最多盗塁 (日本プロ野球)
最多盗塁(さいたとうるい)は、日本プロ野球におけるタイトルの一つ。
盗塁王(とうるいおう)とも称する。
概要
レギュラーシーズン1年間を通じて盗塁の数が最も多い選手に与えられる賞でセントラル・リーグ、パシフィック・リーグの各リーグ毎に選出される。またNPBのシーズン表彰での打撃部門の中で、唯一打者ではなく走者に関する賞である。そのため「打撃部門」でありながら、打席に全く立たずに代走のみでも受賞可能な賞となっている。
セントラル・リーグでは、野手が取れるタイトルの中で唯一、外国人選手の受賞者がいない。
盗塁の数が最も多い選手が規定打席に到達していなくても選出対象となり、現在までに1リーグ時代に1例、セントラル・リーグで7例、パシフィック・リーグで5例(4人)ある[注 1][注 2]。また、盗塁成功率は度外視されており、盗塁成功率に差があっても数が同じならば複数人が受賞することになる[注 3][注 4]。これにより、盗塁死がリーグ最多の選手が受賞することもあり、チームに対する貢献度に比例していないとの指摘を受けることもある[1][注 5]。
歴代盗塁王獲得者
1リーグ時代
2リーグ制後
年度
|
セントラル・リーグ
|
パシフィック・リーグ
|
受賞選手
|
所属球団
|
盗塁数
|
受賞選手
|
所属球団
|
盗塁数
|
1950年 |
金山次郎(1) |
松竹ロビンス |
74 |
木塚忠助(2) |
南海ホークス |
78
|
1951年 |
土屋五郎 |
国鉄スワローズ |
52 |
木塚忠助(3) |
南海ホークス |
55
|
1952年 |
金山次郎(2) |
松竹ロビンス |
63 |
木塚忠助(4) |
南海ホークス |
55
|
1953年 |
金山次郎(3) |
広島カープ |
58 |
L.レインズ |
阪急ブレーブス |
61
|
1954年 |
吉田義男(1) |
大阪タイガース |
51 |
鈴木武 |
近鉄パールス |
71
|
1955年 |
本多逸郎 |
中日ドラゴンズ |
42 |
森下正夫 |
南海ホークス |
59
|
1956年 |
吉田義男(2) |
大阪タイガース |
50 |
河野旭輝(1) |
阪急ブレーブス |
85
|
1957年 |
飯田徳治 |
国鉄スワローズ |
40 |
河野旭輝(2) |
阪急ブレーブス |
56
|
1958年 |
岡嶋博治(1) |
中日ドラゴンズ |
47 |
R.バルボン(1) |
阪急ブレーブス |
38
|
1959年 |
岡嶋博治(2) |
中日ドラゴンズ |
41 |
R.バルボン(2) |
阪急ブレーブス |
38
|
1960年 |
中利夫 |
中日ドラゴンズ |
50 |
R.バルボン(3) |
阪急ブレーブス |
32
|
1961年 |
近藤和彦 |
大洋ホエールズ |
35 |
広瀬叔功(1) |
南海ホークス |
42
|
1962年 |
河野旭輝(3) |
中日ドラゴンズ |
26 |
広瀬叔功(2) |
南海ホークス |
50
|
1963年 |
高木守道(1) |
中日ドラゴンズ |
50 |
広瀬叔功(3) |
南海ホークス |
45
|
1964年 |
古葉竹識 |
広島カープ |
57 |
広瀬叔功(4) |
南海ホークス |
72
|
1965年 |
高木守道(2) |
中日ドラゴンズ |
44 |
広瀬叔功(5) |
南海ホークス |
39
|
1966年 |
柴田勲(1) |
読売ジャイアンツ |
46 |
山本公士 |
阪急ブレーブス |
32
|
1967年 |
柴田勲(2) |
読売ジャイアンツ |
70 |
西田孝之 |
東京オリオンズ |
32
|
1968年 |
古葉竹識 |
広島東洋カープ |
39 |
安井智規 |
近鉄バファローズ |
54
|
1969年 |
柴田勲(3) |
読売ジャイアンツ |
