京都市交通局20系電車 |
---|
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/34/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E5%96%B6%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%8420%E7%B3%BBKS31%E7%B7%A8%E6%88%90_%E6%80%A5%E8%A1%8C_%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E4%BC%9A%E9%A4%A8%E8%A1%8C.jpg/280px-%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E5%96%B6%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%8420%E7%B3%BBKS31%E7%B7%A8%E6%88%90_%E6%80%A5%E8%A1%8C_%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E4%BC%9A%E9%A4%A8%E8%A1%8C.jpg) 京都市交通局20系電車 |
基本情報 |
---|
運用者 |
京都市交通局 |
---|
製造所 |
近畿車輛 |
---|
製造年 |
2021年 - |
---|
製造数 |
54両(予定) |
---|
運用開始 |
2022年(令和4年)3月26日[1][2][3] |
---|
投入先 |
京都市交通局:烏丸線 近畿日本鉄道:京都線・奈良線 |
---|
主要諸元 |
---|
編成 |
6両編成 |
---|
軸配置 |
2′2′+Bo′Bo′+Bo′Bo′+Bo′Bo′+Bo′Bo′+2′2′ |
---|
軌間 |
1,435 mm |
---|
電気方式 |
直流1,500 V(架空電車線方式) |
---|
最高運転速度 |
|
---|
起動加速度 |
3.3 km/h/s |
---|
減速度(常用) |
3.5 km/h/s |
---|
減速度(非常) |
4.0 km/h/s |
---|
編成定員 |
832人 |
---|
車両定員 |
- 先頭車:130人(座席28人)
- 中間車:143人(座席44人)
|
---|
車両重量 |
29.3 - 34.8 t |
---|
編成重量 |
- 塗油器有:194.8 t
- 塗油器無:194.6 t
|
---|
車体長 |
20,000 mm |
---|
車体幅 |
- 一般部:2,780 mm
- 車側灯間:2,820 mm
- 沓摺り部:2,786 mm
|
---|
車体高 |
- クーラきせ上面:4,040 mm
- パンタ上面:4,200 mm
|
---|
床面高さ |
- 一般部:1,140 mm
- 乗降口スロープ先端高:1,130 mm
|
---|
車体 |
アルミニウム合金製オールダブルスキン構体 |
---|
台車 |
モノリンク式ボルスタレス台車 (SS188M形〈電動台車〉・SS188T形〈付随台車〉) |
---|
主電動機 |
かご形三相誘導電動機 |
---|
主電動機出力 |
140 kW×4台/両 |
---|
駆動方式 |
平行歯車可とう継手方式 |
---|
歯車比 |
99:16 (6.19) |
---|
制御方式 |
SiCハイブリッドモジュール適用IGBT素子VVVFインバータ制御(PGセンサレス3レベルベクトル制御方式) |
---|
制御装置 |
三菱電機製 MAP-148-15V269 |
---|
保安装置 |
ATC 近鉄型ATS |
---|
備考 |
出典:交友社『鉄道ファン 2021年11月号』 |
---|
|
テンプレートを表示 |
京都市交通局20系電車(きょうとしこうつうきょく20けいでんしゃ)は、京都市交通局(京都市営地下鉄)が烏丸線向けに導入している通勤形電車である。
概要
