グリーゼ367

グリーゼ367
Gliese 367
仮符号・別名 Añañuca
星座 ほ座
見かけの等級 (mv) 9.979
分類 赤色矮星
軌道要素と性質
惑星の数 3
位置
元期:J2000
赤経 (RA, α)  09h 44m 29.8367s[1]
赤緯 (Dec, δ) −45° 46′ 35.4256″[1]
視線速度 (Rv) 46.96±0.37 km/s[2]
固有運動 (μ) 赤経: -462.621±0.014 ミリ秒/[2]
赤緯: -582.667±0.015 ミリ秒/年[2]
年周視差 (π) 106.1727 ± 0.0141ミリ秒[2]
(誤差0%)
距離 30.719 ± 0.004 光年[注 1]
(9.419 ± 0.001 パーセク[注 1]
物理的性質
半径 0.457±0.013 R[3]
質量 0.454±0.011 M[3]
表面重力 4.777±0.026 cgs[3]
自転速度 0.48±0.02 km/s[3]
自転周期 48±2 [3]
スペクトル分類 M1[3]
光度 0.0288±0.0027 L[3]
表面温度 3522±70 K[3]
金属量[Fe/H] -0.01±0.12[3]
年齢 80+38
−46
億年[3]
他のカタログでの名称
CD-45 5378, HIP 47780, 2MASS J09442986-4546351, TOI-731, TYC 8168-2031-1, Gaia DR2 5412250540681250560[1]
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グリーゼ367(GJ 367)とは、地球からほ座の方向に約31光年 (9.5 pc)離れた場所に位置する赤色矮星である。振幅が0.012等級、周期が5.16年の変光星である可能性がある[4]2015年に行われた恒星の観測では、グリーゼ367の恒星の伴星を発見できなかった[5]

惑星系

グリーゼ367の惑星[6]
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b (Tahay) 0.633±0.050 M 0.00709±0.00027 0.3219225±0.0000002 0.06+0.07
−0.04
79.89+0.87
−0.85
°
0.699±0.024 R
c ≥4.13±0.36 M 11.5301±0.0078 0.09±0.07
d ≥6.03±0.49 M 34.369±0.073 0.14±0.09

グリーゼ367は、2019年2月から3月にTESSによって観測され、TESS object of interestとして指定された[3]2021年1月までに、フォローアップ観測による視線速度データにより、確実性は低いものの、公転周期の短い惑星が存在する可能性が浮上した[7]。惑星の存在は、2021年12月までに地上ベースと宇宙ベースの両方のトランジット法を用いた観測データによって確認された[3]

惑星グリーゼ367bは、最も短い公転周期の軌道を持つ惑星の1つであり、軌道を1周するのにかかる時間はわずか7.7時間である。主星に非常に近い軌道を公転してるため、この惑星は地球が太陽から受ける放射線の500倍の放射線を浴びている[要出典]。昼間の気温は約1,500 °C (1,770 K; 2,730 °F)である[8]。主星に近いため、自転と公転の同期が発生している可能性が高い[9]。グリーゼ367bの大気は、極端な温度のために生命が存在することは出来ない[8]。グリーゼ367bのはおそらくニッケルで構成されており、水星の核に似ている。グリーゼ367bの核は非常に密度が高く、惑星の質量の大部分を占めている[8]

2023年7月、高精度視線速度系外惑星探査装置(HARPS)によるドップラー分光法を用いた観測が行われ、グリーゼ367bよりも外側を公転している2つの惑星グリーゼ367cグリーゼ367dが発見されたことが公表された。それぞれの公転周期は約11.5日、約34.4日である。最小質量はそれぞれ地球の約4倍、約6倍であり、2つともスーパーアースであるとされる。これら2つの惑星のトランジットはこの時点では観測されていない[6]

名称

2022年、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の優先観測目標候補となっている太陽系外惑星のうち、20の惑星とその親星を公募により命名する「太陽系外惑星命名キャンペーン2022(NameExoWorlds 2022)」において、グリーゼ367とグリーゼ367bは命名対象の惑星系の1つとなった[10][11]。このキャンペーンは、国際天文学連合(IAU)が「持続可能な発展のための国際基礎科学年英語版(IYBSSD2022)」の参加機関の一つであることから企画されたものである[12]。2023年6月、IAUから最終結果が公表され、グリーゼ367はAñañuca、グリーゼ367bはTahayと命名された[13]。Añañucaは、チリコキンボ州からマウレ州にかけて自生する赤い花(Phycella cyrtanthoides)の名で、グリーゼ367の色を暗示する[13]。Tahayは、チリ中央地域に固有の小さい花(Calydorea xiphioides)で、1年のうち7時間から8時間しか開花せず、その短さがグリーゼ367bの公転周期を暗示する[13]

脚注

注釈

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

  1. ^ a b c "CD-45 5378". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2021年12月4日閲覧
  2. ^ a b c d Gaia Early Data Release 3: Summary of the contents and survey properties”. arXiv. 2021年12月4日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l GJ 367b: A dense ultra-short period sub-Earth planet transiting a nearby red dwarf star, (2021), arXiv:2112.01309 
  4. ^ The Solar Neighborhood XXXVI. The Long-Term Photometric Variability of Nearby Red Dwarfs in the V RI Optical Bands, (2015), arXiv:1503.02100 
  5. ^ The M-dwarfs in Multiples (MINMS) survey - I. Stellar multiplicity among low-mass stars within 15 pc, (2015), arXiv:1503.00724 
  6. ^ a b Company for the ultra-high density, ultra-short period sub-Earth GJ 367 b: discovery of two additional low-mass planets at 11.5 and 34 days”. arXiv. 2023年7月19日閲覧。
  7. ^ VALIDATION OF HD 183579b USING ARCHIVAL RADIAL VELOCITIES: A WARM-NEPTUNE ORBITING A BRIGHT SOLAR ANALOG, (2021), arXiv:2101.12137 
  8. ^ a b c Iron-Rich Sub-Earth Exoplanet Found Orbiting Gliese 367 | Sci-News.com” (英語). Breaking Science News | Sci-News.com. 2021年12月3日閲覧。
  9. ^ Mann, Adam (2021年12月2日). “Metal Planet Orbits Its Star Every 7.7 Hours” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2021/12/02/science/iron-exoplanet-super-mercury.html 2021年12月3日閲覧。 
  10. ^ NameExoWorlds 2022”. NameExoWorlds. IAU (2022年8月). 2023年6月15日閲覧。
  11. ^ List of ExoWorlds 2022”. NameExoWorlds. IAU (2022年8月). 2023年6月15日閲覧。
  12. ^ 太陽系外惑星命名キャンペーン2022”. 国立天文台 (2022年9月5日). 2023年6月15日閲覧。
  13. ^ a b c 2022 Approved Names”. NameExoWorlds. IAU (2023年6月). 2023年6月15日閲覧。

関連項目 

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