35 |
阪本敏三 |
阪急ブレーブス |
47
|
1970年 |
東条文博 |
ヤクルトアトムズ |
28 |
福本豊(1) |
阪急ブレーブス |
75
|
1971年 |
高田繁 |
読売ジャイアンツ |
38 |
福本豊(2) |
阪急ブレーブス |
67
|
1972年 |
柴田勲(4) |
読売ジャイアンツ |
45 |
福本豊(3) |
阪急ブレーブス |
106
|
1973年 |
高木守道(3) |
中日ドラゴンズ |
28 |
福本豊(4) |
阪急ブレーブス |
95
|
1974年 |
中塚政幸 |
大洋ホエールズ |
28 |
福本豊(5) |
阪急ブレーブス |
94
|
1975年 |
大下剛史 |
広島東洋カープ |
44 |
福本豊(6) |
阪急ブレーブス |
63
|
1976年 |
衣笠祥雄 |
広島東洋カープ |
31 |
福本豊(7) |
阪急ブレーブス |
62
|
1977年 |
柴田勲(5) |
読売ジャイアンツ |
34 |
福本豊(8) |
阪急ブレーブス |
61
|
1978年 |
柴田勲(6) |
読売ジャイアンツ |
34 |
福本豊(9) |
阪急ブレーブス |
70
|
1979年 |
高橋慶彦(1) |
広島東洋カープ |
55 |
福本豊(10) |
阪急ブレーブス |
60
|
1980年 |
高橋慶彦(2) |
広島東洋カープ |
38 |
福本豊(11) |
阪急ブレーブス |
54
|
1981年 |
青木実 |
ヤクルトスワローズ |
34 |
福本豊(12) |
阪急ブレーブス |
54
|
1982年 |
松本匡史(1) |
読売ジャイアンツ |
61 |
福本豊(13) |
阪急ブレーブス |
54
|
1983年 |
松本匡史(2) |
読売ジャイアンツ |
76 |
大石大二郎(1) |
近鉄バファローズ |
60
|
1984年 |
高木豊 |
横浜大洋ホエールズ |
56 |
大石大二郎(2) |
近鉄バファローズ |
46
|
1985年 |
高橋慶彦(3) |
広島東洋カープ |
73 |
松永浩美 |
阪急ブレーブス |
38
|
1986年 |
屋鋪要(1) |
横浜大洋ホエールズ |
48 |
西村徳文(1) |
ロッテオリオンズ |
36
|
平野謙 |
中日ドラゴンズ
|
1987年 |
屋鋪要(2) |
横浜大洋ホエールズ |
48 |
西村徳文(2) |
ロッテオリオンズ |
41
|
大石第二朗(3) |
近鉄バファローズ
|
1988年 |
屋鋪要(3) |
横浜大洋ホエールズ |
33 |
西村徳文(3) |
ロッテオリオンズ |
55
|
1989年 |
正田耕三 |
広島東洋カープ |
34 |
西村徳文(4) |
ロッテオリオンズ |
42
|
1990年 |
緒方耕一(1) |
読売ジャイアンツ |
33 |
秋山幸二 |
西武ライオンズ |
51
|
野村謙二郎(1) |
広島東洋カープ
|
1991年 |
野村謙二郎(2) |
広島東洋カープ |
31 |
大野久 |
福岡ダイエーホークス |
42
|
1992年 |
飯田哲也 |
ヤクルトスワローズ |
33 |
佐々木誠 |
福岡ダイエーホークス |
40
|
1993年 |
緒方耕一(2) |
読売ジャイアンツ |
24 |
大石大二郎(4) |
近鉄バファローズ |
31
|
石井琢朗(1) |
横浜ベイスターズ
|
1994年 |
野村謙二郎(3) |
広島東洋カープ |
37 |
佐々木誠 |
西武ライオンズ |
37
|
1995年 |
緒方孝市(1) |
広島東洋カープ |
47 |
イチロー |
オリックス・ブルーウェーブ |
49
|
1996年 |
緒方孝市(2) |
広島東洋カープ |
50 |
村松有人 |
福岡ダイエーホークス |
58
|
1997年 |
