t
17.7t
22t(参考)
29t
34t(K-I) 25t(K2)
46.5t
28t
39t以下
最高速度
90km/h
65km/h
100km/h
80km/h(道路上) 30km/h(不整地)
80km/h
90km/h(道路上) 25km/h(砂利道) 15km/h(不整地)
85km/h
?
100km/h(道路上)
乗員数
5名
3-4名
5名 (緊急時3名)
4-6名
5名
3-5名
3-5名
5名
?
主砲
52口径 155mm
36.6口径152mm
52口径155mm (砲室23Lまたは25L)
52口径155mm
副武装
-
RWS ×1
-
-
7.62mm機銃 または 7.62mm/12.7mm RCWS
-
最大射程
不明
60km[ 注 1]
50km[ 注 2]
41km[ 注 3]
28km[ 注 3]
58km[ 注 4] 67km[ 注 5]
67km[ 注 6] [ 注 7]
35~40km
40km
発射速度
不明
8-9発/分
6-8発/分
4-9発/分
5発/分
6-12発/分
4発/分
4-8発/分
不明
装填装置
自動アシスト
自動[ 注 8]
自動アシスト[ 注 9]
自動アシスト
自動
自動アシスト
自動
装甲
不明
○
△[ 注 10]
○
○[ 注 11]
○
〇
備考
[ 注 12]
[ 注 13]
[ 注 14]
[ 注 15]
[ 注 16]
[ 注 17]
諸元
射程
41km - 52口径
- 49口径
- 39口径
発射速度
バースト - 3発を15秒以内
急速 - 5発を1分以内
持続 - 80発以上を1時間以内
照準分解能 - 1 artillery mil以内
射撃準備 - 1分以内
陣地転換 - 1分以内[ 2]
運用国
ATMOS 2000 運用国
脚注
注釈
^ M982弾
^ RAP弾
^ a b ベースブリード弾
^ HE ERFB/RA-BB弾
^ HE V-LAP弾
^ 数値実験では73kmも記録
^ M9703A1弾
^ 射撃準備・撤去は各30秒、8分で全弾給弾可能、全自動で装填・射撃可能
^ 装薬は手動装填
^ 数値キャビンのみ
^ 数値完全防護はK-I,K2のみ
^ 舗装面でも射撃可能
^ タッチパネル 式照準装置
^ 6x6や8x8のトラックを自由に選択可能
^ 世界初の装輪式自走 榴弾砲 、砲塔は225°旋回可
^ 砲塔は360°旋回可、背面には水平射撃可、対戦車誘導砲弾あり
^ ボクサー装輪装甲車 のミッション・モジュールとして砲システムを交換可能
出典
関連項目
外部リンク