1804年、フランスのニコラ・アペールは、ガラス瓶の中に食物を入れ、密封した上で加熱殺菌を施した後に保存する手法を発明した。当時、ナポレオン・ボナパルト統治下のフランスは外国への軍事遠征を頻繁に実施しており、関連して食糧の新たな長期保存手段の開発を模索していた。従来は塩蔵、薫製、酢漬けを中心として食糧の保存が行われていたが、味が悪く、また劣化も早かった。1810年6月、アペールはフランス当局の要請に基づいて研究成果を纏め、『全ての家庭への本、すなわちあらゆる食品を数年間保存する技術』(フランス語: Le livre de tous les ménages ou l'art de conserver pendant plusieurs années, toutes les substances animales et végétales)として出版した。同書は間もなくドイツ語、英語、スウェーデン語へと翻訳された[1]。
一般にはワーナー式が世界初の缶切りだと言われているが、イギリスの研究者サミュエル・J・ハードマン(Samuel J. Hardman)が工具および取引歴史協会(英語版)向けに執筆した記事によれば、イギリスで刃物や外科用器具の製造を行っていたロバート・イェーツ(Robert Yates)が1855年に、またイェーツの息子フレデリック(Frederick Green Yates)が1851年にそれぞれ缶切りの特許を取得していたとしている。また、イギリスのジョン・ギロン(John Gillon)が1840年に考案したとされる缶切りが1843年のカタログに掲載されていたほか、当時の缶詰のラベルに書かれた開封方法の説明文には、直接言及されてはいないがナイフと缶切りを使って開封するかのように示唆されているものがある[4]。
回転式の缶切りは、ウィリアム・ライマン(英語版)が1870年に初めて考案した。現代の回転式(ねじ式)缶切りに類似したものは、1920年代にチャールズ・アーサー・バンカー(Charles Arthur Bunker)が考案した[4][3]。