キャメル号(キャメルごう)は東京都と鳥取県を結んでいた夜行高速バスである。愛称は、鳥取砂丘のラクダ(英: Camel)から。
本項では便宜上、東京 - 鳥取・倉吉線を「鳥取線」、東京 - 米子線を「米子線」と表記する。
2020年7月より両路線とも運行を休止していたが、2021年3月16日をもって両路線とも廃止された[1][2][3]。
概説
740Kmという運行距離は、登場当時は航空機の分野とされており、なおかつ鳥取県の経済圏は大阪とされていたことから、「経済圏の大阪を飛び越えて東京に行くバスが儲かるのだろうか」と、雑誌などでは話題になった路線である。
それまで、鳥取県における日本交通VS日ノ丸自動車[注 1]間の仲の悪さは鳥取県民の間でも有名だった。同じように鳥取県内を拠点としており、鳥取駅でも鳥取砂丘でもバスターミナルが別々で、それぞれが鳥取砂丘への観光客の奪い合いをしている状態であった。もちろん、狭い地域で対立していてもメリットはさほどないことは両社とも理解はしており、相互の路線を交換するなどの再編も行なってはいたものの、「仲が悪い会社」という印象を拭い去るまでには至っていなかった。
しかし、京浜急行から「キャメル号」運行の話があったことで、両社の関係に変化が生じることになった。「キャメル号」運行後、2社の関係は融和ムードをみせ、「仲が悪い会社」というイメージを払拭した。現在では一般路線バスでも日交と日ノ丸との間で共同運行されているバス路線も設定している。
キャメル号は日ノ丸が京浜急行と企画したものであるが、高速バスのノウハウを持つ日本交通を入れたことが功を奏した。
運行事業者
- 京浜急行バス(新子安営業所)。
- 2012年4月16日、同営業所新設により羽田営業所より移管
- 日本交通(鳥取線は倉吉営業所・米子線は米子営業所)
- 日ノ丸自動車(鳥取線は倉吉営業所・米子線は米子支店)
- 鳥取・倉吉・米子側の電話予約は日本交通のみの担当。日ノ丸自動車での電話予約は行わない。
- 日ノ丸自動車と日本交通の東京側休憩は、従来通り京浜急行バス羽田営業所で休憩する。
- ネット予約は京浜急行バスのみ
運行系統および停車停留所
- ▼…品川発は乗車のみ、倉吉・米子発は降車のみ扱い
- ▲…品川発は降車のみ、倉吉・米子発は乗車のみ扱い
- ♯…休憩停車を行うサービスエリア
- ∥…非経由
歴史
使用車両
京浜急行バスは最新型日野・セレガスーパーハイデッカーをメインに三菱ふそう・エアロクィーン等、日本交通は日野新型セレガハイデッカー(米子はスーパーハイデッカーSHDも在籍)等、日ノ丸自動車は日野・セレガGD、日野・セレガハイデッカー等が使用される。いずれも独立3列シートWC付である。
運行開始当初は、3種類のカラーリングが用意されたが、これは各社別のカラーリングではなく、3社合わせて8台の車両に3種類のカラーリングを割り当てた。その後、本路線の運行開始当初に採用されたカラーリングのうち、京浜急行・日ノ丸自動車では1種類を標準色とするようになり、日本交通は自社オリジナルカラーを導入している。
- 風(現在は京浜急行バスグループの夜行高速バスの標準塗装)
- 鳥(現在は消滅)
- 鳥取砂丘(現在は日ノ丸自動車の高速バスの標準塗装)
なお、米子線の日本交通の車両の中には、近隣の境港市が水木しげるの出身地であることにちなみ、同氏の作品ゲゲゲの鬼太郎のイラストを描いた「鬼太郎バス」(三菱ふそう・エアロクィーンI)が運行されていたが、2006年度に日野新型セレガSHDに置き換え、さらに2013年には日野新型セレガHDを導入、エアロクィーン鬼太郎バスは07年頃京都交通に譲渡された(写真参照)。
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京浜急行電鉄初代キャメル専用車 日野 ブルーリボン
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日本交通初代キャメル専用車 三菱ふそう スーパーエアロII
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日本交通キャメル専用車 三菱ふそう エアロクィーンM
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日ノ丸自動車初代キャメル専用車 日野 ブルーリボン
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日ノ丸自動車初代キャメル専用車 日野 ブルーリボン
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日ノ丸自動車初代キャメル専用車 日野 ブルーリボン
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日ノ丸自動車初代キャメル専用車 日野 ブルーリボン
車内設備・サービス
京急車の場合
日ノ丸/日交の場合も概ね京急に準じた設備となる。
特記事項
- 鳥取・倉吉での京浜急行バスの運行支援業務は、日ノ丸自動車が担当している。
- 米子での京浜急行バスの運行支援業務は、日本交通が担当している。
- お盆、年末年始等の最ピーク期には3台以上で運行される。ただし、2号車以降は渋谷マークシティを通過する。米子線よりも鳥取線の方が利用客は多く、以前の鳥取線は観光型車両(4列シート・トイレ無し)を含めて7台程度運行されていた。
- キャメル号の実質的幹事は日ノ丸自動車で、日ノ丸は鳥取線・米子線とも通年運行。京浜急行バスと日本交通は、隔月交代で鳥取線と米子線を担当している。例えば、京急が鳥取線の月の日交は米子線となる(続行便運行時は除く)。
- 上記の割り当てに伴い、京急が鳥取線を担当する月の1号車が日ノ丸の場合、2号車は京急といった運用となっていたが、京急が車両を出さない場合は2号車が欠番となり、日本交通担当の3号車が設定されていた。
参考文献
脚注
注釈
関連項目
- サンライズ出雲 東京 - 米子・出雲市間を結ぶ夜行列車。現在は「サンライズ出雲号」のみ運転。
外部リンク