ドナ・サマー (Donna Summer 、1948年 12月31日 - 2012年 5月17日 )は、アメリカ合衆国 の歌手 、ソングライター 。マサチューセッツ州 ボストン 近郊のドーチェスター出身。グラミー賞 を5回受賞した[ 1] 。
ディスコの女王 (Queen of Disco )の異名を持つ。
経歴
Summer The Donna Summer Specialでバッド・ガールを歌ったドナ・サマー(1980年)
1968年 にミュージカル 「ヘアー 」のヨーロッパ 公演でデビュー、1971年 にファーストシングル、1974年 にファーストアルバム を発表した[ 2] 。
1970年代 にジョルジオ・モロダー のプロデュースにより、ディスコ・ミュージック の第一人者として活躍し「ディスコの女王」(Queen of Disco )と呼ばれ、一世を風靡した[ 1] 。70年代後半のディスコではシルヴェスター、ヴィレッジ・ピープルらの「ゲイ・ディスコ」が人気となっていた。アメリカのディスコの客は黒人とゲイが多かったが、ゲイの男性から特に支持されていたのが、ドナ・サマーである。他にゲイの男性を中心として、グロリア・ゲイナー 、ダイアナ・ロス 、メルバ・ムーア、ロリータ・ハロウェイ らもディスコの女王という見方をされた。彼女は、75年から80年にかけて「ホット・スタッフ 」「愛の誘惑」「アイ・フィール・ラブ」「マッカーサー・パーク 」「バッド・ガール」「ワンダラー」「ラスト・ダンス」「ヘブン・ノウズ」「オン・ザ・レイディオ」「ディム・オール・ザ・ライト」 などのヒットを放った。81年は不調だったが、その後も「ラブ・イズ・イン・コントロール」(1982)「情熱物語 」(1983)をヒットさせている。84年から88年にかけては、はっきり低迷状態となり、過去の人扱いされた。しかしサマーは「イッツ・フォー・リアル」(1989)のカム・バック・ヒットを放つことができた。
1980年 にデヴィッド・ゲフィン 率いるゲフィン・レコード へ古巣のカサブランカ・レコード から移籍。その後、彼女が「AIDS はゲイ に対する天罰 である」と発言したとされ、ゲイ のファンも多かった[ 3] ために反感を買った[ 4] [ 5] 。1980年代中盤の間、サマーの広報はデマについての否定声明を数回に渡って出し、レコード業界とゲイ・コミュニティの一部が彼女を支え続けた。サマー自身はこの件について沈黙を続け、彼女が直接言及するのは数年後のことだった。1989年に雑誌アドボケート のインタビューに答え、自分のキャリアはオープンゲイの多くのスタッフと共に築いてきたし、ゲイを理由に彼らを批難したことは一度も無いと述べ、「私は性的指向で人を見たりしない。ゲイかストレートかで人を判断したりしない。私の愛は人としての思いやりから成っている。」と述べた。またハフィントン・ポストの記事においても、サマーがアンチ・ゲイとのレッテルを拒否したことが明らかになっている[ 6] 。
Washington DCのコンベンション・センターでのドナ(1985年)
1990年代 から2000年代 にかけては目立ったヒット曲はないが、元祖ディスコクイーンたる由縁か、ビルボード のダンスまたはクラブ・チャートにおいてトップ10入りする常連であった。1992年にはハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム の星を獲得した[ 7] 。
2008年 5月に9年ぶり(オリジナルアルバムとしては17年ぶり)となる『Crayons』を発表、ここからのシングル3曲「I'm a Fire」「Stamp Your Feet」「Fame (The Game)」そして「To Paris With Love」が2008年から2010年 にかけて4曲連続でビルボードのダンス・チャートで1位を記録。「To Paris With Love」は、彼女にとってビルボードの各シングル・チャートにおける通算22曲目の1位となった。
2012年 5月17日 朝、フロリダ州 ネイプルズ で、肺がん のため死去。享年63歳。
なお、彼女は喫煙者ではなかった。
2013年 に、ロックの殿堂 入りを果たした。授賞式ではケリー・ローランド がプレゼンターを務め、彼女の家族が受賞し、ジェニファー・ハドソン が「バッド・ガール」「ラスト・ダンス」のカバー を披露した。
なお、サマーは有名になる前、約8年間ドイツ を中心にヨーロッパで歌手活動をしていたため、ドイツ語が堪能であった。
1991年 に来日公演した時に彼女の髪が金髪だったのは、その年にリリースされたアルバム"Mistaken Identity"のジャケット撮影の直後にその公演が行われたため(そのアルバムのジャケットで彼女は“人違い”の意のタイトルに因んで金髪であった)。よってあの金髪は かつら ではなく、染めた地毛であった。
サマーのフォロワー
カバー曲など
ディスコグラフィ
アルバム
Lady of the Night (1974年 日本未発売)-インディーズアルバム
Love to Love You Baby 愛の誘惑(1975年 )-メジャーアルバム第1弾