緒方孝市(3) |
広島東洋カープ |
49 |
松井稼頭央(1) |
西武ライオンズ |
62
|
1998年 |
石井琢朗(2) |
横浜ベイスターズ |
39 |
松井稼頭央(2) |
西武ライオンズ |
43
|
小坂誠(1) |
千葉ロッテマリーンズ
|
1999年 |
石井琢朗(3) |
横浜ベイスターズ |
39 |
松井稼頭央(3) |
西武ライオンズ |
32
|
2000年 |
石井琢朗(4) |
横浜ベイスターズ |
35 |
小坂誠(2) |
千葉ロッテマリーンズ |
33
|
2001年 |
赤星憲広(1) |
阪神タイガース |
39 |
井口資仁(1) |
福岡ダイエーホークス |
44
|
2002年 |
赤星憲広(2) |
阪神タイガース |
26 |
谷佳知 |
オリックス・ブルーウェーブ |
41
|
2003年 |
赤星憲広(3) |
阪神タイガース |
61 |
井口資仁(2) |
福岡ダイエーホークス |
42
|
2004年 |
赤星憲広(4) |
阪神タイガース |
64 |
川﨑宗則 |
福岡ダイエーホークス |
42
|
2005年 |
赤星憲広(5) |
阪神タイガース |
60 |
西岡剛(1) |
千葉ロッテマリーンズ |
41
|
2006年 |
青木宣親 |
東京ヤクルトスワローズ |
41 |
西岡剛(2) |
千葉ロッテマリーンズ |
33
|
2007年 |
荒木雅博 |
中日ドラゴンズ |
31 |
片岡易之(1) |
西武ライオンズ |
38
|
2008年 |
福地寿樹(1) |
東京ヤクルトスワローズ |
42 |
片岡易之(2) |
埼玉西武ライオンズ |
50
|
2009年 |
福地寿樹(2) |
東京ヤクルトスワローズ |
42 |
片岡易之(3) |
埼玉西武ライオンズ |
51
|
2010年 |
梵英心 |
広島東洋カープ |
43 |
本多雄一(1) |
福岡ソフトバンクホークス |
59
|
片岡易之(4) |
埼玉西武ライオンズ
|
2011年 |
藤村大介 |
読売ジャイアンツ |
28 |
本多雄一(2) |
福岡ソフトバンクホークス |
60
|
2012年 |
大島洋平 |
中日ドラゴンズ |
32 |
聖澤諒 |
東北楽天ゴールデンイーグルス |
54
|
2013年 |
丸佳浩 |
広島東洋カープ |
29 |
陽岱鋼 |
北海道日本ハムファイターズ |
47
|
2014年 |
梶谷隆幸 |
横浜DeNAベイスターズ |
39 |
西川遥輝(1) |
北海道日本ハムファイターズ |
43
|
2015年 |
山田哲人(1) |
東京ヤクルトスワローズ |
34 |
中島卓也 |
北海道日本ハムファイターズ |
34
|
2016年 |
山田哲人(2) |
東京ヤクルトスワローズ |
30 |
糸井嘉男 |
オリックス・バファローズ |
53
|
金子侑司(1) |
埼玉西武ライオンズ
|
2017年 |
田中広輔 |
広島東洋カープ |
35 |
西川遥輝(2) |
北海道日本ハムファイターズ |
39
|
2018年 |
山田哲人(3) |
東京ヤクルトスワローズ |
33 |
西川遥輝(3) |
北海道日本ハムファイターズ |
44
|
2019年 |
近本光司(1) |
阪神タイガース |
36 |
金子侑司(2) |
埼玉西武ライオンズ |
41
|
2020年 |
近本光司(2) |
阪神タイガース |
31 |
周東佑京(1) |
福岡ソフトバンクホークス |
50
|
2021年 |
中野拓夢 |
阪神タイガース |
30 |
源田壮亮 |
埼玉西武ライオンズ |
24
|
荻野貴司 |
千葉ロッテマリーンズ
|
和田康士朗 |
千葉ロッテマリーンズ
|
西川遥輝(4) |
北海道日本ハムファイターズ
|
2022年 |
近本光司(3) |
阪神タイガース |
