核 (かく、英 : core、nucleus )[1] あるいは中心核 (ちゅうしんかく)[2] は、天体 の内部の層の一つ。
名称
日本語では区別しないが、英語では惑星 ・衛星 ・恒星 などの核を core、彗星 ・活動銀河 の核を nucleus と呼び分ける。
地核 と呼ばれることもあるが、内核・外核の区分が発見される以前の古い呼称である上に、地殻 と紛らわしいため、近年は用いられることが少ない[3] 。
地球
地球の構造
地球 の核は、直径約7,000 km(半径3,500 km)で、地表からは地下2,900 km以下にある。隕鉄 の成分から、主に鉄 とニッケル からできていると考えられている。
構造は液体 の外核 (地下2,900 km - 5,100 km)と固体 の内核 (地下5,100 km - 6,400 km)からなると考えられている。中心温度は太陽 の表面温度とほぼ等しい約6,000 K (約5700℃)。液体の外核が流動して誘導起電力 が発生することで核内に電流 が流れ、地磁気 が発生すると考えられている。
内核と外核の地震学 的な境界面はレーマン不連続面 と呼ばれる。コア-マントル境界 (core-mantle boundary)はCMBと略す。また、地震学的には外核とマントル の境界面はグーテンベルク不連続面 と呼ばれる。
惑星・衛星など
地球以外の惑星や衛星などでも、中心部の、周辺部より高密度の領域を核 (core) と呼ぶ。どのような組成・物性の核について論じているかを明確にするため、金属核 、岩石核 、固体核 などの用語も使われる。
核の外側の層は、地球同様、マントル と呼ばれる。
金属核
地球型惑星の内部構造。核はオレンジ色。
水星 ・金星 ・火星 の地球型惑星 は、自重による圧縮を考慮してもなお密度 が岩石より高いことから、地球と同様に金属核が存在することが推定できる。惑星に対する核の半径の比率はさまざまで、火星は40%、地球や金星は50%、水星では75%に達する。金星や火星には地球のような強い磁場 がないことから、地球の外核のような液体層は存在しない(ダイナモ効果 が働いていない)と考えられているが、水星の核は地球と同様に一部が融解して磁場を発生させていると言われる[4] 。
月 やガリレオ衛星 など大型の衛星にも金属核が存在する可能性が高い。ガリレオ衛星のイオ やエウロパ は、半径の三分の一程度の核を持つと予測されている。ただし、地球以外で地震波 による探査がなされた唯一の天体である月では、金属核の明確な証拠はまだ見つかっていない。月は平均密度が高くないため、金属核が存在するとしても小さいものだと考えられている。
鉄隕石 と石質隕石 の存在から、小惑星 の中にも、金属層と岩石層が分化し、金属核を持つものがあることがわかる。過去に溶融状態を経験した小惑星は層状に分化した内部構造を持つようになると考えられている。代表例としてはベスタ が挙げられる。
巨大ガス惑星の核
巨大ガス惑星の内部構造。核は茶色。
木星 ・土星 といった木星型惑星 は、体積の大部分が水素 、ヘリウム 、水 、アンモニア 、メタン などの気体 ないし揮発成分からなるが、中心部には岩石 を主体とする固体核(岩石核)が存在する。核は惑星全体と比べ小さいが、それでも地球の10倍前後の質量を持つと考えられている。
天王星 と海王星 では、木星や土星と比べ水素・ヘリウムの量が少ない。質量の大部分は水・アンモニア・メタンの氷からなるマントルに占められており、マントルの内部には岩石の核が存在すると見られる。
太陽系外惑星 についても、質量と半径が観測可能な場合は、計算された平均密度に基づいて内部構造を予想することができる。たとえば、高密度のガス惑星であるHD 149026 b は地球質量の100倍前後に相当する巨大な核を持っていると推定されている[5] 。また、主星に近い軌道を持つ巨大惑星では表層の揮発成分が失われて固体核が露出するようになる可能性があり、このような天体はクトニア惑星 と呼ばれている[6] 。
氷天体の岩石核
大型の氷衛星 や太陽系外縁天体 は、氷の層の下に岩石核を、さらに岩石核の中に金属核を持つ可能性が高い。これらの天体では、同じ「核」と言う言葉で、文脈によって岩石核を意味することと金属核を意味することとがある。
その他の核
太陽の内部構造
ヴィルト第2彗星 の核
M87 の活動銀河核(左上の光点)
恒星
恒星 では、原子核融合 を起こしている領域と、またその内側に燃えカス(水素-水素反応ならヘリウム )からなる領域があればそれを含め、核 (core) と呼ぶ。
これとは別に、恒星の生成論では、収縮する分子雲 の中心部の、圧力平衡 となった高密度領域(のちに原始星 となる)を核 (core) と呼ぶ。
彗星
彗星 では、大気であるコマ に覆われた、固体 の本体を核 (nucleus) という。
銀河
セイファート銀河 、クエーサー などの活動銀河 では、中心部のごく小さい領域のみが活発に活動しており、それを活動銀河核 (active galactic nucleus) という。推定されるサイズに比べ推定質量が非常に大きいため、超大質量ブラックホール があると考えられている。われわれの銀河系 のように活動銀河というほどの活動性がなくとも、同様に小さな活動領域があれば、銀河核 (galactic nucleus)・核 (nucleus) ということがある。
ほかに、渦巻銀河 の銀河バルジ や、漠然と銀河の中心部を指してcore、centerとも言う。
脚注
参考文献
関連項目
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地球の構造 に関連するカテゴリがあります。