エゾキヌタソウGalium boreale L. var. kamtschaticum (Maxim.) Maxim. ex Herder - 南千島、北海道、サハリン、千島列島、カムチャツカ半島に分布し、原野に生育する。茎は直立して、高さ30-70cmになり、まばらに短毛が生える。葉は4輪生して、3本の葉脈が目立ち、先は鈍頭で、両面に短毛が散生する。花期は7-8月。花冠は白色で円錐状の花序をつける。果実には曲がった長軟毛が宿存する。絶滅危惧II類(VU)[2]。
オオバノヨツバムグラGalium kamtschaticum Steller ex Roem. et Schult. var. acutifolium H.Hara - 南千島、北海道、本州、四国、サハリン、千島列島に分布し、亜高山の針葉樹林内に生育する。茎は直立し、高さ20-40cmになり、無毛。葉は4輪生して、先は鋭尖頭または円頭凸端、縁と葉脈に毛が生え、3本の太い葉脈が目立つ。花期は6-7月。花冠は黄緑色で、茎の上部や葉腋に集散花序をつけまばらに花をつける。果実には長い鉤状毛が密生する[2]。
エゾノヨツバムグラ Galium kamtschaticum Steller ex Roem. et Schult. var. kamtschaticum - オオバノヨツバムグラの基本種。南千島、北海道、本州中北部、千島列島、サハリン、朝鮮半島、ウスリー、カムチャツカ半島、北アメリカに分布する。オオバノヨツバムグラと比べて全体が小型で、高さ10-20cmになる[2]。
ヤクシマムグラ Galium kamtschaticum Steller ex Roem. et Schult. var. minus Sugim. - エゾノヨツバムグラを基本種とする変種。屋久島固有の種で、高さ3-6cm[2]。
ヤエムグラGalium spurium L. var. echinospermon (Wallr.) Desp. - 一年草または越年草。北海道、本州、四国、九州、琉球に分布し、人家近くの荒地や藪などに生育する雑草として知られる。世界では、アジア、ヨーロッパ、アフリカに広く分布する。茎はよく分枝し、稜上には下向きの刺が生え、他の物に引っかかって、長さ60-90cmになる。葉は6-8輪生して、先は凸頭で刺状にとがり、縁と裏面中脈上に下向きの刺状毛が生える。花期は5-6月。花冠は黄緑色で、枝先や葉腋から花序を出し、1-2回分枝して小さな花をつける。果実には鉤状の刺がある[2]。
キバナカワラマツバGalium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. 北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島に分布し、日当たりのよい乾いた草地や土手などに生育する。茎は硬く、直立し、高さ30-80cmになり、やわらかい毛が生える。葉は8-10輪生して、線形で、先端に短い刺があり、やわらかい毛が生える。花期は7-8月。花冠は淡黄色で、茎先やの上部の葉腋から花枝を伸ばし、円錐状の集散花序をつけ、多数の花を密につける。果実は無毛[2]。
カワラマツバGalium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. var. asiaticum Nakai f. lacteum (Maxim.) Nakai - キバナカワラマツバの花色が白色の品種[2]。
エゾノカワラマツバ Galium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. var. trachycarpum DC. - 南千島、北海道、本州、シベリアからヨーロッパに広く分布し、花が黄色で、果実に毛が密に生えるもの[2]。
チョウセンカワラマツバ Galium verum L. subsp. asiaticum (Nakai) T.Yamaz. var. trachycarpum DC. f. album Nakai - エゾノカワラマツバの花色が白色のもの[2]。
日本における帰化種
シラホシムグラGalium aparine L. - 越年草。ヨーロッパ原産で、最初に千葉県で採集され、大阪府、兵庫県、香川県などで確認されている。茎の稜上に下向きの短い刺がある。葉は6-8輪生する。花期は4-6月。花冠は白色で小さい花をまばらにつける。果実には鉤状の刺が密生する[14]。
コメツブヤエムグラGalium divaricatum Pourr. ex Lam. - 多年草。ヨーロッパ原産で、最初に神奈川県で採集され、埼玉県、千葉県などで確認されている。やや乾燥した草地に生える。茎は基部で多数分岐し、細く、斜上または直立し、高さ5-30cm、稜上にわずかに下向きの短い刺がある。葉は6-8輪生し、縁と中脈に上向きの刺状毛がある。花期は6-7月。花冠は径0.5-1mmとちいさく、内面は黄緑色、外面は橙色を帯びる。果実には鉤はないが小突起がある[5][14]。
トゲナシムグラGalium mollugo L. - 多年草。ヨーロッパ原産で、北海道、宮城県、山形県に知られる。開けた牧草地や生垣のわきなどに生育する。茎は叢生し、長さ30-150cmになり、ふつう無毛。はじめ直立するが、後に倒伏するか、つる状になる。葉は6-8輪生し、先は鋭頭で先端は急にとがる。花期は8-9月。花冠は白色または緑白色で、花序は茎の上部に集まり、多く分枝する。果実の表面は平滑となる[5]。
トゲナシヤエムグラGalium spurium L. var. spurium - ヤエムグラの分類上の基本種。ユーラシア大陸原産で[2]、日本では北海道で知られ、その後日本各地で知られるようになった。基本種には果実に鉤状の刺が密生するが、本変種には刺がなく平滑である[15]。