30 |
髙部瑛斗 |
千葉ロッテマリーンズ |
44
|
2023年 |
近本光司(4) |
阪神タイガース |
28 |
小深田大翔 |
東北楽天ゴールデンイーグルス |
36
|
周東佑京(2) |
福岡ソフトバンクホークス
|
盗塁王に関する主な記録
複数回受賞者
選手
|
回数
|
年度
|
福本豊
|
13
|
1970, 1971, 1972, 1973, 1974, 1975, 1976, 1977, 1978, 1979, 1980, 1981, 1982
|
柴田勲
|
6
|
1966, 1967, 1969, 1972, 1977, 1978
|
広瀬叔功
|
5
|
1961, 1962, 1963, 1964, 1965
|
赤星憲広
|
5
|
2001, 2002, 2003, 2004, 2005
|
木塚忠助
|
4
|
1949, 1950, 1951, 1952
|
西村徳文
|
4
|
1986, 1987, 1988, 1989
|
大石大二郎
|
4
|
1983, 1984, 1987, 1993
|
石井琢朗
|
4
|
1993, 1998, 1999, 2000
|
片岡易之
|
4
|
2007, 2008, 2009, 2010
|
西川遥輝
|
4
|
2014, 2017, 2018, 2021
|
近本光司
|
4
|
2019, 2020, 2022, 2023
|
その他の記録
- 盗塁に関する記録
- 最年少盗塁王:山口政信(21歳2か月、1937年春) ※2リーグ制以降では吉田義男(1954年)と西岡剛(2005年)が最年少(21歳)
- 最年長盗塁王:荻野貴司(36歳0か月、2021年) ※シーズン終了月末の年齢
- 最少打席盗塁王:和田康士朗(24打席、2021年)
- 最高成功率盗塁王:山田哲人(2016年)、中野拓夢 (2021年)(9割3分8厘(30盗塁・2盗塁死)) ※1941年までは盗塁死不明
- 最低成功率盗塁王:野村謙二郎(5割8分9厘(33盗塁・23盗塁死)、1990年) ※1941年までは盗塁死不明
- 複数球団で盗塁王:金山次郎(松竹、広島)・河野旭輝(阪急、中日)・佐々木誠(ダイエー、西武)
- セ・パ両リーグで盗塁王:河野旭輝(セ・リーグで1回、パ・リーグで2回)[2]
脚注
注釈
- ^ 1リーグ時代の該当者は、
セ・リーグの該当者は、
パ・リーグの該当者は、
- ^ 特に極端な例として2021年のパ・リーグでは千葉ロッテマリーンズの和田康士朗がわずか24打席、自力での出塁は5安打、5四球のみながら代走起用を中心に24盗塁を積み上げ、本タイトルを受賞している。
- ^ 複数人受賞で盗塁成功率に1割以上差がある例を挙げると、
- 1990年セ・リーグ
- 1993年セ・リーグ
- 緒方耕一:8割2分8厘(5盗塁死)、石井琢朗:6割(16盗塁死)
- 2021年パ・リーグ
- ^ 2016年パ・リーグ盗塁王の糸井嘉男と金子侑司は盗塁成功率も一致している。
- ^ 盗塁王を5度獲得した赤星憲広は、盗塁死の数を考慮する指標を提唱している(通称:赤星式盗塁)[1]。
出典
関連項目
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1950年代 | |
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1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
|
---|
1950年代 | |
---|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
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