伊勢大輔(いせのたいふ / いせのおおすけ、永祚元年(989年)? - 康平3年(1060年)?)は、平安時代中期の日本の女流歌人。大中臣輔親の娘。高階成順に嫁し、康資王母・筑前乳母・源兼俊母など優れた歌人を生んだ。中古三十六歌仙、女房三十六歌仙の一人。
経歴
寛弘5年(1008年)ごろに一条天皇の中宮・上東門院藤原彰子に仕え、和泉式部・紫式部などと親交し、晩年には白河天皇の傅育の任にあたった。康平3年(1060年)までの生存が確認されている。
逸話
『百人一首』にも採られて有名な「いにしへの」の歌は、奈良から献上された八重桜を受け取る役目を、紫式部が務める予定のところ、新参女房の伊勢大輔に譲ったことがきっかけとなり、更に藤原道長の奨めで即座に詠んだ和歌が、上東門院をはじめとする人々の賞賛を受けたものである[1]。
作品
- 勅撰集
- 定数歌・歌合
名称 |
時期 |
作者名表記 |
備考
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上東門院彰子菊合 |
長元5年(1032年)10月 |
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弘徽殿女御生子歌合 |
長久2年(1041年)2月 |
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内裏歌合 |
永承4年(1049年)11月 |
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祐子内親王家歌合 |
永承5年(1050年)6月 |
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皇后宮寛子春秋歌合[* 2] |
天喜4年(1056年) |
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志賀僧正明尊の九十賀[2] |
康保3年(1060年) |
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- 私家集
百人一首
一条院御時 ならの八重桜を人の奉りけるを そのおり御前に侍けれは
そのはなをたいにて うたよめとおほせことありけれは 伊勢大輔
いにしへのならのみやこの八重桜 けふ九重ににほひぬる哉
— 『詞花和歌集』 巻第一 春
奈良の八重桜を内にもてまいりたるを うへ御覧して歌とおほせことありけれは 伊勢大輔
いにしへのならのみやこのやへさくら けふこゝのへににほひぬるかな
— 『金葉和歌集』 別巻 三奏本にありて底本になき歌
脚注
注釈
- ^ 別巻 三奏本にありて底本になき歌 として『詞花和歌集』と同じ歌を掲載している。
- ^ 『後拾遺和歌集』等では「後冷泉院の御時后の宮の歌合」と表記される。
出典
- ^ 『伊勢大輔集』
- ^ 『袋草紙』
- ^ 『詞花和歌集』 巻第一 春 00028
- ^ 『金葉和歌集』 別巻 三奏本にありて底本になき歌 00886
関連項目
ウィキクォートに
伊勢大輔に関する引用句集があります。