1962年ドイツグランプリ (1962 German Grand Prix ) は、1962年のF1世界選手権 第6戦として、1962年 8月5日 にニュルブルクリンク で開催された。
レースは15周で行われ、BRM のグラハム・ヒル が予選2位から優勝した。ローラ をドライブするジョン・サーティース が2位、ポルシェ のダン・ガーニー が3位となった。上位6台が全て異なるコンストラクターだったことで、本レースは注目に値するものであった[ 1] 。
レース概要
グラハム・ヒル がジョン・サーティース とダン・ガーニー をリードする。この順位のままレースは終了した。
フィル・ヒル がドライブするフェラーリ・156 。彼はレース中盤にリタイアした。
大雨による水と泥の流れがコースの一部を覆ったため、レースは1時間以上遅れてスタートした。路面は完全に乾くことはなく、ウエットコンディションのままレースは行われた[ 2] 。グラハム・ヒルはウエットコンディションで巧みに走り、トップドライバーとして徐々に頭角を現し始めたサーティースが続いた[ 2] 。サーティースは本レースでドライバーズランキング3位に立ったが、この年は本レースが最後の入賞となった。ガーニーは見事なハンドリングでフィル・ヒル をかわして3位となった。フェラーリ は前戦イギリスGP よりもはるかに良くなっていたが、フィル・ヒルはオイルでバイザーが汚れたためピットインしなければならず、ピットアウト直後にリアサスペンションが壊れてリタイアした。フェラーリは労働ストライキ によりフランスGP を欠場し、続くイギリスGPもフィル・ヒル1台のみの出走にとどまったが、異なる仕様とした4台の156 で力を発揮した。フィル・ヒルの156には最新の6速トランスミッションが搭載され、リカルド・ロドリゲス は改良型のティーポ188(バンク角65度)エンジンが搭載された156でチーム最上位の6位入賞を果たしたのに対し、ジャンカルロ・バゲッティ は従来型の156で10位に終わった。ロレンツォ・バンディーニ は通常のノーズコーン、小型のラジエーター、フロントとリアのサスペンションを改造した開発カーを走らせたが、11位走行中の3周目にリタイアした[ 3] 。
ジム・クラーク はスタート時に燃料ポンプが起動せず13秒をロスしてしまい、燃料ポンプが始動した時には最後尾の26位に後退した。クラークは1周目に17台を抜き、首位と3-4秒速いタイムを出して猛追するが、レース中盤に数回のクラッシュが発生した後、ペースを少し緩め[ 1] 、4位に入賞した。5位のブルース・マクラーレン (クーパー )はクライマックス FWMVエンジン(V8 )を搭載したT60 を使用した。チームメイトのトニー・マグス も当初はT60を走らせる予定だったが、予選でカレル・ゴダン・ド・ボーフォール のポルシェ・718 に取り付けられたドイツのテレビ会社のカメラがコース上に落ち、グラハム・ヒルとともにクラッシュを喫したため[ 3] 、古いクライマックスFPFエンジン(直列4気筒 )を搭載したスペアカーのT55 を使用せざるを得ず、9位に終わった。グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション (GPDA)は安全上のリスクに起因する車載カメラを使用しない方針だったが、ド・ボーフォールはGPDAには所属していなかった[ 2] 。
本レースには3台の新しいマシンが登場した。BRMの新しいV8エンジンを搭載したギルビー (キース・グリーン がドライブ)は、レース中盤にギアボックスのトラブルでリタイアした。マセラティ の直列4気筒エンジンを搭載したベルギーのENB をドライブしたルシアン・ビアンキ は最下位の16位で完走した。このマシンは、前年に使用したエメリソン をフェラーリ・156のようなシャークノーズを装備したボディに改造したもので、非選手権レースと本レースのみの参加となった[ 4] 。ポールポジション を獲得したガーニー[ 5] が8分47秒2を出したのに対し、ビアンキのENBは10分40秒7と2分近く遅かったが、彼より速いドライバーが予選通過に最低限必要な5周を走行しなかったおかげで決勝に出走することができた[ 6] 。最も重要なのは、ジャック・ブラバム が創設したブラバム の最初のF1マシンBT3 がデビューを果たしたことであった。彼は練習走行の初日にベアリング が壊れてスピンを喫し、トレバー・テイラー のロータス・24 (エンジンのバルブが曲がった)の部品を使って修復されたエンジンで予選を通過し、後方グリッドからレースを開始した。彼は1周目が終わるまでに9位に上がったが、その後スロットルが壊れて9周目にリタイアとなった。ブラバムのコンストラクターとしてのデビュー戦は不本意な結果に終わったが、彼はマシン、特にハンドリングに満足していた[ 3] 。
エントリーリスト
追記
結果
予選
追記
^1 - テイラーは5周以上走行しなかったが、最後尾グリッドからのスタートが認められた[ 10]
^2 - 5周以上走行しなかったため予選不通過[ 9]
決勝
ラップリーダー[ 12]
第6戦終了時点のランキング
ドライバーズ・チャンピオンシップ
コンストラクターズ・チャンピオンシップ
注 : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。ポイントは有効ポイント、括弧内は総獲得ポイント。
脚注
参照文献
外部リンク