古川 奈穂(ふるかわ なほ、2000年9月13日 - )は、日本中央競馬会(JRA)所属の騎手。矢作芳人厩舎(栗東トレーニングセンター)所属。マネジメントは、山崎隆士(株式会社ザッキーファーム)。なお、デビュー時にはJRAに既に古川姓の騎手(古川吉洋[注 1])がいるため、「古川奈」「古川(奈)」と表記されることがある。
来歴・人物
東京都千代田区、医師の家庭に生まれる。小学6年生のときにゴールドシップが勝った2012年の有馬記念をテレビで見たのが競馬との出会いだった[3]。中学では陸上競技部に所属[3]。中高一貫の進学校である広尾学園中学校を卒業後に広尾学園高校へと進学するが、藤田菜七子の活躍する姿を見て競馬学校受験を決意した[4]。高校を中退し2017年に競馬学校騎手課程36期生として入学[5]。当時は乗馬経験がほとんどなかった[4][6]。在学中に左肩を負傷し手術を受けて留年を経験しているため、永島たち37期生と同年の卒業となった[6]。
同期には、小沢大仁、永野猛蔵、角田大和、永島まなみ、松本大輝、横山琉人、西谷凜がいる。
実習期間中から栗東トレーニングセンター・矢作芳人厩舎に所属[7]。
2021年に騎手免許を取得[8]。エージェントは同じ矢作厩舎所属の兄弟子の坂井瑠星と同じ、専門紙『優馬』(中光印刷株式会社)の栗東担当TMである細川貴之が務める。
目標騎手として、武豊と坂井瑠星を挙げている[9]。
2021年
2月9日、JRA騎手免許試験に合格[10]。永島まなみとともに藤田菜七子以来5年ぶりのJRA所属女性騎手としてデビュー。
デビュー前の3月3日、スポーツビズとマネジメント契約を締結した[11]。
3月6日の阪神競馬第1Rでデビュー。6番人気のラントに騎乗して10着だった[12]。なお、このレースでは同じくデビュー戦となった小沢大仁騎手が勝利している[13]。また、古川はこのレースでJRA史上初めて女性見習騎手の減量規定による★4kg減(50勝未満の女性騎手が対象[注 2])での出走となった。
3月13日の阪神競馬第6Rでバスラットレオンに騎乗して初勝利を挙げた[14][15]。史上初の★4kg減での勝利となった。開催3日目での初勝利は女性騎手としては牧原由貴子の6日目を抜く最速、デビュー12戦目での初勝利は西原玲奈の9戦目に続く女性騎手2位タイ[16][注 3]。
3月27日には中京競馬第6Rをモズピンポンで勝利。古川は21日にも勝利を挙げており、初勝利から3週連続での勝利は女性騎手として史上初めて[17]。また、翌28日にも中京競馬第7Rをセイモンストルで2日連続の勝利。新人女性騎手が土日に2日連続で勝利したのも史上初めてのことであった[18]。
4月3日の阪神第3Rをハイモビリティで勝利。デビュー後初勝利から4週連続で勝利を挙げたのは、福永祐一に並ぶ歴代2位タイ記録である[19][20]。
4月10日に参戦した新潟競馬には藤田菜七子と永島まなみも騎乗しており、3R・4R・9Rで女性騎手3人の同一レース騎乗が実現した。これは1998年9月13日中山第2Rの牧原由貴子・田村真来・板倉真由子の3人以来、23年ぶりの出来事となった[21]。
4月17日、新潟第7Rをクラウンデザイアーで勝利。2着に藤田のキムケンドリーム、3着に永島のモノポリーアイズが入り、JRA史上初の女性騎手によるワンツースリーとなった[22]。
4月28日、前週のレース後に左肩に違和感があったことから治療のために無期限で休養に入ることが発表された[23]。5月11日に手術を受けて成功、復帰に向けてリハビリを開始する[24][25]。
10月9日の阪神第2Rで5ヶ月ぶりに復帰。カフジペンタゴンに騎乗したが、スタート直後に隣の馬が落馬した影響を受けて古川も落馬した[26]。大きな怪我はなくその後の第8Rにも騎乗している[26]。
2022年
10月16日、新潟競馬9Rの粟島特別にてグランスラムアスクに騎乗、見習騎手の減量特典が伴わない特別競走にて初勝利を挙げた。なお、この日は3Rで今村聖奈、7Rで永島まなみがそれぞれ1着(しかも決め手が同じ逃げ切り)となり、JRA所属の女性騎手が3人以上1着を挙げる史上初のケースとなった。
2023年
4月23日、JRA史上初めて5人の女性騎手がレースに騎乗した福島7R・3歳未勝利戦でアイヲツグモノに騎乗し1着となる[27]。
5月3日、騎手控室でのスマートフォンの使用により、5月13日から6月11日まで30日間の騎乗停止となった[28]。5月15日から3週間、大井競馬の吉井章と入れ替わりで大井競馬場に滞在し、調教に騎乗した[29]。6月18日、函館7Rでバレストラに騎乗して復帰後初勝利を挙げた[30]。
2024年
4月13日、史上最多JRA女性騎手6人同時騎乗となる福島2Rでランドエースに騎乗したが結果は11着[31]。
6月15日、函館8Rで騎乗したサイモンオリーブがゲート内で暴れてくぐった際に顔面を負傷したが、診断の結果、鼻と両頬を骨折したことが判明した[32][33]。
