ウェールズ公妃キャサリン (Catherine, Princess of Wales 、1982年 1月9日 - )は、イギリス の王族 。ウェールズ公 ウィリアム の妃 (ウェールズ公妃(プリンセス・オブ・ウェールズ) )。敬称 は妃殿下(Her Royal Highness )。旧名は、キャサリン・エリザベス・ミドルトン (Catherine Elizabeth Middleton )。
「ケイト 」はキャサリンの愛称(短縮形) であるが、ウィリアムの恋人としてメディアに取り上げられるまで、家族や友人からケイトと呼ばれたことはなかった[ 1] 。
日本においては主に「キャサリン皇太子妃 」もしくは「キャサリン妃 」と呼称される。
略歴
生い立ち
バークシャー州 レディング の王立バークシャー病院 で生まれた。父のマイケル・フランシス・ミドルトン (1949年 6月23日 生)はブリティッシュ・エアウェイズ のディスパッチャー として、母のキャロル・エリザベス・ミドルトン (旧姓 :ゴールドスミス、1955年 1月31日 生)は客室乗務員 として勤務していた際に2人は出会い[ 2] 、バッキンガムシャー のドーニー 教区教会で1980年 6月21日 に結婚した。
マイケルの父はパイロット、その先は数代にわたってリーズ の事務弁護士 であり中流階級 に属していた。母方の祖父母はそれぞれ工員と炭鉱夫の家系で労働者階級 に属していた[ 3] 。そのために、ウィリアムとの結婚では誇張気味に「炭坑から王室へ」などと報じられた[ 4] 。叔父は、ITリクルートメントの大富豪ゲーリー・ゴールドスミス(Gary Goldsmith)。
ブリティッシュ・エアウェイズを退職したミドルトン夫妻は1987年 に玩具・パーティー用品の通信販売会社「パーティ・ピーシーズ 」を設立した[ 5] 。会社は成功をおさめ、一家は富豪となった[ 6] 。キャサリンの兄弟にはフィリッパ・シャーロット(ピッパ・ミドルトン) (1983年 生)[ 7] 、ジェームズ・ウィリアム・ミドルトン (1987年 生)がいる[ 8] 。妹のピッパ(エディンバラ大学 卒業生)もキャサリンとの関係と彼女自身のライフスタイルへの関心からプレス報道を受けた[ 9] 。
キャサリンはバークシャーで育ち[ 10] 、マールボロ・カレッジを卒業した後セント・アンドルーズ大学に入学した。大学で美術史 の学位を取得後、ファッションブランド「ジグソー」のアクセサリー部門のバイヤーをしていたが、2007年に写真家 になるためにその職を辞めたと報じられた[ 11] 。
ウィリアム王子との交際
セント・アンドルーズ大学 で、学友としてウィリアム王子と知り合う[ 12] [ 13] 。大学内で開かれたファッションショー にモデルとして出演したキャサリンにウィリアムが一目惚れし、ルームメイトだったこともあり、親しく交際が始まった。在学中に他の友人も交えた共同生活で絆を深めた[ 14] 。
長期間にわたり交際の噂 はあったものの、2人の関係が公になったのは2004年 頃で、ウィンザー家毎年恒例のスキー旅行にキャサリンが同行したことで、「未来のプリンセス」として取り上げられた[ 14] 。
2007年 1月 ごろ、イギリスのメディアが、キャサリンの誕生日の9日にウィリアムがプロポーズし婚約する、という報道を行った。この頃から報道合戦が過熱し、パパラッチ が問題視され、報道規制がかけられる事態となった[ 15] 。
2007年 1月 に自宅前で駐車違反の切符を切られたが、ウィリアム王子の恋人という立場を悪用することなく素直に受け入れた様子を英大衆紙「デイリー・メール」が報じた[ 16] 。
2007年 4月14日 、英大衆紙「サン」はウィリアムとキャサリンの関係が突如破局したと報じた[ 17] 。理由に関しては定かではないが、BBC の王室担当記者は「2人の仲は問題はないように思えたので驚きだ」と語り、「王子は結婚はまだ早すぎると話していたが、王子の決断というよりは2人で合意したことだろう」と指摘した。一部メディアは破局の一因としてパパラッチの問題や[ 18] 、中流階級であるキャサリンおよびキャサリンの母親の言動を挙げ、階級差を指摘し王室に相応しくないと報じるマスコミの存在を指摘している[ 14] 。
英大衆紙『News of the World』は、エリザベス女王 が「(結婚の意思がないのなら)急ぐべきでない。ダイアナ元王太子妃 の二の舞になることを望んでいない。」とウィリアムに対し忠告したと報じている。
