パリメトロ8号線 (Ligne 8)はパリ市交通公団 (RATP) の運営するフランス ・パリ のメトロ (地下鉄 )路線の一つ。パリ市南西部のバラール駅 から、パリ市中心部のやや北よりを東西に横断し、南東部郊外のクレテイユ=プレフェクチュール駅 を経てポワント・デュ・ラック駅 に至る。
概要
8号線の西端はパリ市内にあるが、東側ではパリ市から大きく離れて隣接するヴァル=ド=マルヌ県 の県庁所在地クレテイユ にまで至っている。その距離は13号線 に次ぎメトロで2番目であるが、13号線は途中で2つに分岐しているため、1本の路線としては8号線が最長である。マルヌ川 の橋とクレテイユ市内は地上線となっている。
8号線は1913年 に開業したパリで8番目のメトロ路線であり、1898年 時点での計画にあった最後の路線である。もともとはパリ中心部と南西部を結ぶ路線だったが、1931年 のパリ植民地博覧会 を期に南東部へ延長され、さらに南東部郊外へと延伸された。なお南西部のラ・モット=ピケ=グルネル駅 から先は元々現10号線 のルートをとっていたが、1937年 にこの区間が10号線に移管され、8号線はバラールに向かうようになった。
沿線概況
8号線路線図
8号線西端のバラール駅は南西部の市境近くのブールヴァール・デ・マレショー 上のバラール広場の地下にある。ここから北東方向に進み、アンヴァリッド の北、アレクサンドル3世橋 のやや東でセーヌ川 を潜り、コンコルド広場 、オペラ広場(ガルニエ宮 前)に至る。この辺りから東に向きを変え、パリ中心部の北よりを東西に横切るグラン・ブールヴァール の地下を通る。リシュリュー=ドゥルオ駅 からレピュブリック駅 までの間は9号線 と上下2層になった複々線 となっている。レピュブリックからは南東に向きを変え、バスティーユ広場 を通り、ヴァンセンヌの森 の入口でもあるポルト・ド・シャラントンで市境を越える。
郊外に出てからも南東に進み、シャラトン=エコール駅の南東で地上に出て高速道路 A4とマルヌ川 を橋で渡る。この後再び地下に潜るが、メゾン=アルフォール=レ・ジュイオット駅の先で地上に出て、道路の中央に設けられた線路を通ってクレテイユ=プレフェクチュール駅に至る。クレテイユ市内のポワント・デュ・ラック駅が終点である。
歴史
1937年の路線付けかえ
1898年 のメトロ整備計画では、8号線(I線)はオペラからパリ南西部のオートゥイユ(現10号線 ポルト・ドートゥイユ駅)に至る路線とされていた。環状線以外でセーヌ川を2度渡ることになっていた唯一の路線である。1910年 にはバラールへの支線の建設も決まった。
オペラ〜ラ・モット=ピケ=グルネル〜ボーグルネル(現10号線シャルル・ミシェル)間は1913年 に開業し、その年の内にポルト・ドートゥイユまでの区間が完成した。
1922年に市議会は8号線をグラン・ブールヴァール経由で南西部まで延長することに決定した。1931年 にポルト・ド・シャラントンまでの区間が開業し、同年にヴァンセンヌの森 で開催されたパリ植民地博覧会 の観客を輸送した。
西側では、1937年 に8号線、10号線、14号線(現13号線 の一部)の間で線路の付けかえが行われ、8号線のラ・モット=ピケ・グルネル以西を10号線に移管し、新たに建設されたラ・モット=ピケ・グルネル〜バラール間が代わって8号線の一部となった。
1939年 には、第二次世界大戦 勃発の影響でシャン・ド・マルス駅とサン=マルタン駅が休止され、そのまま再開されることはなかった。
東部では1942年 に市境を越えてシャラントン=エコールまで延伸された後、1970年代に何度かに渡って延伸されてクレテイユ=プレフェクチュールまで達し、さらに2011年にはポワント・デュ・ラックにまで延伸された。
年表
車両
1980年 からMF77が使われている。
車両基地はパリ15区 のジャヴェル (Javel) にあり、ルールメル駅の北側から入線する。大規模な検査や改修作業は4号線 のサン・トゥアン (Saint-Ouen) 車両基地で行われる。
駅
バラール駅 (Balard)
接続路線 : トラム T3線
同名の広場の地下に位置する。到着ホーム1面1線と出発ホーム1面2線があり、駅の南に引き上げ線・留置線がある。
ルールメル駅 (Lourmel)
駅の北側で車両基地への連絡線が分岐している。バラール行が1面1線、クレテイユ行が1面2線をしているが、クレテイユ行の1線の南側は本線とつながっておらず、専ら車両基地から出庫した列車がクレテイユ方面に折り返すために用いられる。
ブシコー駅 (Boucicaut)
フェリックス・フォール駅 (Félix Faure)
コメルス駅 (Commerce)
同名の通りの地下にある。道路幅が狭いため通常の相対式ホームを設けることができず、バラール行とクレテイユ行のホームが縦にずれた変則的な配置をしている。
ラ・モット=ピケ=グルネル駅 (La Motte-Picquet - Grenelle)
接続路線 : メトロ6 、10号線
クレテイユ行は10号線オステルリッツ行と島式ホームを挟む形をしており、バラール行は10号線ブローニュ行と上下2層に重なっている。この特異な配線はかつて8号線が現10号線方面に通じていた名残である。
エコール・ミリテール駅
グラン・ブールヴァール駅
ルイイ=ディドロ駅入口
クレテイユ=プレフェクチュール駅留置線
廃駅
シャン・ド・マルス駅 (Champ de Mars)
ラ・モット=ピケ=グルネル駅とエコール・ミリテール駅の間にあった。1937年 のパリ万国博覧会 では会場となったシャン・ド・マルス広場の最寄り駅の一つだったが、第二次世界大戦 勃発に伴う営業縮小で1939年 9月2日 に休止され、そのまま再開されることはなかった。隣駅との駅間距離が短すぎたのが休止の理由である。なおRER C線 にシャン・ド・マルス=トゥール・エッフェル駅(Champ de Mars - Tour Eiffel)があるが、これは広場の反対側に位置する。
サン=マルタン駅ホーム跡
参考文献
関連項目
外部リンク