京都市営地下鉄烏丸線を運営する京都市交通局は、烏丸線で使用している10系電車20編成のうち、開業当初から使用している9編成を対象に、2021年(令和3年)から2025年(令和7年)にかけて新型車両に置き換えることにした[4]。
新型車両により一層親しみをもってもらうため、外観及び内装デザインを京都市民や利用者の投票によって決定することになった[5]。その結果、外観は「前面の造形に曲面を多用した、より近未来的なイメージのデザイン」、内装は「華やかで雅なカラーデザイン」が選ばれた[6][注 1][注 2]。
烏丸線の車両では開業以来初となる新型車両として、2021年(令和3年)7月26日から第1編成が、竹田車両基地に搬入された[8][4]。その後、同年8月17日に関係者向けの車両見学会が竹田車両基地にて行われ[9]、同年10月17日には、京都市内在住または通勤・通学している人を対象とした車両見学会が開催された[10]。
2022年(令和4年)3月26日から烏丸線で営業運転を開始し[1][2][3]、同年4月12日から近鉄京都線への直通営業運転を開始した[11]。また、同年4月17日に初めて営業運転で近鉄奈良駅に乗り入れた[12]。
日本デザイン振興会よりバリアフリーや情報提供という点の進化において評価され、2022年度グッドデザイン賞を受賞した[13][14]。また、2023年(令和5年)には鉄道友の会より京都市交通局の車両としては史上初となるローレル賞を受賞した[15][16]。
車体
機能や保守性・製造性を満たしながら、京都らしさを兼ね備えたデザインを採用している[17][18]。無塗装のアルミニウム合金製ダブルスキン構造であり、9割以上構体の合金種別を統一(モノアロイ化)することで、廃棄時の分別の手間の軽減してリサイクル性の向上や環境負荷の低減を図っている[19][18]。側部・屋根の構体溶接箇所にレーザ・MIGハイブリッド溶接を用いることで溶接精度の向上と歪みの低減を図っている[19][18]。側部構体は国内では最大級の大型型材を採用に加え、台枠の外側まで被せる構造とすることで出来る限り溶接箇所を減らしている[19]。先頭部構体は、アルミニウム合金の骨組と外板で構成された骨皮構造を基本に、主部に削り出し材を使用することで、溶接による歪みの低減や外観の仕上がり向上を図っている[17][18]。また、前頭部に厚肉の主要部材を格子状に配置することで従来車の10系と同等以上の強固な構造を実現している[19][18]。
乗降扉はバリアフリー向上のため、従来車である10系1・2次車よりも60 mm下げ、扉下部の形状(沓摺り)をホーム側に傾斜させることでホームと車両との段差の低減を図っている[17][18]。
シルバーと緑色を基調とした10系の配色を引き継ぎつつ、前面に緩やかな丸みを施した[9]。可動式ホーム柵で隠れないように、従来は側面窓の下に配置していた交通局章と車両番号を窓の横に移動している[9]。1・6号車の外装に取り付けられた「市交通局章」は、立体的なものや浮彫状に装飾を打ち出す金属工芸の鎚起の技法を活用することで、京都ならではの地下鉄を演出している[20]。
車内
1・6号車の乗務員室直後の箇所は「おもいやりエリア」として車椅子・ベビーカー利用者のほか、大きな荷物を持つ人への配慮をしている[18][21]。中央部には西武40000系電車の10号車と同様の「立ち掛けシート」と呼ばれる、軽く腰掛けるための設備があり、その周辺は余裕をもって車椅子やベビーカーを置くことができる[21]。窓側には、子どもや車椅子の人でもつかみやすいように上下2段の横手摺の他に[21]、縦手摺を設けて車両が揺れた際に手で体を保持しやすい構造となっている[18]。中央部の「立ち掛けシート」には、ガラス張りの素材飾り付けスペースを設置しており、第1編成の1号車は西陣織、6号車は京友禅が[10][21]、第2編成の1号車は京仏具、6号車は京焼・清水焼が[22]、第3編成の1号車は京扇子、6号車は京漆器[23]、第4編成の1号車は京鹿の子絞、6号車は京表具[24]、第5編成の1号車は京銘竹・京竹工芸、6号車は京七宝の飾り付けがなされている[25]。中間車においても、各車に2箇所ずつ車椅子・ベビーカースペースを設けてバリアフリー性に優れた車両の実現を図っている[26]。
