グリーゼ357 (英語 : Gliese 357 )もしくはGJ 357 とは、地球 からうみへび座 の方向に約31光年 離れた位置にある11等級の赤色矮星 である。
特徴
大きさの比較
太陽
グリーゼ357
グリーゼ357はスペクトル分類 M2.5V型に分類される普遍的な赤色矮星の一つで、太陽 の約3分の1ほどの質量 と半径 を持つ[ 3] [ 4] [ 5] 。表面温度は約3,500 K ほどしかなく、光度 も太陽の約1.6%ほどしかない[ 4] 。天球 上での固有運動 が大きい「高速度星」に分類される[ 3] 。後述する太陽系外惑星探査機TESSの観測対象で、惑星が存在する可能性が示されたため、「TIC 413248763」や「TOI-562」というTESSの任務内における仮符号が割り振られている[ 3] [ 4] 。
惑星系
グリーゼ357系の惑星の軌道
NASA が打ち上げた太陽系外惑星 探査機TESS によるトランジット法 の観測と、ラスカンパナス天文台 やケック天文台 などによる1998年からのドップラー分光法 での観測記録を照らし合わせた結果、2019年 にグリーゼ357の周囲を3つの惑星が公転していることが確認された[ 1] [ 2] [ 4] [ 5] [ 6] 。発見された惑星は内側から順にグリーゼ357b (TOI-562.01)、グリーゼ357c (TOI-562.02)、グリーゼ357d (TOI-562.03)と命名されている[ 4] 。
これらの惑星はいずれも地球より大きな質量を持つスーパー・アース とされている[ 5] 。3つのうち、TESSによってトランジット が観測されたのは最も内側を公転するグリーゼ357bのみで、残る2つはグリーゼ357bに対して軌道が傾いており、発見論文が公表された時点ではトランジットは確認されておらず[ 1] [ 4] 、トランジットが起きるか否かも判明していない[ 6] 。したがって、この2つの惑星の半径や組成といった特性は知られていない。
唯一トランジットが確認されているグリーゼ357bは地球の1.2倍の半径と1.8倍の質量を持つが、地球よりも約12倍多くの放射を主星から受けている事から[ 6] 、表面の温度は525 K(252 ℃ )と推定されており[ 4] 、研究チームはこの惑星を「ホット・アース(Hot earth)」と呼称している[ 1] [ 2] 。グリーゼ357cとグリーゼ357dは少なくともそれぞれ地球の3.4倍と6.1倍の質量を持ち、地球と同じ岩石 で構成されたと仮定すると、地球と同程度から2倍の半径を持つと予想されている[ 1] 。グリーゼ357dはグリーゼ357のハビタブルゾーン の外縁付近を公転しており[ 2] 、温室効果 などの影響を考慮しない場合の表面の温度は219.6 K(-53.6 ℃)とされ[ 4] 、表面に大気 が存在していれば液体 の水 が存在できる可能性があるとされる。そのため、NASAはグリーゼ357dを「有望な世界(Promising world)」と表現している[ 2] 。グリーゼ357dのトランジットが観測されれば、地球に最も近い潜在的に居住可能な惑星になるとされる[ 6] 。
グリーゼ357の惑星[ 4]
名称(恒星に近い順)
質量
軌道長半径 (天文単位 )
公転周期 (日 )
軌道離心率 [ 7]
軌道傾斜角
半径
b
1.84 ± 0.31 M ⊕
0.035 ± 0.002
3.93072+0.00008 −0.00006
0.04+0.23 −0.04
89.12+0.37 −0.31 °
1.217+0.084 −0.083 R ⊕
c
≥3.40 ± 0.46 M ⊕
0.061 ± 0.004
9.1247+0.0011 −0.0010
0.02+0.21 −0.02
—
—
d
≥6.1 ± 1.0 M ⊕
0.204 ± 0.004
55.661 ± 0.055
0.03+0.20 −0.03
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脚注
注釈
^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
出典
外部リンク