渡辺 喜恵子(渡邊 喜惠子、わたなべ きえこ、1913年(大正2年)11月6日 - 1997年(平成9年)8月8日)は日本の小説家。本名は木下喜惠子。秋田県出身者として初めて、直木賞を受賞した。
略歴
秋田県仙北郡檜木内村(後の西木村、現:仙北市)生まれ。2歳の時、父・栗生沢米太郎が鷹巣町(現:北秋田市)に木材工場を創業し転居する。能代高等女学校(現:秋田県立能代北高等学校)卒業後の1931年(昭和6年)に上京。1935年(昭和10年)、画学生・渡辺茂との結婚のため広島へ転地する。しかし、1939年(昭和14年)、25歳のときに夫が病死。1942年(昭和17年)、亡き夫のことを綴った短編小説集『いのちのあとさき』を刊行し創作活動に入る。1944年(昭和19年)春、母の故郷、岩手県二戸郡石切所村(後に福岡町を経て二戸市)に疎開。
戦後、再上京、同人誌「明日」「三田文学」に拠って文学活動を行う。1959年(昭和34年)『馬淵川』で第41回直木賞受賞。『みちのく子供風土記』には幼少時の鷹巣のことなども記載されている。長編三部作『原生花園』のほかに、画家青木繁を描いた『海の幸』がある。
主な作品に『プルメリアの木陰に』、『南部女人抄』、『啄木の妻』、長編歴史小説『南部九戸落城』などがある。
1983年(昭和58年)に「秋田の文学振興に役立ててほしい」との意向のもと、1千万円を秋田魁新報社に寄託。秋田魁新報社は翌1984年(昭和59年)、創刊110年を記念して1千万円を拠出、計2千万円で基金を設立して「さきがけ文学賞」を創設した。趣旨は「広く全国から新人作家を発掘し、秋田県内の文学創作活動の振興、ひいては芸術文化の向上に一助とする」というもの。1985年(昭和60年)に、秋田魁新報社は基金に1千万円を追加(基金総額3千万円)して財団法人「さきがけ文学賞渡辺喜恵子基金」を設立。
2012年4月に公益財団法人「さきがけ文学賞渡辺喜恵子基金」に移行している[1]。
受賞歴
著書
- 『いのちのあとさき』国文社 1942年
- 『末の松山』丹頂書房 1948年
- 『馬淵川』光風社 1959年 のち旺文社文庫
- 『地蔵流し』光風社 1960年
- 『白と紫』講談社 1960年
- 『京おとこ 大谷竹次郎物語』アルプス 1963年
- 『饑渇っ子』光風社 1964年
- 『黝い血』あすなろ社 1967年
- 『みちのく子供風土記』文化服装学院出版局 1969年 のち旺文社文庫
- 『原生花園〈全3部〉』文化服装学院出版局 1969年
- ポーラテレビ小説『原生花園 アンラコロの歌』(1972年)の原作[2]
- 『海の幸』新潮社 1971年
- 『湯治場風土記』日本交通公社 (ベルブックス) 1972年
- 『プルメリアの木陰に』新潮社 1974年
- 『タンタラスの虹』新潮社 1975年
- 『南部女人抄』光風社書店 1975年
- 『風に咲くプァマレ』新潮社 1976年
- 『夜明けの河』新潮社 1979年4月
- 『啄木の妻〈全3巻〉』毎日新聞社 1980年
- 『北国食べ物風土記』女子栄養大学出版部 1981年12月
- 『暮らしのつくろい手ばたらき』文化出版局 1983年4月
- 『万灯火』毎日新聞社 1986年3月
- 『南部九戸落城』毎日社聞社 1989年
- 『旅』秋田魁新報社 1991年8月
脚注
関連項目
- 千葉治平 第54回(1965年)秋田県出身者で2人目の直木賞受賞者。渡辺喜恵子と同じ仙北市出身。
- 西木正明 第99回(1988年)秋田県出身者で3人目の直木賞受賞者。渡辺喜恵子と同じ仙北市出身。
- 石川達三 第1回(1935年)芥川賞受賞者。秋田県横手市出身。2023年現在秋田県出身者としては唯一の芥川賞受賞者。
外部リンク
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1930年代 - 1950年代(第1回 - 第42回) |
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1930年代 | |
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1940年代 |
- 第11回 堤千代『小指』他/河内仙介『軍事郵便』
- 第12回 村上元三『上総風土記』他
- 第13回 木村荘十『雲南守備兵』
- 第14回 該当作品なし
- 第15回 該当作品なし
- 第16回 田岡典夫『強情いちご』他/神崎武雄『寛容』他
- 第17回 山本周五郎『日本婦道記』(受賞辞退)
- 第18回 森荘已池『山畠』『蛾と笹舟』
- 第19回 岡田誠三『ニューギニヤ山岳戦』
- 第20回 該当作品なし
- 第21回 富田常雄『面』『刺青』他
- 第22回 山田克郎『海の廃園』
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1960年代 - 1970年代(第43回 - 第82回) |
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1980年代 - 1990年代(第83回 - 第122回) |
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