2007年 6月24日 付けの英大衆紙「メール・オン・サンデー 」がウィリアム王子との復縁を報じる[ 19] 。7月1日 に行われたウィリアムとヘンリー王子主催のダイアナ妃の追悼コンサートに姿を見せた[ 20] 。既に同棲しており2009年 には結婚、と伝えるメディアもあるが[ 15] 、公式には復縁の発表はなかった[ 14] 。
2010年 10月、2人は旅行先のケニア で婚約し、11月16日 、王室より正式に公表された。婚約指輪はダイアナ元妃のものであった。
結婚式
バッキンガム宮殿のバルコニーにて(2011年4月29日)
挙式は2011年 4月29日 にウェストミンスター寺院 で行われ、YouTube でもライブ配信された[ 21] 。花嫁の付き添い人(メイド・オブ・オナー)を務めたのは、妹のピッパ・ミドルトン である[ 22] 。結婚式当日は公休となり、夜にはバッキンガム宮殿 で祖母エリザベス女王主催のパーティーが開かれ、各国から王室関係者や著名人などが参加した。日本からも当時の皇太子徳仁親王 ・同妃 夫妻が出席する予定であったが、東日本大震災の影響 によって取り止めとなった[ 23] 。
キャサリンが着用したウェディングドレス は、アレキサンダー・マックイーン のサラ・バートンがデザインした[ 24] 。ティアラ はエリザベス女王が18歳の誕生日のときに父ジョージ6世から送られたもので、1936年 にカルティエ がデザインしている。
なお、結婚式で凱旋した馬車 は1902年 製のもので、ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式以前では1981年 に王子の両親であるチャールズ3世 とダイアナ がこの馬車を使用した。その他のイギリス王室結婚式では1986年 にもアンドルー王子 とセーラ もこの馬車を使用している。
イギリス王室 の王位継承権 を保持する人物が一般家庭出身の女性を妃に娶った例は、1660年 にジェームス2世 と、庶子から大法官 にまで出世したエドワード・ハイド (後のクラレンドン伯爵 )の娘であるアン・ハイド との結婚以来、実に351年ぶりの出来事である[ 24] 。
懐妊と出産
2012年12月3日、イギリス王室がキャサリンが懐妊したことを発表[ 25] 。この一報にはデーヴィッド・キャメロン 首相 もTwitter で祝意を寄せた[ 25] 。
2013年7月22日16時24分(日本時間:7月23日0時24分)、キャサリンはロンドン市内のセント・メアリー病院 にて第1子となる長男ジョージ を出産[ 26] 。ジョージは父のウィリアムに次ぐイギリス国王継承第2位である[ 26] [ 27] 。
2014年9月8日、ケンジントン宮殿より、キャサリンが第2子を懐妊中であることが発表された[ 28] 。
2015年5月2日8時34分(日本時間:2日16時24分)、セント・メアリー病院にて第2子となる長女を出産。長女には「プリンセス」の称号と「殿下(HRH)」の敬称が与えられ、5月4日には「シャーロット・エリザベス・ダイアナ 」と命名された。結果、Her Royal Highness Princess Charlotte of Cambridge(シャーロット・オブ・ケンブリッジ王女殿下)のように呼ばれることとなる[ 29] 。王位継承順位は父ウィリアム王子、兄ジョージ王子に次ぐ3位である[ 30] 。
2017年9月4日、第3子を懐妊したことが公表された[ 31] 。翌年2018年3月から産休に入り4月23日に第3子となる男の子を出産した。同月27日ルイ・アーサー・チャールズ と命名された。称号の「王子」、敬称の「殿下」と合わせて「ルイ・アーサー・チャールズ・オブ・ケンブリッジ王子殿下」。
ファッション
キャサリンは結婚前から服装などのファッション が注目され、アイコン 的な存在となった。同年代のヨーロッパ王室の王女、妃であるスウェーデン のマデレーン 王女やモナコ のシャルレーヌ 公妃などとともにファッション雑誌にしばしば取り上げられる。キャサリンのファッションはコンサバ でリッチな「スローニー(Sloaney) 」といわれるスタイルである[ 14] 。
その他
2021年 5月28日 、ロンドンの科学博物館で新型コロナウイルスのワクチンの1回目の接種を受け、翌日公表した。
2024年 3月22日 、がんの診断を受け、治療の初期段階にあると発表した。キャサリンは同年1月に腹部の手術を受け、術後検査でがんがあったことが判明。医療チームから予防的な化学療法(抗がん剤治療)を受けるべきだとの助言を受け、現在、この治療の初期段階にあり、公務を休んでいる。
称号
