コウユウは日本の競走馬、繁殖牝馬。1968年の桜花賞に優勝した。日本最大の競走馬生産組織・社台グループを創業した吉田善哉の生産馬として最初の八大競走優勝馬である。主戦騎手の清水出美が全戦で騎乗した。
半妹に中日新聞杯の勝利馬シャダイセンター(父ラヴァンダン)、全妹に南関東公営競馬で重賞3勝を挙げたゴールデンスネップがいる。
※馬齢は2000年以前に使用された旧表記(数え年)で統一して記述する。
1965年、北海道白老町の社台ファーム白老に生まれる。同場は1958年に開設、父ガーサント、母ゴールデンフィズは、ともにその発展に貢献することを期待されて1961年にアイルランドから輸入された馬であり、父は当時すでに優駿牝馬(オークス)優勝馬ヒロヨシを出すなど活躍していた。
本馬は母に似た尾花栗毛の華やかな容姿を持っていたが、性格は父に似て非常に悍が強かった。2歳時に社台ファーム千葉に送られて育成調教が積まれた後、競走年齢の3歳に達した1967年、中京競馬場所属の星川泉士厩舎に入った。競走名は最初「キョウエイフジ」と登録されたが、デビュー前に「コウユウ」に改められた。厩舎でもその気性の激しさから、癖馬として恐れられたという。
同年9月24日、阪神開催の新馬戦でデビュー。当時の星川厩舎の主戦騎手は宇田明彦だったが、本馬については気性の問題による相性が考慮され、鞍上には星川厩舎の若手騎手・清水出美が据えられた。当日は1番人気の支持を受け、2着に大差を付けて初勝利を挙げた。続くデイリー杯3歳ステークスでは中団待機から最後の直線入り口で先頭に立ち、2馬身差で優勝、重賞初勝利を挙げた。競走後、翌年春のクラシック初戦・桜花賞に備えて休養に入り、当年のシーズンを終えた。
翌年2月のオープン戦で復帰、当日は関西の3歳王者マーチス(デイリー杯でスタート直後落馬競走中止)に次ぐ2番人気に推された。しかしスタートで出遅れ、さらに道中では騎手との折り合いを欠いてオーバーペースとなった。最後の直線では失速し、マーチスの7着と初の敗戦を喫した。次走のきさらぎ賞ではマーチスとタニノハローモアに次ぐ3着、続くオープン戦ではダートコースを後方から追い込んでの僅差2着と調子を上げ、桜花賞への前哨戦・阪神4歳牝馬特別では2番人気となった。しかし先行策から直線で伸びず8着と敗れた。
4月14日に迎えた桜花賞では、阪神1600mのコース形態上不利とされていた大外枠(24番)からの発走となり、6番人気と評価を落とした。スタートが切られると、道中では大外を周りながら先行3番手を進み、最後の直線入り口で先頭に並び掛けた。直線では上がってきたマルシゲ、ニットウヤヨイとの競り合いとなったが、ゴールまで先頭のまま凌ぎ切り、ニットウヤヨイにアタマ差での優勝を果たした。騎手の清水はこれが騎手生活唯一の八大競走制覇、この数日前に星川厩舎は火災に見舞われており、僚馬の数頭が失われた最中での勝利となった。桜花賞史上、24番枠からの優勝は最外枠の記録である。
続いては牝馬クラシック二冠が懸かる優駿牝馬(オークス)を目標に関東入りし、その前哨戦として中山競馬場の特別戦に出走した。しかしこの競走で3着と敗れ、さらに競走後に管骨を傷めていたことが判明してオークスを断念、休養を余儀なくされた。
翌1969年4月にオープン戦で復帰するも6着と敗れると同時に、再度脚を痛めて休養。11月の復帰戦では14頭立ての最下位と惨敗を喫した。しかし年明け2戦目に出走した条件特別戦で、桜花賞以来約1年10カ月ぶりの勝利を挙げると、以後条件戦と重賞を転戦しながら秋までさらに3勝を加えた。しかし9月に出走した函館記念で3着となった後、三度目の故障を発生し、これを最後に競走馬を引退した。
引退後は北海道浦河町の谷川牧場で繁殖牝馬となった(一時期北海道大学農学部付属牧場にいたこともある)が、全姉のミストウキョウは福島記念の勝ち馬オカザキジヨウを、曾孫に4歳牝馬特別の勝ち馬コクサイリーベを送り出し、半妹シャダイセンターも孫の代に東京ダービー馬ミルコウジを出した一方で、本馬の産駒や子孫に目立った活躍馬は現れず、曾孫の代でその血は絶えている。1986年5月10日に死亡、22歳(現表記21歳)だった。
祖母の妹にアメリカで大成功した名繁殖牝馬Dangerous Dameがおり、その子孫にはBroad Brush、Exceller・Baldski・Capote兄弟らがいる。
第1回 ソールレデイ
第2回 タイレイ / 第3回 ブランドソール / 第4回 バンナーゴール / 第5回 ミスセフト / 第6回 ヤマイワイ / 第7回 ブラウニー / 第8回 ハマカゼ / 第9回 ヤシマドオター
第10回 トサミツル / 第11回 ツキカワ / 第12回 スウヰイスー / 第13回 カンセイ / 第14回 ヤマイチ / 第15回 ヤシマベル / 第16回 ミスリラ / 第17回 ミスオンワード / 第18回 ホウシユウクイン / 第19回 キヨタケ
第20回 トキノキロク / 第21回 スギヒメ / 第22回 ケンホウ / 第23回 ミスマサコ / 第24回 カネケヤキ / 第25回 ハツユキ / 第26回 ワカクモ / 第27回 シーエース / 第28回 コウユウ / 第29回 ヒデコトブキ
第30回 タマミ / 第31回 ナスノカオリ / 第32回 アチーブスター / 第33回 ニットウチドリ / 第34回 タカエノカオリ / 第35回 テスコガビー / 第36回 テイタニヤ / 第37回 インターグロリア / 第38回 オヤマテスコ / 第39回 ホースメンテスコ
第40回 ハギノトップレディ / 第41回 ブロケード / 第42回 リーゼングロス / 第43回 シャダイソフィア / 第44回 ダイアナソロン / 第45回 エルプス / 第46回 メジロラモーヌ / 第47回 マックスビューティ / 第48回 アラホウトク / 第49回 シャダイカグラ
第50回 アグネスフローラ / 第51回 シスタートウショウ / 第52回 ニシノフラワー / 第53回 ベガ / 第54回 オグリローマン / 第55回 ワンダーパヒューム / 第56回 ファイトガリバー / 第57回 キョウエイマーチ / 第58回 ファレノプシス / 第59回 プリモディーネ
第60回 チアズグレイス / 第61回 テイエムオーシャン / 第62回 アローキャリー / 第63回 スティルインラブ / 第64回 ダンスインザムード / 第65回 ラインクラフト / 第66回 キストゥヘヴン / 第67回 ダイワスカーレット / 第68回 レジネッタ / 第69回 ブエナビスタ
第70回 アパパネ / 第71回 マルセリーナ / 第72回 ジェンティルドンナ / 第73回 アユサン / 第74回 ハープスター / 第75回 レッツゴードンキ / 第76回 ジュエラー / 第77回 レーヌミノル / 第78回 アーモンドアイ / 第79回 グランアレグリア
第80回 デアリングタクト / 第81回 ソダシ / 第82回 スターズオンアース / 第83回 リバティアイランド / 第84回 ステレンボッシュ / 第85回 エンブロイダリー