正丸峠 (しょうまるとうげ)は、埼玉県 飯能市 と同県秩父郡 横瀬町 の境界にある峠 。標高636m。秩父 ・奥武蔵 にある峠の一つである。江戸時代 、江戸と秩父と結ぶ道の一つとして秩父札所 巡礼などに用いられた「正丸峠」は、現在の「旧正丸峠」である。
概要
かつては峠道が国道299号 であったが、1982年 (昭和57年)3月の正丸トンネル供用開始とともに国道はトンネルに変更された。西武鉄道 西武秩父線 も、正丸駅 - 芦ヶ久保駅 間の正丸トンネルでこの峠近傍の地下を通過している。
峠道は現在も通年通行可能であり完全舗装されているが、一部狭いところがあり、やや路面が荒れている。センターラインとキャッツアイ(夜間標識用の鋲 )が設置されている箇所もあり、狭いカーブや路面状況が著しく悪い場合、軽自動車 でもこれらをまたがないと通れない部分もある。冬期はこれに積雪等による路面凍結も加わる。東側は国道299号正丸トンネル正丸側出口(正丸駅 付近)、西側は県道53号青梅秩父線 に接続する。峠からは奥武蔵の山々を望むことができ、茶店も存在する。
峠より西の様子(2008年11月)
1980年代後半から90年代後半にかけて横瀬側が2輪のローリング族 のメッカとされ事故も多発した。現在でも横瀬側のガードレールなどには当時のローリング族の名前やステッカーが数多く残され、当時の面影が偲ばれる。漫画・アニメ作品『頭文字D Second Stage 』では、登場人物の一人である秋山渉のホームコースとして登場し、ゲーム版『頭文字D ARCADE STAGE Ver.3 』及び『頭文字D Special Stage』にも収録された。峠の茶店では同作品にちなんだステッカーが数種類販売されている。
深夜の峠道は、通年にわたりアライグマ やシカ など比較的大型の野生動物が頻繁に路上を行き来している。
なお、本峠から北東へ約1kmのところに旧正丸峠 (標高655m)があり、江戸から秩父 (大宮郷 )に至る道の一つである「吾野通り 」[ 1] [ 2] を継承する登山道が存在している。
正丸トンネル
正丸トンネル (しょうまるトンネル)は、峠付近に設けられたトンネルである。国道および鉄道 用のものが数百メートル離れた位置におおむね並行して設置されている。
国道299号
国道299号標識
1982年(昭和57年)3月に供用を開始した、全長1,918m の道路用トンネルである。トンネルの両端には、旧道へ分岐する信号つきの交差点がある。なお、横瀬側には開通記念碑がある。
冬季は路面に積雪する日もあり、気温が低い日は凍結していることがある。また、トンネルを境にして天気が大きく異なることがあり、例えば飯能側では降雨であっても、横瀬側では降雪(積雪)している場合がある。夏季は気温が比較的高く、雷雨となる場合もある。
西武鉄道西武秩父線
1969年 (昭和44年)10月14日 に供用を開始した、全長4,811mの鉄道用トンネルである。単線だが、トンネル内に複線区間が459mあり、正丸トンネル信号場 が設置されている。
1967年 (昭和42年)7月19日 に着工、1969年 (昭和44年)1月29日 に貫通(同日午後0時半より貫通式典を挙行)し[ 3] 、同年5月31日 に完成した。建設費(総工費)は約80億円であった。また、1975年 (昭和50年)11月23日 に近畿日本鉄道 大阪線 の新青山トンネル (5,652m)が開通するまでは、日本の私鉄(国鉄以外の鉄道)で最長の山岳トンネルであった(2024年現在のJR以外の鉄道での最長はハピラインふくい線 の北陸トンネル (旧・北陸本線 所属)で、全長13,870m)。
脚注
関連項目