ギガース
ギガース (古代ギリシャ語 : Γίγας , Gígas )は、ギリシア神話 の巨人 を指す言葉である。ただし、この語形は比較的稀で、複数形のギガンテス (古代ギリシャ語 : Γίγαντες , Gígantes )で巨人族 として言及されることが多い。日本語 では長母音 を省略してギガス とも呼ばれる。
ゼウス の支配を終わらせようと、山々すら簡単に投げ飛ばす怪力を武器に大軍でオリュンポス の神々に戦いを挑んだ。ギガースは神には殺されない能力を持っていたが、神々によって島や山脈を投げ付けられて封印されたり、半分人間である大英雄ヘーラクレース によって射殺されたりと、結局は惨敗を喫してしまった。
概説
ヘーシオドス の『神統記 』によれば、ウーラノス がクロノス に男性器を切り落とされた時、そこから滴り落ちた血でガイア がみごもって生まれた種族とされる。トラーキア のパレーネー半島で生まれた。
ティーターノマキアー の後、ガイアが自分の子であるティーターン たちに対する処置が気に入らなかったので、巨人戦争「ギガントマキアー 」が起こる。彼らは凄まじく巨大で、山脈や島々を引き裂きながら突き進み、燃え盛る巨大な樫の木や山脈などを武器にして、ゼウスらオリュムポス の神々に戦いを挑んだが、ヘーラクレース を味方につけた神々によって倒されたという。
ギガースは、古くは光り輝く鎧を着込み、槍や剣を持った人間のような姿に描かれたが、のちには上半身が人間、両脚が蛇 の姿をした怪物として描かれた。
主なギガース
ギガースの名称は、アポロドーロス やヒュギーヌス 、ツェツェース (英語版 ) らによる文学作品のほか、ギガントマキアーの描かれたペルガモン のレリーフ など芸術作品に添えられたものも含めて数えるとかなりの数になる。オットー・ヴァーザー (ドイツ語版 ) は異称を含めて160近くの名をあげ[ 1] 、古代の芸術作品上に現れるものだけ掲載している。LIMC 事典は読みが疑わしいものも含めて74の名を挙げている[ 2] 。
脚注
^ Paulys Realencyclopädie der classischen Altertumswissenschaft , Supplement band III (1918), cols. 737-59. ただし、彼はリストに「ガイアからうまれた巨人」全般を含めている様である(アルゴス 、トゥイストー なども挙げられている)。
^ Lexicon Iconographicum Mythologiae Classicae , IV/1(1988), p. 268-69.「適当に創作された名前も多いのだろう」としている。