ゴータ市電 (ゴータしでん、ドイツ語 : Straßenbahn Gotha )は、ドイツ ・テューリンゲン州 の都市・ゴータ と近隣都市のバート・タバルツ (ドイツ語版 ) に路線網を有する路面電車 。19世紀末に開通した長い歴史を持つ路線で、2022年 現在はテューリンガー・ヴァルト鉄道・ゴータ路面電車有限会社(Thüringerwaldbahn und Straßenbahn Gotha GmbH、TWSB)によって運営されている[ 3] [ 4] [ 5] 。
歴史
ゴータ市内に軌道交通を導入する計画は19世紀後半から始まり、1893年 に当時のザクセン=コーブルク=ゴータ公国 は当時最新鋭の交通機関である路面電車 を導入する事を決定した。同年からベルリンの企業によって建設が進められ、1894年 5月2日 に開通式が行われた後、翌5月3日 から最初の路線となる全長2.7 kmの営業運転が始まった。当初この路面電車はフランクフルト・アム・マイン に本社を置く企業によって運営されており、以降は同企業が立ち上げた計画に沿って延伸が行われた[ 3] [ 4] 。
一方、1911年 にはドイツの電機メーカーであるAEG とゴータ公国との間で、ゴータ市内からテューリンゲンの森 を経由し、タバルツ (ドイツ語版 ) (現在:バート・タバルツ)へ向かう都市間路線「テューリンガー・ヴァルト鉄道 (ドイツ語版 ) 」を建設する契約が結ばれた。この計画に伴い、AEGは子会社であるトゥーリンガー・ゴータ電力供給会社(Thüringer Elektrizitäts-Lieferungsgesellschaft Gotha、ThELG)を立ち上げ、1912年 にはゴータ市内の路線を運営していたフランクフルトの企業を買収した。その後、テューリンガー・ヴァルト鉄道は1914年 から建設が始まったが、第一次世界大戦 や戦後のインフレーション の影響で工事は長期間にわたって中断し、開通したのは1929年 7月17日 となった。この戦争の影響はゴータ市内の路線にもおよび、一部区間が当局の命令により廃止に追い込まれている[ 3] [ 4] [ 6] 。
その後はトゥーリンガー・ヴァルト鉄道の路線を含めて多くの乗客が利用する事となったが、第二次世界大戦 中の空襲 により路面電車は甚大な被害を受け、運行停止を余儀なくされた。全線が復旧したのは戦後の1950年 である。その間の1948年 、路面電車路線の運営権は東ドイツ の国営会社(人民公社 、VEB)であるゴータ資源供給人民公社(VEB Energieversorgung Gotha)に移管され、1951年 にテューリンガー・ヴァルト鉄道・ゴータ路面電車人民公社(VEB (K) Thüringerwaldbahn und Straßenbahn Gotha)として独立している[ 3] [ 4] 。
車両については、1950年代以降東ドイツの国営企業で生産された車両が継続的に導入された。特に1950年代後半からは地元・ゴータの鉄道車両メーカーであったゴータ車両製造公社 が開発・製造した車両が多数導入され、1960年代後半には連接車 も登場したが、経済相互援助会議 (コメコン)の意向によってゴータ車両製造人民公社による車両製造が終了したため、その後はチェコスロバキア のČKDタトラ が製造した車両の導入が行われた[ 3] [ 4] [ 7] 。
ゴータ車両製造製の
3車体連接車 ・G4-65(
1991年 撮影)
ČKDタトラ製の2車体連接車・KT4D(市内系統用、
1991年 撮影)
ČKDタトラ製の2車体連接車・KT4D(テューリンガー・ヴァルト鉄道用、
1991年 撮影)
1980年以降、運営事業者は幾度かの変遷を経て、東ドイツの民主化やドイツ再統一 の動きを受けて1991年 以降現在のテューリンガー・ヴァルト鉄道・ゴータ路面電車有限会社(Thüringerwaldbahn und Straßenbahn Gotha GmbH)となっている。それ以降、線路や駅舎、車庫といった施設の近代化が継続して行われており、2002年 3月23日 には郊外のズントハウゼン地区(Sundhausen)の病院へ向かう路線が開通している[ 3] [ 4] 。
