「ジギー・スターダスト」(Ziggy Stardust)は、デヴィッド・ボウイが1972年のコンセプト・アルバム『ジギー・スターダスト』のために作詞・作曲・レコーディングをした歌である。「屈折する星くず」としても知られる。
2010年、この歌は『ローリング・ストーン』誌の「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」において282位に選出された。またこの歌はロックの殿堂「The Songs That Shaped Rock and Roll」(ロックン・ロールを形成した500曲)に選出されている4曲のボウイの歌のうちの1曲である[* 1]。 1971年2月にレコーディングされたこの歌のオリジナル・デモ・バージョンは、1990年にライコディスクがリリースしたCD『ジギー・スターダスト』でボーナス・トラックとして発表された[3]。このデモはまた2002年に『Ziggy Stardust - 30th Anniversary Reissue』のボーナス・ディスクに収録された。この歌のアルバム・バージョンは1971年11月にレコーディングされた[4][5]。
この歌はボウイにとってのもう一人の自分である「ジギー・スターダスト」という地球外生命体に属する使者として活動するロックスターを描写する[6]。
このキャラクターは英国のロックンロール歌手ビンス・テイラー(Vince Taylor)から着想を得たものであり、テイラーが精神不安定になり自分を神と異星人の中間物であると信じ込んだ後にデヴィッド・ボウイは彼と出会った[7][8]。しかしまた、このキャラクターの設計にとってテイラーは部分的な存在でしかない[9]。
他に影響したものは、レジェンダリー・スターダスト・カウボーイ(Legendary Stardust Cowboy)や[10]、ボウイがツアー中に着た衣装をデザインした山本寛斎らである[11]。ジギー・スターダストの名は部分的にレジェンダリー・スターダスト・カウボーイに由来し、また部分的に、ボウイが『ローリング・ストーン』誌に語るところによると、ジギーは「one of the few Christian names I could find beginning with the letter 'Z'」(私が見つけることができた'Z'の文字で始まる数少ないキリスト教徒の名の1つ)ということである[12]。
彼は後に『Q』誌に対して1990年のインタビューで説明したところでは、ジギーの部分は「Ziggy's」と呼ばれる服屋に由来し、ある時彼はその店を電車で通り過ぎて、彼がそれを好んだというのも「It had that Iggy [Pop] connotation but it was a tailor's shop, and I thought, Well, this whole thing is gonna be about clothes, so it was my own little joke calling him Ziggy. So Ziggy Stardust was a real compilation of things」(あのイギー[* 2]が暗示されつつもそれは服屋で、私が考えたのは、何と言いますか、この全てのことが服の物語になってしまうわけで、だからそれは私自身のささやかな冗談で彼をジギーと呼んでいたのです。つまりジギー・スターダストは実に様々な物事の集積であったのです)ということである[13][14]。
最初期のカバー・バージョンの1つは、オーストラリアのバンドFoxが1974年に発表したカバーである[22]。
ニーナ・ハーゲンは、1980年に英国のテレビ番組『The Old Grey Whistle Test』等でカバーを歌った[23]。
1982年、バウハウスによるカバー・シングルは同バンドにとって最大級のヒットとなり[* 3]、カバー・テイクの歌を『トップ・オブ・ザ・ポップス』で演奏した[24]。バウハウスのカバー・テイクはMick Calvert監督によるミュージック・ビデオが制作された。バウハウス解散後、ピーター・マーフィーがソロでカバーしたバージョンがマーフィーのDVD『Mr. Moonlight Tour: 35 Years Of Bauhaus』(2014年)に収録された[25]。
デフ・レパードはアコースティック・バージョンでカバーし[26]、1996年、シングル「Slang」B面にアコースティックのライブ・バージョンが収録された。その他、米国のバンドAndrew Jackson Jihad[27]、米国のバンドMargot & the Nuclear So and So's[* 4]、ウェールズのサイケバンドSendelica[30]、元ジャミロクワイのニック・ファイフらによるバンドThe Temperance Movement[31]などがカバーを発表した。
英国からはるか遠く、この歌の中で言及される日本にまでボウイの音楽は影響を及ぼし、X JAPANのhide[* 5]、ROLLY[* 6]、THE YELLOW MONKEY[* 7]などの著名なアーティストがカバーを発表している。