A Love Trilogy ラブ・トリロジー(1976年 )-メジャーアルバム第2弾
Four Seasons of Love フォー・シーズンズ・オブ・ラブ(1976年)-メジャーアルバム第3弾
I Remember Yesterday アイ・リメンバー・イエスタデイ(1977年 )-メジャーアルバム第4弾
Once Upon a Time ワンス・アポン・ア・タイム(1977年)-メジャーアルバム第5弾
Live and More ライブ・アンド・モア(1978年 )-メジャーアルバム第6弾(発売当時LP2枚組の1面〜3面が、1st〜5thからの楽曲のライヴ録音。4面がリチャード・ハリス のカヴァー曲「マッカーサーパーク組曲 」という構成が、アルバムタイトルの所以。)
Bad Girls 華麗なる誘惑 (1979年 )-メジャーアルバム第7弾
On the Radio オン・ザ・レイディオ (1979年 )-ベストアルバム第1弾:全16曲入り-メジャーアルバム第8弾
The Wanderer ワンダラー(1980年 )-メジャーアルバム第9弾。ゲフィン・レコード 移籍第1作
Donna Summer 恋の魔法使い(1982年 )-メジャーアルバム第10弾。彼女の名前が冠した記念すべきアルバム。
She Works Hard for the Money 情熱物語 (1983年 )-メジャーアルバム第11弾
Cats Without Claws キャッツ・ウィズアウト・クロウズ(1984年 )-メジャーアルバム第12弾
All Systems Go オール・システムズ・ゴー(1987年 )-メジャーアルバム第13弾
Another Place and Time アナザー・プレイス・アンド・タイム(1989年 )-メジャーアルバム第14弾
Mistaken Identity ミステイクン・アイデンティティー(1991年 )-メジャーアルバム第15弾
Christmas Spirit クリスマス・スピリット(1994年 )-メジャーアルバム第16弾。クリスマスの名曲が色んなジャンルによってカヴァーされた。
I'm a Rainbow アイム・ア・レインボー(1996年 、しかしレコーディングは1981年 )-メジャーアルバム第17弾。度重なる延期の末、発売されたアルバム。
Live & More... Encore! ライブ&モア・アンコール!(1999年 )-メジャーアルバム第18弾。(VH1 )のライヴのハイライトの中から選りすぐりのナンバーをセレクト。
Crayons クレヨン(2008年 )-メジャーアルバム第19弾。ドナ・サマーにとって最期のアルバム。エレクトロニック・ダンス・ミュージック 系や色々なジャンルか詰まったダンスミュージックの見本的アルバム。
Love To Love You Donna (2013年 )-メジャーアルバム第20弾。最近流行りのエレクトロニック・ダンス・ミュージック サウンド全開のリミックス・ミニアルバム。アフロジャック をはじめとするエレクトロニック・ダンス・ミュージック サウンドを代表する様々なリミックス・アーティストが集結。
シングル
(日本盤シングルとしてリリースされた曲に限り邦題を「」内に表記。)
The Hostage 「恐怖の脅迫電話 」(1974年 ) (ただし当時はドンナ ・サマーとして)
Lady of the Night (1974年 ) (欧州のみリリース)
Love to Love You Baby 「愛の誘惑」(1975年 )、ヒット曲
Could It Be Magic 「恋はマジック」(1976年 )
Try Me I Know We Can Make It 「愛のたわむれ」(1976年 )
Spring Affair 「スプリング・アフェアー」(1976年 )
Can't We Just Sit Down (And Talk It Over) 「貴方のひざで」(1977年 )
I Remember Yesterday 「アイ・リメンバー・イエスタデイ」(1977年 )
Love's Unkind (1977年 ) (欧州のみリリース。)
I Feel Love 「アイ・フィール・ラブ」 (1977年 ) (日本では「貴方のひざで」のB面としてリリース)、ヒット曲
Rumour Has It (1977年 ) (日本では「ワンス・アポン・ア・タイム」のB面としてリリース)
Once Upon a Time 「ワンス・アポン・ア・タイム」(1977年 )
I Love You 「アイ・ラブ・ユー」(1977年 )
Down Deep Inside (Theme from "The Deep") 「ザ・ディープのテーマ」(1978年 )
Last Dance 「ラスト・ダンス」(1978年 )
MacArthur Park 「マッカーサー・パーク 」(1978年 )
Heaven Knows 「ヘブン・ノウズ」(1978年 )
Hot Stuff 「ホット・スタッフ 」(1979年 )
Bad Girls 「バッド・ガールズ」(1979年 )
