菊地 夏野(きくち なつの、1973年 - )は、日本のフェミニスト、社会学者。名古屋市立大学人文社会学部現代社会学科准教授。専門は社会学、ジェンダー論、ポストコロニアル理論研究。
経歴
宮城県登米郡中田町(現:登米市)生まれ。母親は福島県福島市出身。京都大学大学院文学研究科博士課程修了、『性暴力と売買春の社会学:沖縄・軍事占領とジェンダー』で博士(文学)を取得[1]。名古屋市立大学人文社会学部専任講師等を経て、現職。
東アジア・東南アジアにおける女性たちの社会運動等を研究対象とし、修士・博士論文では沖縄米軍政下における女性労働者の社会運動を歴史社会学の文脈で研究。いくつかの論文で、日本軍「慰安婦」問題について論じる。
愛知県名古屋のフィリピン人女性移住労働者の支援活動に関わり、また、アジア女性資料センター運営委員。名古屋市立大学では、ジェンダー論、権力論、社会学調査実習などを担当。最近では、ネオリベラリズムとジェンダーとの関係に着目し、ナンシー・フレイザー、ジュディス・バトラー、ガヤトリ・C・スピヴァク等欧米の議論を参照しながら、日本における新しいジェンダー問題について研究・発表している。
著書
単著
- 『ポストコロニアリズムとジェンダー』(青弓社 2010年)
- 『日本のポストフェミニズム :「女子力」とネオリベラリズム』(大月書店 2019年)
共著
- 「性暴力と売買春の狭間から―「慰安婦」問題をめぐる表象のポリティクス」『叢書・アレテイア1 脱構築のポリティクス』 仲正昌樹 編 /菊地夏野/西山雄二/内藤葉子/小森謙一郎/沢里岳史 ほか著(御茶の水書房 2003年)pp167-201
- 「沈黙と女性」(仲正昌樹編『差異化する正義』所収、御茶の水書房、2004年)
- 「住民たちの「集団自決」?沖縄と教科書検定」『私たちが戦後の責任を受けとめる30の視点』熊谷伸一郎 編(合同出版 2009年)pp98-103
- 「掘り起こされ、芽生えてゆく自由 フェミニズム理論の第三の波」『叢書アレテイア12 自由と自律』仲正昌樹 編 /橋本努/石黒太/福原明雄/中山尚子/菊地夏野/高原幸子/高橋慎一/堀江有里/ギブソン松井佳子/田代志門/清家竜介/白井聡/浜野喬士 著(御茶の水書房 2010年)pp135-161
- 「日本軍「慰安婦」問題に見る日本の戦後思想」『危機からの脱出―変革への提言』伊藤誠 著 /本山美彦 編(御茶の水書房 2010年)pp375-383
- 「在日フィリピン女性の不可視性」『カルチュラル・スタディーズで読み解くアジア』編者:岩崎稔/陳光興/吉見俊哉 (せりか書房 2011年) pp152-168
- 「大阪・脱原発女子デモからみる日本社会の(ポスト)フェミニズムーストリートとアンダーグラウンドの政治」『言葉が生まれる、言葉を生む―カルチュラル・タイフーン 2012 in 広島/ジェンダー・フェミニズム篇』(ひろしま女性学研究所 2013年)pp116-140
- 「障害学とジェンダー論と」『障害学のリハビリテーション―障害の社会モデルその射程と限界』川越敏司、川島聡、星加良司 編(生活書院 2013年) pp41-51
- 「スピヴァクにおける読みの倫理」『叢書・アレテイア16「倫理」における「主体」の問題』 著者:仲正昌樹 編 /望月由紀/吉沢文武/中村哲平/河田健太郎/入江俊夫/坂倉涼/木村正人/杉本俊介/池田喬/菊地夏野/大澤聡/清家竜介(御茶の水書房 2013年)pp229-254
- 「第12章 スピヴァク」『現代社会思想の海図』 仲正昌樹 編 (法律文化社 2014年)pp170-184
- 「国籍法を変えたフィリピン女性たちの身体性―ジェンダー・セクシュアリティとグローバリズム」『国境政策のパラドクス』森千香子 編著 エレン・ルバイ 編著 (勁草書房 2014年)pp199-231
- 「ポストフェミニズムと日本社会ー女子力・婚活・男女共同参画」『ジェンダーにおける「承認」と「再分配」: 格差、文化、イスラーム』越智博美 編著, 河野真太郎 編著, 藤野寛 著, 加藤泰史 著, 町田みどり 著, 小泉順也 著, 井上間従文 著, 鵜飼哲 著, 森千香子 著, 中井亜佐子 著, 菊地夏野 著, 中山徹 著, 岡野八代 著(彩流社 2015年)pp67-88
- 「「慰安婦」問題に名古屋から取り組む」『ナゴヤ・ピース・ストーリーズ―ほんとうの平和を地域から』平田雅己・菊地夏野 編(風媒社 2015年)
- 「モザイク化する差異と境界――戦争とジェンダー/セクシュアリティ」『戦争社会学-理論・大衆社会・表象文化』好井裕明・関礼子 編(明石書店 2016年)
- 菊地夏野、堀江有里、飯野由里子、赤枝香奈子、清水晶子ほか 著、菊地夏野、堀江有里、飯野由里子 編『クィア・スタディーズをひらく2』晃洋書房、2022年3月30日。ISBN 978-4771035607。
論文、書評等
脚注
外部リンク