11月4日、佐賀競馬場で行われたJBCスプリントにてバスラットレオンに騎乗し、GI級競走初出走を果たすが8着に終わる[34]。
騎乗成績
概要
|
日付
|
競馬場・開催
|
競走名
|
馬名
|
頭数
|
人気
|
着順
|
初出走
|
2021年3月6日
|
1回阪神7日1R
|
3歳未勝利
|
ラント
|
11頭
|
6
|
10着
|
初勝利
|
2021年3月13日
|
1回阪神9日6R
|
3歳1勝クラス
|
バスラットレオン
|
10頭
|
1
|
1着
|
重賞初騎乗
|
2023年7月30日
|
1回札幌4日11R
|
クイーンステークス
|
グランスラムアスク
|
14頭
|
12
|
14着
|
GI(JpnI)初騎乗
|
2024年11月4日
|
14回佐賀3日10R
|
JBCスプリント
|
バスラットレオン
|
12頭
|
8
|
8着
|
年度別成績
中央競馬
年度 |
1着 |
2着 |
3着 |
騎乗数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
表彰
|
2021年 |
7 |
10 |
4 |
123 |
.057 |
.138 |
.171 |
|
2022年
|
10
|
17
|
12
|
202
|
.050
|
.134
|
.193
|
|
2023年
|
25
|
24
|
9
|
314
|
.080
|
.156
|
.185
|
|
中央 |
42 |
51 |
25 |
639 |
.066
|
.146
|
.185
|
|
出典: JRA日本中央競馬会 騎手名鑑の過去成績より
地方競馬
年度 |
1着 |
2着 |
3着 |
騎乗数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
表彰
|
2021年 |
0 |
0 |
0 |
0 |
.000 |
.000 |
.000 |
|
2022年
|
1
|
1
|
0
|
5
|
.200
|
.400
|
.400
|
|
2023年
|
2
|
1
|
2
|
12
|
.167
|
.250
|
.417
|
|
地方 |
3 |
2 |
2 |
17 |
.176
|
.294
|
.411
|
|
出典: 地方競馬全国協会 データ情報より
エピソード
脚注
注釈
- ^ 血縁関係はない
- ^ 女性騎手に対して負担重量軽減が与えられるようになったのは2019年3月1日からであるが、当時JRA現役唯一の女性騎手だった藤田菜七子はその時点で既に50勝を超えていたために4kg減での騎乗は未経験。
- ^ 同期の永島まなみもデビュー12戦目で初勝利を挙げている。ただし、開催4日目であった。
出典
- ^ “古川 奈穂 | スポーツをチカラに。スポーツビズ”. スポーツビズ. 2023年5月15日閲覧。
- ^ a b c d “古川 奈穂(2021年 ルーキーズ) JRA”. 日本中央競馬会. 2023年5月15日閲覧。
- ^ a b “古川奈穂20歳、永島まなみ18歳が藤田菜七子以来の女性騎手デビュー “負傷で留年”にも負けない根性と“父の夢”(島田明宏)”. Number Web - ナンバー. 2021年3月5日閲覧。
- ^ a b “古川奈穂 進学校から競馬学校入学、留年乗り越えいざ「今は楽しみの方が大きい」”. www.sponichi.co.jp. スポニチ アネックス. 2021年3月5日閲覧。
- ^ “輝け騎手の卵たち!古川奈穂さんら8人がJRA競馬学校に入学”. 予想王TV@SANSPO.COM (2017年4月4日). 2021年3月5日閲覧。
- ^ a b c “「女性でもジョッキーになれるんだ」古川奈穂 藤田菜七子デビューで意識【5年ぶり女性騎手インタビュー】:中日スポーツ・東京中日スポーツ”. 中日スポーツ・東京中日スポーツ. 2021年3月5日閲覧。
- ^ “【矢作芳人調教師 信は力なり】2人目の弟子・古川奈穂”. サンスポZBAT!競馬 (2021年3月3日). 2021年3月5日閲覧。
- ^ “菜七子以来、女性騎手5年ぶり誕生 古川奈穂さん&永島まなみさん | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年3月5日閲覧。
- ^ “古川 奈穂(2021年 ルーキーズ) JRA”. www.jra.go.jp. 2021年3月5日閲覧。
- ^ “2021年度 調教師・騎手免許試験合格者 JRA”. www.jra.go.jp. 2021年3月5日閲覧。
- ^ “日本中央競馬会(JRA) 古川奈穂騎手とマネジメント契約締結のご報告”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2021年3月5日閲覧。
- ^ “新人女性ジョッキー古川奈穂は10着デビュー | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年3月6日閲覧。