1982年1月9日 – 2011年4月29日 : Miss Catherine Elizabeth Middleton(ミス・キャサリン・エリザベス・ミドルトン)
2011年4月29日 – 2022年9月8日 : Her Royal Highness The Duchess of Cambridge[ 32] (ケンブリッジ公爵夫人殿下)
正式称号・敬称:Her Royal Highness The Duchess of Cambridge,[ 32] Countess of Strathearn, Lady Carrickfergus [ 33] [ 34] (ケンブリッジ公爵夫人、ストラザーン伯爵夫人、キャリクファーガス男爵夫人殿下)
2022年9月8日 – 2022年9月9日 : Her Royal Highness The Duchess of Cornwall and Cambridge[ 35] (コーンウォールとケンブリッジ公爵夫人殿下)
2022年9月9日 - 現在 : Her Royal Highness The Princess of Wales[ 35] (プリンセス・オブ・ウェールズ殿下)
紋章
ミドルトン家キャサリン(独身時代)の紋章
2011年4月19日、結婚を控え、ミドルトン家の3人の子供に新たに紋章が付与された[ 36] 。青色のリボンは未婚の女性であることを示している。キャサリンの弟のジェームズは自分の子孫にこの紋章を継承することができる。結婚後はこの紋章とウィリアム王子の紋章を組み合わせた新たな紋章が作られ、キャサリンの紋章となった。
ケンブリッジ公爵夫人キャサリンの紋章 詳細 クレスト 盾 象徴
ミドルトン家の側にある盾の中央の縦線(2つの色を分割している)は「ミドル (middle)-トン」に掛けた洒落である(カンティング・アームズ (英語版 ) )。オーク の木のドングリはイングランドの伝統的なシンボルであり、家族が30年間暮らしているウェスト・バークシャーに多く生育する木でもある。3つのドングリは3人兄弟であることも示している。紋章中央の金色のシェブロンは母親のキャロル・ミドルトンの旧姓ゴールドスミス (Goldsmith) の隠喩である。2つの細い白色のシュブロン(金色のシュブロンの上下に位置する)は、山頂と山、家族が愛する湖水地方 とスキーを象徴している[ 37] [ 38] 。
以前の紋章
2011年4月29日に授与された版は、ロズンジ (細い菱形)で青いリボンで吊されており、未婚であることを象徴していた。
系譜
キャサリン (プリンセス・オブ・ウェールズ)の系譜
16. ジョン・ウィリアム・ミドルトン
8. リチャード・ノエル・ミドルトン
17. メアリー・アスキス
4. ピーター・ミドルトン
18. フランシス・マーティノー・ラプトン
9. オリーブ・クリスティーナ・ラプトン
19. ハリエット・アルビーナ・デイヴィス
2. マイケル・フランシス・ミドルトン
20. フレデリック・ジョン・グラスボロー
10. フレデリック・ジョージ・グラスボロー
21. エミリー・ジェーン・エリオット
5. ヴァレリー・グラスボロー
22. ギャビン・フルトン・ロビソン
11. コンスタンス・ロビソン
23. サラ・アン・ジー
1. キャサリン (プリンセス・オブ・ウェールズ)
24. ジョン・ゴールドスミス
12. スティーブン・チャールズ・ゴールドスミス
25. ジェーン・ドーセット
6. ロナルド・ゴールドスミス
26. テオフィリウス・ベンジャミン・チャンドラー
13. イーディス・エリザ・チャンドラー
27. アメリア・ホワイト
3. キャロル・エリザベス・ミドルトン
28. ジョン・ハリソン
14. トマス・ハリソン
29. ジェーン・ヒル
7. ドロシー・ハリソン
30. トマス・テンプル
15. エリザベス・メアリー・テンプル
31. エリザベス・マイヤーズ
日本語伝記
脚注
注釈
^ 王室の一員であるため姓は持たないが、必要がある場合はマウントバッテン=ウィンザー(Mountbatten-Windsor )を用いる
出典
関連項目
外部リンク
爵位・称号 ウィリアム王子の紋章 家族 親族 外戚 イベント その他
結婚によりイギリスのプリンセスとなった人物
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* : イギリス王女(Princess of Great Britain and Ireland )の称号と殿下(Highness )の敬称を自身の権利によっても有していた者。