座席は側出入口間は6人掛け、車端部は4人掛け、幅460 mmの片持ち式ロングシートを採用し[27]、1人あたりの座席幅を従来車より30 mm拡大している[28]。「京都ならではの地下鉄に」を基に、一般座席は若草色、優先座席は茜色として識別し易くし[27]、菱形の花びらを集めた柄である「幸菱」で表現している[29]。また、安全性・快適性向上のためスタンションポールや大型の袖仕切を設けている[28]。
2 - 5号車に設置されているつり革の鞘には北山杉を使用し、京くみひもで飾り付けをしている[30]。
1・6号車に設置されている車号標記・事業者標記の銘板には、小さな金鎚で純金銀をはめ込む京象嵌の技法を活用し、標記銘板の四隅には、有職文様で縁起が良いとされている幸菱を施している[20]。
乗降扉のドアは、空気式の戸閉め装置とし、利用者の手荷物や衣類等が挟まれた際に引き抜きが容易に出来るように弱め制御機能を設けている[31][28]。また、各乗降扉上に京都市営地下鉄の新造車両では初めて、開閉表示灯と液晶ディスプレイが設置しており[注 3]、側面表示器と共に4カ国語表示に対応している[32][33]。また、自動放送装置は4カ国語の緊急案内放送に対応し、車両ごとに騒音レベルを検知して、騒音が大きい際は自動的に放送音圧を増大される機能を付与している[31][34]。
-
車内
-
優先席
-
おもいやりエリア
-
液晶ディスプレイ
-
運転台
編成
車両番号は、千位の数字が20系の車系を示す2、百位の数字が車種を示しており、下2桁は製造番号(編成番号)を表している[22]。将来の8両化に備えて、24XXと25XXは欠番となっている。
|
|
製造
|
営業開始日
|
形式
|
2800 |
<000< 2700 |
2600 |
2300 |
<000< 2200 |
2100
|
区分[35]
|
TC2 |
M1' |
M2' |
M2 |
M1 |
TC1
|
動輪軸[35]
|
○○ ○○
|
●● ●●
|
●● ●●
|
●● ●●
|
●● ●●
|
○○ ○○
|
|
|
車両番号
|
2831 2832 2833 2834 2835 |
2731 2732 2733 2734 2735 |
2631 2632 2633 2634 2635 |
2331 2332 2333 2334 2335 |
2231 2232 2233 2234 2235 |
2131 2132 2133 2134 2135 |
近畿車輛 |
2022年3月26日[1] 2022年6月21日[22] 2022年11月18日[23] 2023年9月27日[24] 2024年1月30日[25]
|
搭載機器[35]
|
CP Bt |
CI |
SIV Bt |
SIV |
CI |
CP Bt |
|
|
自重[36]
|
29.3 |
34.8 |
33.4 |
33.0 |
34.8 |
[※ 1]
|
定員[36]
|
130 |
143 |
143 |
143 |
143 |
130
|
- 注釈
- ^ 塗油器有:29.5 t、塗油器無:29.3 t
- 備考
- <:パンタグラフ
- CI:制御装置
- SIV:補助電源装置(静止形インバータ)
- CP:電動空気圧縮機
- Bt:蓄電池
-
2800形2831
-
2700形2731
-
2600形2631
-
2300形2331
-
2200形2231
-
2100形2131
脚注
注釈
- ^ 外観デザインは「今の地下鉄車両のイメージを継承しつつ新しさを採り入れたデザイン」「前面の造形に曲面を多用した、より近未来的なイメージのデザイン」「京都市電を思い起こさせるデザイン」 の3つ[5]。内装デザインは「華やかで雅なカラーデザイン」「ひかえめで落ち着いたカラーデザイン」「現代的でさわやかなカラーデザイン」 の3つ[5]。
- ^ なお、これらのデザイン案の原案は2017年8月31日に総合車両製作所が「高速鉄道烏丸線新造車両デザイン検討業務」を1円で受注した[7]ものである。
- ^ 近鉄線内を走行する通勤形の新造車両としても初めて車内に液晶ディスプレイを搭載する。
出典
参考文献
外部リンク