一方、車両の増備については1991年 以降他都市の路面電車からの譲受によって賄われており、マンハイム (マンハイム市電 (ドイツ語版 ) )、ボーフム (ボーフム市電 )、エアフルト (エアフルト市電 )に加え、スイス のバーゼル (バーゼルラント交通 (ドイツ語版 ) )の車両が導入されている。これに伴い、東ドイツ時代から長年にわたり使用されていた2軸車 は1990年代までに営業運転を終了している[ 3] [ 4] 。
マンハイム市電からの譲渡車両・GT6(片運転台)(
1991年 撮影)
ボーフム市電からの譲渡車両・GT6(両運転台)(
2004年 撮影)
運用
2022年 現在、ゴータ市電は以下の系統で運行している。テューリンガー・ヴァルト鉄道・ゴータ路面電車有限会社は中央テューリンゲン運輸協会 (ドイツ語版 ) (Verkehrsverbund Mittelthüringen、VMT)に所属しており、同運輸協会に属する他の事業者の交通機関(鉄道 、路面電車 、路線バス など)と乗車券を共有する事が可能である[ 3] [ 1] [ 8] 。
系統番号
起点
終点
備考
1
Hauptbahnhof
Kreiskrankenhaus
2
Hauptbahnhof
Ostbahnhof
3
Wagenhalle
Ostbahnhof
Ostbahnhof方面は早朝に数本、Wagenhalle方面は深夜に数本のみ運行
4
Hauptbahnhof
Bad Tabarz
テューリンガー・ヴァルト鉄道(本線)
6
Gleisdreieck
Waltershausen Bahnhof
テューリンガー・ヴァルト鉄道(支線)
Waltershausen Gleisdreieck電停(
2017年 撮影)
車両
ゴータ市電の車庫(2021年 撮影)
2022年 現在、ゴータ市電には以下の車両が在籍する。テューリンガー・ヴァルト鉄道・ゴータ路面電車有限会社は営業用車両に加え、2軸車 を始めとした動態保存車両も多数所有している[ 3] [ 9] [ 10] 。
現有車両
導入予定の車両
テューリンガー・ヴァルト鉄道・ゴータ路面電車有限会社は長年使用されていたKT4Dの置き換え用として、4両+オプション6両分の超低床電車 の導入を検討しており、2023年 10月 に入札を実施し、その結果を受けて2025年 を目標に営業運転に投入する計画を組んでいる。これらの車両は、1980年代初頭に導入されたKT4D以来40年以上ぶりとなる新造車両となる予定である[ 15] 。
塗装
塗装について、東ドイツ時代はベージュ に赤色 の細い帯を基本としていたが、後に市内系統用車両には上半分が白、下半分が黄色 に、テューリンガー・ヴァルト鉄道用車両には上半分が白、下半分が青色 という塗装も用いられた。テューリンガー・ヴァルト鉄道・ゴータ路面電車有限会社発足後はこれらの塗装を組み合わせ、黄色と青を基調としたデザインが使われている[ 注釈 2] [ 4] [ 13] 。
ベージュに赤帯の塗装を纏った
2軸車 (
1989年 撮影)
上半分が白、下半分が黄色の市内線用車両(
1989年 撮影)
上半分が白、下半分が青のトゥーリンガー・ヴァルト鉄道用車両(
1989年 撮影)
脚注
注釈
^ 譲受当初は2020年 の運行開始を予定していたが、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響でスケジュールに遅れが生じた。
^ ただしBe 4/8は黄色と青の配色が他の形式と逆になっている。
出典
外部リンク
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