Dim All the Lights 「ディム・オール・ザ・ライツ」(1979年 )
Sunset People 「サンセット・ピープル」(1979年 ) (欧州・日本のみリリース)
No More Tears (Enough Is Enough) 「ノー・モア・ティアーズ」(1979年 )
On the Radio 「オン・ザ・レイディオ」(1979年 )
Walk Away 「ウォーク・アウェイ」(1980年 )
The Wanderer 「ワンダラー」(1980年 )
Cold Love 「コールド・ラブ」(1980年 )
Looking' Up 「ルッキング・アップ」(1980年 ) (日本のみリリース。)
Who Do You Think You're Foolin' (1980年 ) (日本では「ルッキング・アップ」のB面としてリリース)
Love is in Control 「恋の魔法使い」(1982年 )
State of Independence 「ステイト・オブ・インデペンデンス」(1982年 )
Protection 「プロテクション」(1982年 ) (日本・欧州でリリース)
The Woman in Me (1982年 ) (日本未発売)
She Works Hard for the Money 「情熱物語 」(1983年 )
Unconditional Love 「アンコンディショナル・ラブ」(1983年 )
Love Has a Mind of its Own 「愛を心に」(1983年 )
There Goes My Baby 「ゼア・ゴーズ・マイ・ベイビー」(1984年 )
Supernatural Love 「スーパーナチュラル・ラブ」(1984年 )
Eyes (1984年 ) (欧州のみリリース)
Dinner With Gershwin 「ディナー・ウィズ・ガーシュウィン」(1987年 )
All Systems Go (1987年 ) (欧州のみリリース)
Only the Fool Survives 「オンリー・ザ・フール」(1987年 )
This Time I Know It's for Real 「イッツ・フォー・リアル 」(1989年 )
I Don't Wanna Get Hurt 「アイ・ドント・ウォナ・ゲット・ハート」(1989年 ) (米国未発売)
Love's About to Change My Heart 「チェンジ・マイ・ハート」(1989年 )
When Love Takes Over You (1989年 ) (欧州のみリリース)
Breakaway (1990年 ) (日本未発売)
When Love Cries 「ホエン・ラブ・クライズ」(1991年 )
Work That Magic 「ワーク・ザット・マジック」(1991年 )
Carry on (1992年 ) (日本未発売)
La Vie en rose (1993年 ) (欧州のみリリース)
Melody of Love (Wanna Be Loved) 「メロディ・オブ・ラヴ 」(1994年 )
Whenever There is Love (1997年 ) (日本未発売)
I Will Go With You 「アイ・ウィル・ゴー・ウィズ・ユー」(1999年 )
Love is the Healer (1999年 ) (日本未発売)
The Power of One (Theme from "Pokémon 2000") (2000年 ) (日本未発売)
You're So Beautiful (2003年 ) (日本未発売)
I Will Live for Love (2003年 ) (日本未発売)
I Got Your Love (2005年 ) (日本未発売)
I'm a Fire (2008年 )
Stamp Your Feet (2008年 )
Sand on My Feet (2008年 )
Fame (The Game) (2008年 )
To Paris With Love (2010年 )
日本公演
6月19日 日本武道館 、21日,22日 大阪 フェスティバルホール
12月11日新潟県民会館 、12月12日横浜スペシャル・イベントサイト
12月14日福岡サンパレス 、12月16日名古屋市公会堂
12月18日大阪厚生年金会館 、12月19日,20日NHKホール (東京 )
12月21日新高輪プリンスホテル 「飛天の間」(ディナー・ショー)(東京 )
1991年 American Music Awards in Yokohama Arena
3月23日 横浜アリーナ
12月14日,15日 六本木 ヴェルファーレ 、16日 大宮ソニックシティ 、19日 神奈川県民ホール
なお、大宮ソニックシティでの公演は5曲ほどで中止になった。これは前日までの六本木ヴェルファーレ公演で喉を潰してしまったためで、次の神奈川県民ホールでのコンサートのチケットとの引き換えか、全額返金という形で対処された。
脚注
関連項目
外部リンク
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