- ^ “【阪神1R・3歳未勝利】ルーキー小沢大仁騎手が初騎乗初勝利!ナムラタイタン産駒もJRA初V | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年3月6日閲覧。
- ^ “女性ジョッキー古川奈穂が初勝利 緊張の矢作師「コントレイルのG1並みに疲れた」 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年3月13日閲覧。
- ^ “2年目古川奈穂、聖奈重賞Vに「すごいけど悔しい」北海道武者修行でレベルアップだ”. 日刊スポーツ (2022年7月19日). 2022年7月19日閲覧。
- ^ 古川奈穂騎手、阪神6Rバスラットレオンで初勝利!開催3日目は女性騎手最速「1着は格別」
- ^ “古川奈穂3勝目 女性騎手初の3週連続勝利 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年3月28日閲覧。
- ^ “【競馬】古川奈穂が4勝目!新人女性ジョッキーが土日に連続勝利を挙げるのは史上初の快挙:中日スポーツ・東京中日スポーツ”. 中日スポーツ・東京中日スポーツ. 2021年3月28日閲覧。
- ^ “ルーキー古川奈穂が4週連続V 阪神3Rのハイモビリティで逃げ切る | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年4月3日閲覧。
- ^ JRA史上初の女性騎手ワンツースリー!古川奈がデビュー6勝目
- ^ “JRA史上初の女性騎手ワンツー!菜七子&まなみが決めた 23年ぶり女性3騎手対決も | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年4月14日閲覧。
- ^ “【4歳以上1勝クラス】(新潟7R) 古川奈穂騎手騎乗のクラウンデザイアーが勝利してJRA史上初の女性騎手ワンツースリー | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年4月17日閲覧。
- ^ “古川奈穂騎手 今週から無期限で休養に、左肩に違和感 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年4月28日閲覧。
- ^ “左肩の違和感で休養中…古川奈穂騎手が11日に手術”. サンスポZBAT!競馬 (2021年5月6日). 2021年5月13日閲覧。
- ^ “古川奈穂騎手の手術成功 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年5月13日閲覧。
- ^ a b “新人女性古川奈穂騎手 5カ月ぶり復帰戦で落馬/阪神2R|極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2021年12月24日閲覧。
- ^ “【福島7R】史上初女性騎手5人競演 古川奈穂アイヲツグモノが制す「しっかり頑張ってくれました」 ― スポニチ競馬Web”. スポニチ競馬Web. 2024年6月15日閲覧。
- ^ 騎手控室にスマホ持ち込みネット閲覧、調整ルームで通話も JRA若手6人騎乗停止 - 日刊スポーツ 2023年5月3日
- ^ 古川奈穂騎手が大井、吉井章騎手が栗東で来週から調教騎乗 中央と地方の垣根を越えた期間限定の「トレード」が実現! - スポーツ報知 2023年5月11日
- ^ 騎乗停止明けの古川奈穂、函館で復帰後初勝利 - スポニチアネックス 2023年6月18日
- ^ 木南友輔. “福島2Rで史上最多JRA女性騎手6人同時騎乗…結果は佐々木大輔騎手が復帰後初勝利 - 競馬 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2024年6月16日閲覧。
- '^ “前日に顔面負傷の古川奈穂騎手は「鼻骨と、頬の両側を骨折」矢作調教師が説明”. UMATOKU | 馬トク - スポーツ報知 (2024-06-16JST13:44:00+0900). 2024年6月16日閲覧。
- ^ “【札幌便り】“バットウーマン”登場?顔面骨折の古川奈穂騎手が今週末復帰へ「全然問題ない」”. 日刊スポーツ (2024年7月23日). 2024年7月23日閲覧。
- ^ “【JBCスプリント】古川奈穂のG1級初騎乗 バスラットレオンは8着”. netkeiba.com. 2024年11月5日閲覧。
- ^ 新人ジョッキー古川奈穂が女性騎手最速で初勝利 福山雅治の大ファンでまさかのエールに笑顔
- ^ JRA女性騎手2人が新たに誕生 古川奈穂さん、菜七子の活躍に刺激「背中追って頑張りたい」
- ^ 【ジャパンC】コントレイルが古川奈穂を背に運動でリラックス
関連項目
外部リンク
|
---|
代表取締役:山本雅一 |
スポーツ文化人 | |
---|
現役アスリート | |
---|
チーム | |
---|
スポーツ指導者 | |
---|
旧所属 | |
---|
|